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工作機械工業会受注速報 25年6月受注は0.5%減1332億円、9ヶ月ぶりに同月比減少

2025/07/10 09:51
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6月受注0.5%減1332億円、9ヶ月ぶりに同月比減少、トランプ関税で投資先送り懸念も

 

 7/9の15時に日本工作機械工業会の2025年6月受注速報が開示された。6月受注は1331.50億円(同月比0.5%減、前月比3.4%増)と9カ月ぶりにわずかながら同月比減に転じた。連休影響がある5月対比でも3.4%増にとどまり、トランプ関税の行方を睨み、様子見が続いていると見られる。なお確報は7/23公表予定。

 

 

 内訳は外需が932.81億円(同月比0.3%増、前月比2.5%減)と9カ月連続同月比増加となったが、前月比では3ヶ月減少、3ヶ月連続で1000億円割れとなった。トランプ関税の行方が以前不透明で設備投資決断の遅れもある模様。
 内需は398.69億円(同月比2.3%減、前月比20.8%増)と3ヶ月連続で同月比減少となった。トランプ関税などの不確実要素はあるが、前月比では連休明けや四半期末でもあり3ヶ月ぶりに前月比増加に。なお6月としては20年6月233億円以来の400億円割れとなった。現状、トランプ関税の影響、特に自動車産業の不透明感から、設備投資の様子見もあり盛り上がりに欠ける展開が続いている。

 

 

2025年暦年上半期工作機械受注は同期比5.1%増の7775億円、暦年進捗率は48.6%

 工作機械の2025年上半期受注は7775億円(前上期比5.1%増、前下期比4.4%増)と緩やかな伸びを示した。同期比では2期連続で増加、前期比では3期連続増となり、22年下期の8484億円以来の額となった。

 内訳は外需が5552億円(同期比7.7%増、前期比5.2%増)で、3期連続で同期比、前期比ともに増加し、22年下期以来の5500億円超えに。一方内需は2223億円(同期比0.9%減、前期比2.4%増)で、同期比では6期連続の減少、22年上期3146億円対比では7割水準にまでシュリンクしている。

 

 

 

 

工作機器4月生産は0%減と29ヶ月ぶり横ばい、主力ボールネジ、直動軸受8カ月連続増

 

 工作機械に関連する工作機器は、日本工作機器工業会6/10発表の25年4月生産額が129.46億円(同月比0%減)と29ヶ月ぶりに横ばいに。この中で主力ボールネジは26.56億円(17%増)、直動軸受も42.75億円(7%増)といずれも8カ月連続同月比増となっている。両製品とも工作機械はボトム形成の中で、半導体製造装置向けの受注回復の寄与を受け、工作機器全体よりも高い伸びに。但しトランプ関税などもあり、回復継続に不安が残る。

 


 工業会では年初に2025年暦年受注を全体で1兆6000億円(前年比7.7%増)、内訳は外需1兆1000億円(5.4%増)、内需5000億円(13.2%増)としており、
進捗率は全体で48.6%、外需が50.5%、内需が44.5%と、内需の弱さが目立っている。

 

 

鍛圧機械6月受注は同月比7.1%増232.1億円で3ヶ月ぶりに同月比増もプレス系不振続く

 

  金属加工機械である鍛圧機械の6月受注(7/6発表)は232.1億円(同月比7.1%増、前月比31.2%増)と、3ヶ月ぶりに同月比増となった。
 国内129.77億円(同月比32.6%増、前月比66.6%増)と3ヶ月ぶりに同月比増加し大台回復となった。鉄鋼78.4%増、電気2.1倍、金属42.8%増なども、輸送は16.9%減に。輸出は102.36億円(同月比14.1%減、前月比3.4%増)、同月比4ヶ月連続減も前月比では3ヶ月連続増加し9ヶ月ぶりに100億円超えとなった。中国2.4倍、韓国12.9%増も東南アジア17.8%減、インド73.2%減、欧州57.1%減、北米28.9%減と跛行色が強い。

 機種別でプレス系が107.93億円(同月比6.2%減)で6ヶ月連続同月比減。小型プレス2.7倍、超大型57.4%増、自動化機械27.2%増もその他は不振。特に輸出は8ヶ月連続で同月比減に。板金系は124.20億円(22.0%増)で4ヶ月連続で同月比増。パンチングプレス74.7%増、ブレーキ・シャ10.5%増、レーザプラズマ7.2%増など。
全体としてプレス系はトランプ関税で自動車向けの影響があり、不安定な受注が続く。

 

 

 

2025年暦年上半期鍛圧機械受注は同期比3.2%減の1215億円とEV、トランプ影響が顕著

 鍛圧機械の2025年上半期受注は1215億円(前上期比3.2%減、前下期比1.9%減)と3半期連続で同期比減少、4半期連続前期比減となり、23年上期1418億円対比85.7%まで落ち込んでいる。国内が753億円(前年同期比1.9%増、前期比2.8%増)と4半期800億円割れながら狭いレンジで700億円台をキープしている。対して輸出は460億円(前年同期比10.6%減、前期比8.7%減)と低迷、同期比推移では6半期連続減少、前期比でも4半期連続で減少している。この背景には世界的なEV設備投資の減退に伴い、バッテリーケース向けやモーターコア用高速プレスなどが失速、加えてトランプ関税の不透明感が加わり、設備投資が滞っている状況が影響していると見られる。このため、機種別ではプレス系の不振が大きく、561億円(前年同期比17.0%減、前期比15.8%減)となり、同期比では3半期連続2桁減、前期比では4半期連続減となっており、23年上期772億円に対し72.7%水準に落ち込んでいる。一方、板金系は652億円(前年同期比12.7%増、前期比14.0%増)と23年上半期以来の600億円超えとなった。

 

 


 鍛圧機械工業会では年初に2025年暦年受注を全体で2520億円(前年比1.1%増)、内訳は輸出1060億円(4.0%増)、国内1460億円(1.0%減)、プレス系を1380億円(2.7%増)、板金系を1160億円(0.9%増)としている。現在、進捗率は全体で48.2%、輸出が43.4%と厳しく、内需は逆に51.6%と計画を若干上回る推移となっている。機種別ではプレス系が40.7%に過ぎず、板金系は64.9%に達する。まさに鍛圧機械についてはプレス系がEVの不振で設備投資の大幅見直しが行われ、加えてトランプ関税問題で自動車産業の設備投資の決定が遅れる2重苦がのしかかっていると見られる。


工作機器5月生産は同月比2%増と30カ月ぶり増、ボールネジ、直動軸受は9カ月連続増
 

 工作機械に関連する工作機器は、日本工作機器工業会7/3発表の25年5月生産額が126.75億円(同月比2%増)と30ヶ月ぶりに同月比増加に転じた。この中で主力ボールネジは26.23億円(7%増)、直動軸受も41.52億円(8%増)といずれも9カ月連続同月比増となっている。両製品とも工作機械はボトム形成の中で、半導体製造装置向けの受注回復の寄与、医療機器向けの拡大などを受け、工作機器全体よりも高い伸びに。但しトランプ関税などもあり、回復継続に不安は残る。

 


 


 6/9に発表された25年4月の米国金属加工受注は4.449億ドル(同月比41.2%増、前月比12.7%減)となり、前月の23年3月5.53億ドル以来の数字に対し、トランプ関税問による駆け込みの反動減も影響した模様。ここしばらく高成長だったジョブショップ向けは自動車産業の投資の再調整期に入り前月比減も高水準を維持している。航空宇宙向けは反動減で前月比半減も、月次平均よりは多少上回っている。全体として関税の行方が不透明であり、経済の不確実性やトランプ関税問題、EV不振などを受けより慎重な見方に変化しつつあり、成長鈍化を示唆する見方も出てきた。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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