トランプ米大統領が銅への50%関税の意向を示したことを受け、7月9日の銅価格は世界で混乱した。米国での価格が一時高騰した一方、ロンドンでの価格は急落。中国では輸入価格の指標が暴騰した。導入時期は8月1日とされる中、銅の世界最大の生産国であるチリでは大統領が見極め姿勢を示すなど、世界に困惑も広がっている。
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ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銅価格は米国時間7月8日に一時前日比17%高の$5.645/lbと、1日としては過去最大の上昇率を記録し、過去最高値も更新した。7月9日終値は4.461/lb。半面、7月9日のロンドン金属取引所(LME)の銅価格は現物$9635/tonで、前日比2.9%安だった。
過去3か月間のLMEとNYの銅価格の推移($/ton)($/lb)
台湾メディアの鉅亨網の7月10日の報道によると、中国の銅の輸入価格の指標である洋山銅プレミアムは7月9日に$40/tonで、7月8日の$29から38%と暴騰した。トランプ関税の発効前に世界からの米国向け出荷が辿り着く可能性が低いため、行き場を失った銅貨物がロンドンに戻るなど漂流し、世界の物流が混乱するとの警戒が出ているという。
■チリ大統領「正式な連絡待つ」
銅の生産国である中南米では、政府レベルで困惑が広がる。チリの経済メディアであるEmol.comは7月9日、同国のボリッチ大統領が、「我々は米国からの公式な通達を待っている」と話したと伝えた。
ボリッチ氏は「銅カソードが含まれているかどうか、限界は何か、これ(関税)が実際に実行されるかどうか」について米側からの連絡を待つとし、「外交では、政治はソーシャルネットワークを通じてではなく、公式のコミュニケーションを通じて行われる」とも話したという。
(IR Universe Kure)