26/3期7.6%増収0.5%営利増予想はMIX良化、為替損軽減で増額期待
株価633円(8/25) 時価総額465億円 発行済株73501千株
PER(26/3DO予25.8X)PBR(0.57X)配当26/3予26円 配当利回り:4.1%
・26/3Q1は14.9%増収、営利3.4倍と半導体製造装置、マウンタ、工作機械向け増で急回復
・26/3期半導体回復遅れで7.6%増収0.5%営利増予想はMIX良化、為替損軽減で増額期待
・中計2026見直し策定し27/3期の営利65億円以上は射程圏に
26/3Q1は14.9%増収、営利3.4倍と半導体製造装置、マウンタ、工作機械向け増で回復
直線運動用軸受大手で半導体製造装置、電子部品実装装置向け等に強味。8/7に26/3Q1決算が行われ、同日説明資料が開示された。26/3Q1は売上高149.38億円(14.9%増)、営業利益7.31億円(3.4倍)、経常利益7.68億円(19.3%減)、税引利益7.10億円(8.86億円増で黒字転換)となった。工作機械、マウンタ、半導体製造装置向けが拡大、営業利益は増益も、円高で経常減益、税引利益は法人税等減で黒字転換した。なお受注は152.04億円(9.2%増)、生産も119.0億円(4.0%増)と増加した。
四半期業種別仕向け先では半導体製造装置、チップマウンタなどエレクトロニクス向けが26.49億円(21.6%増)と好調に推移した。工作機械向けも7.14億円(21.4%増)、その他一般機械向けも36.33億円(8.0%増)と堅調に推移した。一方、輸送機器は5.84億円(7.0%減)と関税影響もあったと見られる。
地域別で欧州を除き増収となった。日本は68.81億円(8.5%増)とマウンタ需要、半導体製造装置が増加、工作機械向けが拡大。中国は景気刺激策で工作機械や大口受注獲得で25.49億円(61.3%増)と伸長した。米州は23.66億円(3.1%増)医療機器向けなどが堅調に推移した。その他アジアも15.39億円(35.7%増)とインド、シンガポール、韓国などが伸びた。
製品別では軸受等が134.75億円(16.0%増)で、ニードル軸受が51.29億円(3.5%減)と輸送機関連、ロボット減速機向けなどが伸び悩んだ模様。直動軸受は86.65億円(23.0%増)と半導体、チップマウンタ、工作機械向けなどの受注増で2ケタの伸びに。諸機械部品は売上高14.08億円(9.6%減)と半導体製造向けの直動テーブル、仕入れボールねじなどが伸び悩んだと見られる。なお26/3Q1より25/3Q1からの軸受の細目も開示されたが、軸受が137.94億円(11.6%増)、内訳はニードルが51.29億円(3.5%減)、直動軸受が86.65億円(23.0%増)と直動の伸びが高く、諸機械部品は14.08億円(9.6%減)と売上、受注とも同じ動きになっている。BBレシオは25/3Q2以降、4四半期1を上回って推移、今後の収益拡大に期待が持てる。ちなみに工作機器工業会の月次生産推移でも25年6月まで同月比で10ヶ月連続増となっている。
利益面では円高影響で2.12億円減益影響があったが、増収効果並びにMIX良化で7.16億円、前期の棚卸評価損計上の反動減など原価低減効果で2.18億円の増益効果があり総利益率が0.4ポイント向上し31.3%となった。販管費は販売経費増で2.03億円の影響があったが、販管費比率は2.9ポイント改善し26.4%となり、5.19億円増と大幅増益に。ただし営業外で円高による為替差損1.76億円(25/3Q1は為替差益5.47億円)が影響し、経常利益では減益となった。また税引利益は25/3Q1が繰延税金資産の取崩しから税負担が11.29億円となっていた反動減で、税引利益は黒字転換となった。
26/3期半導体回復遅れで7.6%増収0.5%営利増予想はMIX良化、為替損軽減で増額期待
26/3期会社予想は売上高585億円(7.6%増)、営利16億円(0.5%増)、経常利益15億円(18.5%減)、税引利益15億円(53.3%増)予想を据え置いた。会社側では品目別、地域別予想を開示しているが、地域別では日本が288億円(7.0%増)と半導体関連とマウンタ、工作機械向けの回復を見込む。海外は中国が88億円(21.3%増)と工作機械の補助金継続、ロボット生産の拡大、半導体製造装置メーカーの台頭などで高成長を見込む。また米州、欧州も緩やかな伸びを見込む。
同社は中間予想を開示していないが、現状、26/3Q1での26/3期に対する進捗率は、日本の23.9%を除き、中国29.3%、米州27.5%などいずれも25%を上回って推移している。また業界別予想はないが、エレクトロニクス、工作機械、輸出含む市販向けの同期比伸び率が高く、25/3Q4前期比比較でも増加している。半導体製造装置、電子部品実装機の受注回復が売上では下期から一部貢献、工作機械向けなどは中国向けが牽引しよう。このため、下期の伸びが高くなると見られ、自動車向けの比率が高くないこともあり、会社計画を上回る売上が見込める。
会社側の利益の増減予想では、増収効果、MIX良化で18.55億円の増益効果に対し、為替影響10.57億円(12円円高、1$=140円)、売上原価高1.36億円、販管費負担影響6.53億円を減益要因としている。しかし利益面では収益性の高い直動軸受を売上高310億円(10.2%増)と見ており、26/3Q1は同期比27.1%増、進捗率26.3%と、計画を上回っている模様。このため増収効果に加え、MIX良化、さらに為替も1$=140円予想であり、5億円程度の為替影響の軽減も見込まれ、利益の増額も期待される。
中計2026見直し策定し27/3期までの累計営利65億円以上は射程圏に
同社は24年5月にIKO中計2026を策定、3カ年平均営業利益90億円目標、期間中に23/3期営利94.59億円超え達成を掲げ、ROE8.0%を目標としていた。しかし、半導体生産の回復が想定よりも遅れ、また中国経済の不透明感が依然としてあり、関税問題や資源価格、地政学的リスクなど不確実性が高いとして25年5月に中計を見直した。修正目標は26年度までに合計営業利益65億円以上、ROEは26年度までに8%以上とした。
現状、26/3H2には半導体産業がAI中心に本格回復が期待される。同社はベトナム新工場用の土地を取得、またメカトロユニットの拡大など、中計達成に向けた施策を実行中である。今回の減額もあり、修正した中計の25/3期~27/3期65億円以上の達成が期待される。
株価は業績低迷を受けて下落、市場暴落時の4/7には2021年11月以来の安値を付けた後、25/5/12の本決算で25/3期を底に緩やかな収益回復、中計も減額見直ししたことで悪材料出尽くしとなったと見られ、その後は上昇、8/7の26/3Q1決算が良かったことから600円大台を守って推移している。類似企業のTHKについては25/12H1が依然として2.0%減収、26.4%営利減で、下期急回復予想となっているのと比較し、半導体製造装置やチップマウンタなどの比率が高くTHKと比較して相対的な株価ではアウトパフォームしてきた。現在26/3期会社修正予想EPS21.66円に対しPER29.2倍はプライム機械平均PER18.4倍に対しやや割高、精密ボールねじの黒田精工17.6倍に対し割高、THK25.6倍に対してはやや割高、軸受総合メーカーの日本精工(6471)54.6倍に対し割安となっている。なおPBRが0.57倍、配当利回り4.1%予想と高く、下期利益改善見通しにある。今後、増額修正も期待されること、27/3期は半導体関連の拡大見通しで中計達成が視野に入ると見られる。ただし27/3期でもEPSは過去の水準に追いつかないと見られ、好材料を織り込んだと判断、やポジティブからニュートラルに評価を変更したい。
(図表は25/3期決算補足資料、26/3Q1決算補足資料などから添付、もしくは加工)
*THK(6481)、黒田精工(7726)、日本精工(6471)との比較
(H.Mirai)