東京製鐵の鉄スクラップ購買判断基準は実にわかりやすい。必要か必要でないか?が全てだ。今は必要ではないからスクラップの買値は下げる。シンプルな答えだ。それはもともと岡山工場の炉休もあったが設備トラブルも重なり大幅減産。8月は予定では6万トンのところ3万トン、ということになり、買値は下げ続けている。
岡山のH2買値は下図のように下がり続けてトン当たり39,000円と湾岸H2買値(40,000円)をも下回っている。
(東京製鐵の岡山海上H2価格の推移)
しかしながら電炉メーカーで下げに動いているのは東鉄のみで、他メーカーは基本的に動いていない。鉄鋼生産は伸びていないが、それ以上にスクラップの発生が悪いからである。
「去年も少ないと思ったが、今年はさらに悪い。前年比で2~3割は減っている」と港のスクラップバイヤーは言う。
この発生不足、さらには為替の円安が下支えとなってスクラップマーケットはこう着商状を続けている。
当初、盆休み明けにはむしろスクラップはこの猛暑のショーテージで「上がる」とみられていた。しかしその期待は外れた格好ではあるが
「実勢としては、新断、HSは43,000~44,000円、場合によっては45,000円がトップでしょうか。H2はやはり40,000円前後から動かしていない」とは湾岸スクラップバイヤー。
(ベトナムのHMSスクラップ輸入価格と為替TTSの推移)
(ベトナム向けHMSは8/26現在で345ドル、為替円ドルは145円)
(国内の新断バラ価格の推移)
では9月以降はどうなるのか?
「メーカーの生産が上向けば、というところだが、それは難しい。といって大きく下がるようなこともないだろうから、今の微妙なバランスの上でのこう着商状が続くのではないか」
とベテランのスクラップトレーダーの見立て。
実際、指標としての鉄鉱石、原料炭もさほど下がってはいない。ということからすると、スクラップはショーテージプレミアムでやや強含み、とみる。
(国際鉄鉱石価格と原料炭価格の推移)
(IRUNIVERSE YT)