25/12H1は3.4%増収11.2%営利減と検収遅れで売上未達も半導体装置増収で利益増額着地
株価2052円(9/9) 時価総額304億円 発行済株14842千株
PER(DO予:8.6X)PBR(1.23X) 配当(25/12期予)34円 配当利回り:1.7%
要約
・25/12H1は3.4%増収11.2%営利減と売上未達も半導体装置収益改善で利益増額着地
・25/12期予想に変更なく14.3%増収15.5%営利減予想
・26/12期は先端半導体向けの拡大から改めて最高収益更新期待
25/12H1は3.4%増収11.2%営利減と売上未達も半導体装置収益改善で利益増額着地
塗布技術を生かした半導体装置、液晶製造装置を軸に事業展開、最近はパワー半導体、HBM向けに収益伸ばす。
25/12H1は売上高162.39億円(期初計画比6.26億円未達、55.6%増)、営業利益28.36億円(同7.26億円増額、5.3倍)、経常利益29.81億円(同48.91億円増額、4.2倍)、税引利益20.67億円(同6.12億円増額、15.1倍)となった。売上面では出荷済みの装置で検収が遅れたことで売上が未達に。ただし利益面では生産が117.91億円(7.9%増)と順調に拡大、原価低減による収益性改善などにより利益は上振れとなった。一方、受注は97.67億円(13.0%減)、受注残は受注減少と検収が進み241.27億円(31.0%減)に。
半期セグメント別では主力のプロセス機器が売上121.94億円(計画比17.06億円未達、 12.1%減)、営利19.20億円(同3.70億円上振れ、30.0%減)、受注80.26億円(14.1%減)、受注残212.37億円(20.8%減)に。収益性の高い半導体装置部門が売上高66.92億円(6.9%増)、受注30.76億円(39.0%減)、受注残高144.17億円(11.0%減)と売上は検収遅れが影響も、受注残の消化が進み増収となった。受注は先端半導体向け堅調も、半導体装置部門でも収益性が高いと見られるパワー向けが低迷、全体として回復遅れが継続した。
搬送機器は売上高39.11億円(7.3%増)、受注39.26億円(10.7%増)、受注残37.41億円(12.3%減)と、半導体設備投資の鈍化影響の中で、受注は中国メーカーからの引き合いなどで堅調に推移した。洗浄装置は売上高11.94億円(47.9%減)、受注8.25億円(70.1%増)、受注残高19.39億円(56.2%減)とウエハメーカーの設備投資鈍化が影響、受注残高が大幅減に。コーターは売上高3.96億円(76.5%減)、受注高1.99億円(24.3%減)、受注残高11.40億円(40.2%減)と、FPD関連の新規設備投資がなく停滞続く。全体を通じ売上では検収遅れで売上未達も、利益面で収益性の高い半導体装置部門の寄与が大きく、利益は生産増加、生産効率アップで増額着地となったものの、大幅減益を余儀なくされた。
表面処理用機器は売上高39.87億円(計画比1.13億円未達、93.9%増)、営業利益5.17億円(同1.57億円上振れ、2.9倍)、受注10.82億円(31.8%減)、受注残高26.69億円(66.7%減)に。売上面では検収が順調に推移、受注はメッキ処理の設備投資先送りなどで大幅減に。
金型・樹脂成形は売上高6.07億円(同0.67億円上振れ、98.4%増)、営利0.56億円(同0.36億円上振れ、1.57億円改善し黒字転換)となった。
25/12期予想に変更なく14.3%増収15.5%営利減予想
25/12期会社予想に変更なく、売上高410億円(14.3%増)、営業利益50億円(15.5%減)、経常利益51億円(15.0%減)、税引利益35億円(17.6%減)予想を据え置いた。このため、25/12H2は売上増額、利益減額予想となる。
会社側では受注予測を開示していないが、年内の受注は停滞が続くとして受注は会社計画を下回る見通しとしている。下期はプロセス機器で上期検収遅れの分が売上計上となる見通しで売上は確保できる見通しとしている。ただし利益はMIXが変化し下期は悪化することなどで、利益も計画線を見込むとしている。
期初計画を変更していないが、コーターデベロッパーや搬送用ロボットは受注が計画を下回る状況。半導体装置ではHBM,AI半導体向けの受注拡大も、パワー半導体向けが一服継続、下期受注回復も納期は来期となる見通しから、会社計画並み収益にとどまろう。
26/12期は先端半導体向けの拡大から改めて最高収益更新期待
26/12期は先端半導体の設備投資拡大、パワー半導体の減速が峠を越すと見られ、全体では増収、営業利益はMIX良化で最高益更新が期待される。牽引するのが先端半導体向け半導体装置。例えばHBMではDRAMダイを積層する際にTSV接続が必要で、この加工はTB/DB工程で行われ、HBMの進化から積層数の増加でニーズも加速する方向にある。具体的に2022年のHBM3からDRAMダイ積層数が1.5倍の12層となり、2025年後半に投入が始まるHBM4では16層が予定されている。またエヌビディアのAI用GPUではA100で6HBMが搭載されているが、B200では次世代HBMが8個搭載され、TB/DB工程数が加速する見通し。現状はAIチップに組み入れるファンダリ向けが多いが、OSAT向けにも拡大が見込め、受注拡大が続こう。なお高シェアのパワー半導体向けはEV不信による低迷も、一部AI半導体データセンターなどの電力設備向けでもニーズが拡大、パワー半導体向けの減速も落ち着くと見られる。搬送機器は半導体工場の新規設備増加に伴い拡大が見込める。洗浄装置向けはウエハメーカーのグリーンフィールド投資縮小も落ち着いてこよう。コーターはFPD低迷影響が継続もPLP(大型ガラス基板半導体製造)向けにプロセス開発向けなどの受注が期待される(量産機向けは27年以降)。またナノインプラントなども開発が進んでいる他、新技術としてMEMSデバイスの封止技術に際し、新たにレーザーによる接合を開発、レーザー接合装置(LAB:Laser Assisted Bonder)を2025年に投入するなど、新製品群の受注も拡大しよう。このため26/12期は増収、MIX良化で営業利益は最高益更新が期待される。
株価は2/14の決算発表を受けて25/12期予想が増収も営利減予想となったことで低迷、4/7の全体相場暴落時に1302円の安値を付けた後は回復、25/12Q1が大幅増収増益だったこともあり6/30には2385円の年初来高値をつけ、その後2200~2300円で推移していた。しかし8/8の25/12Q2が増額着地だったものの受注が同期比減となり8/20の説明会において受注の状況が下期も大きく伸びない見通しとなったことで株価は下落傾向にある。現在、25/12期会社予想EPS238.82円に対しPER8.6倍はプライム機械平均PER18.4倍に対し割安であり、HBM関連と言われるTOWA19.9倍、東京エレクトロン21.3倍、ディスココンセンサスに対し割安感がある。今回、悪材料は織り込んだと判断、26/12期は営業利益でわずかながらも最高益更新が見込まれ、HBM関連銘柄としてポジティブ継続としたい。
(図表は説明会資料、説明会資料からIRユニバース作成、チャートはヤフーから転載)
*TOWA(6315)、東京エレクトロン(8035)、ディスコ(6146)との比較
(H.Mirai)