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チタン原料市場市況2025年9月 さえない、需給ともに弱い アフリカの電力不安重荷

2025/09/15 12:59
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チタン原料市場市況2025年9月 さえない、需給ともに弱い アフリカの電力不安重荷

 2025年9月のチタン原料市場はさえない動きとなっている。用途の6割を占める塗料向け酸化チタンが過去10年間での最安値圏で推移し、需要の弱さへの懸念が根強い、中国の減産やアフリカの電力不安などを背景に需要が細るとの懸念も浮上し、需給ともに弱いことから様子見ムードが広がっている。

 

■酸化チタンは取引薄

 

過去3か月間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)

 

 酸化チタンは8月21日に仲値$1920/tonを付けた。直前まで$1900と過去10年間での最安値圏で推移していたのをやや戻したが、その後は動きがない。FerroAlloyNetは9月12日までの週刊レポートで、「国際的に最終製品価格が低迷して取引自体が少ない」と指摘。中国の一部採掘企業は減産に踏み切っており、アフリカでは電気料金の値上がりが懸念されているが、供給不安を需要減退不安が上回っている。

 

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■総じて下落か横ばい

 ほかの形状も総じて一段安か横ばい。四塩化チタンは2016年9月以来の安値に値下がりした。鉱石価格とフェロチタン価格も2020年秋~冬以来の安値圏で一段安。ルチルは7月下旬から横ばいが続く。

 

過去3か月間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)

過去3か月間のフェロチタン価格の推移(Ti 70% EU)($/kg Ti)

過去3か月間のルチル価格の推移(95% Ti02 bulk Fob豪州)($/ton)

過去3か月間の四塩化チタン価格推移(99.99%min EXW China)(Rmb/mt)

 

 二酸化チタンの低迷を受け、原材料である鉱石の需要にも悲観ムードが漂う。FerroAlloyNet は、「価格面で費用対効果が高いため、チタン精鉱よりもチタン中鉱石に調達対象を振り向ける動きが拡大している」と指摘し、精鉱取引は減少していると述べた。

 

■金属チタンは7ドル割れ

 

過去3か月間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg) 

過去3か月間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($/kg)

 

 

 

 金属チタンもさえない。中国の一般産業向けスポンジチタンは9月11日に仲値$6.9/kgを付けた。直前までの$6.895からはやや戻したものの、8月下旬に割り込んだ$7の水準は取り戻せていない。航空機向けスポンジ紫檀は横ばい。

 

<Topics>

9月10日

 オーストラリア資源大手のアイルカ・リソーシズ(Iluka Resources)は9月10日、西オーストラリア(WA)州でのミネラルサンド事業の一部を12月1日付で一時停止すると発表した。二酸化チタンの需要低迷を受けた措置。

 

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8月27日

 航空機エンジン部品の製造、販売などを手掛けるアエロエッジ(AeroEdge、本社:栃木県足利市)は8月27日の取締役会で、50億円超規模の設備投資を決めたと発表した。航空機向けチタンアルミブレード用の新材料の量産と加工能力の増強を目的とする。

 

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(IR Universe Kure)

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