Commercial Times(コマーシャル・タイムズ)によると、DDR4の価格は供給逼迫により既に堅調に推移しており、エレクトロニクス業界が下半期に季節的なピークを迎える中、メモリ市場は更なる上昇に備えているという。第3四半期の急騰後、台湾と韓国のサプライヤーが供給逼迫のために生産を抑制しているため、契約価格は第4四半期にさらに20~50%上昇すると予測されている。
同媒体によれば、台湾のNanya Technologyは第3四半期に契約価格を前四半期比70%引き上げ、第4四半期にはさらに50%の値上げを見込んでいる。一方、Winbondは前四半期に60%の値上げを記録し、第4四半期にはさらに20%の値上げを見込んでおり、契約価格は第2四半期の底値から80%~90%上昇する見込みだ。同紙は、両社とも予想よりも早く黒字転換する可能性があると指摘している。
メモリメーカーがDDR5とHBMへの移行を加速するにつれ、サムスン、SKハイニックス、マイクロン、中国の大手DRAMサプライヤーが生産を段階的に中止するため、2026年第4四半期までに世界のDDR4容量は2025年第1四半期レベルのわずか25%~33%に低下すると予測している。
対照的に、台湾メーカーは供給ギャップを埋めようと動いている。コマーシャル・タイムズによると、ナンヤ・テクノロジーはDDR4の生産能力を50%増強し、世界的な撤退に伴う需要を吸収する。一方、ウィンボンドは8Gb DDR4の生産ラインを増設した。同レポートで引用されたアナリストらは、この戦略によって台湾メーカーは2026年までに市場シェアを大幅に拡大し、DDR4市場における韓国メーカーの優位性に徐々に挑戦する可能性があると述べている。
サムスンとSKハイニックスは2025年後半から2026年初頭にDDR4の出荷を終了する予定だったが、DDR4価格の高騰により、来年まで生産を延長するとが報じられた。
OMDIAの最新の調査結果によると、DDR4 市場は 2025 年下半期まで供給不足と価格の高騰が続く見込み。PCやサーバー分野と比較して、コンシューマーDRAM市場の供給はさらに逼迫している。産業用制御、ネットワーキング、テレビ、コンシューマーエレクトロニクス、コントローラーなどのアプリケーションを網羅するこの分野では、主にDDR4が使用されているが、サプライヤーの割り当て優先順位はPCやサーバー分野に次ぐものとなっている。その結果、需給の不均衡は特に深刻化している。トレンドフォースのデータによると、7月のコンシューマー向けDDR4契約価格はすでに60~85%以上上昇しており、2025年第3四半期の契約価格は前四半期比85~90%増へと大幅に上方修正されている。
OMDIAはDRAM、10~12月期も価格上昇する見込みであると述べている。
DRAM価格が上昇していることに加え、 10~12月期も更に価格上昇が見込まれるとのことだ。
また、記事によると、「台湾と韓国のサプライヤーが生産量を抑制しているため、10~12月期はさらに20%〜50% 価格が上昇すると予測されているという。
下記の表は台湾のナンヤ・テクノロジーとWinbondの生産能力を纏めたもの。

上記数値はDDR4の生産(bit base)に占める割合計画を表している。NanyaはDDR4の占める割合が高く2025年Q171%、Q3(7~9)月は56%と下げているが1Q2026でも47.%と約半分を占めている。Winbondも同様に1Q2026においても53%と高い。
韓国メーカーがDDR4生産を抑制した生産計画を立てているのに対し、残存者利益を確保する計画を立てている。
なお、表2にDDR4のデザインルールおよびNanya・Technology、Winbondのプロセスノードを表している。

2ynmという表記は、DRAM製造におけるプロセスノードを示す略語で、Nanya(南亜科技)、WinbondはDRAMメーカーが使う業界慣習的な命名である。これは実際の物理的な線幅ではなく、世代区分を意味する。
・「2ynm」は第2世代の20nmクラス技術を指す。
・「nm」はナノメートル(プロセスノードの単位)であり、実際の寸法ではなく、世代ラベルとして使われている。表3に各社の表記を記す。

(椿匡之)