9月29日付、日経新聞では、スポンジチタンの輸出が好調で株価も堅調というけれども・・・。
実際、貿易統計をみると国内スポンジチタンメーカー2社の輸出量が伸びている(図表1、2参照)。大阪チタニウムテクノロジーズ(以下大チタ)は、25年4月以降、前年同月比3割以上の伸長が続いている。東邦チタニウム(以下東チタ)も7ヵ月連軸で前年同月比を上回って推移している。両社の伸び率の違いは、米国の主要顧客が異なることによる。
図表1、大阪チタニウムテクノロジーズの輸出量と伸び率(トン、%)

注意:神戸税関から米国向けと英国向けの合算
出所:貿易統計よりIRU作成
図表2、東邦チタニウムの輸出量と伸び率(トン、%)

注意:横浜税関及び門司税関からの米国向けと英国向けの合算
出所:貿易統計よりIRU作成
ここで、スポンジチタン需要動向を見るうえで重要な民間航空機の受注状況を見てみると、25年8月末のボーイング社の受注残機数は7,161機と、過去最高納入機数で割ると8.9年分に受注残になる。一方、エアバス社の受注残機数は8,724機、同様に試算すると10.1年分になる。ちなみに、民間航空機の受注状況は図表3、受注残機数は図表4の通り。なお、25年に入って受注機数が増加しているのは、世界最大のパリ航空ショーなど大型航空ショーが多い年、いわゆる表(おもて)年に当たり2年以ごとに繰り返される。
図表3、民間航空機の受注機数推移(機)

出所:日本航空機開発協会よりIRU作成
図表4、民間航空機の受注残機数の推移(機)

出所:日本航空機開発協会よりIRU作成
日本のスポンジチタンメーカーに関係の深いボーイング社の状況でみてみると、人気で1機当たりのチタン使用量が多いB737maxの受注と納入状況は、図表5のとおり。25年7月末時点でボーイング社の総受注残機数の75.2%をB737maxが占めている。
図表5、B737maxの受注納入状況(機)

出所:日本航空機開発協会よりIRU作成
注目してほしいのは納入機数だ。B737maxは墜落事故等の影響により米連邦航空局(FAA)より、月当たりの生産機数に制限をかけられている。事故前までの月間53機生産したことがあったが。24年4月より引き上げられたものの月産38機しか作れない(統計上は納入のタイミング上若干ぶれる)。このため、FAAの規制が無くならない限りスポンジチタン需要の押し上げ要因とならず、結果的にB737maxの受注残だけが積みあがることになる。2度にわたる墜落事故の影響もあり一時181機/月ものキャンセルが発生したが、最近のキャンセル機数は落ち着いている。
図表6、B737maxの受注残機数とキャンル機数の推移(機)

出所:日本航空機開発協会よりIRU作成
このため、IRUでは引き続きFAAの規制緩和のタイミングをうかがっていく。
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⇒「チタン:FAAがボーイングに対し実施権限を緩和するも・・・」
<参考>
図表7、スポンジ各社の株価推移(25年6月末=100)

出所:YahooジャパンよりIRU作成
(IRuniverse 井上 康)