
シャープは2日、鉄を用いたフロー電池の開発に強みを持つESI Asia Pacific Pty Ltd(オーストラリア・クイーンズランド州ブリスベン市、ESI社)と、オーストラリア・クイーンズランド州政府の協力のもと、フロー型亜鉛空気電池の開発連携に関する覚書を締結したと発表した。協業を通じて、両社のフロー電池に関する技術を融合させ、フロー型亜鉛空気電池の研究開発を強化する考え。
ESI社は、オーストラリアとアジア太平洋地域において、系統用の鉄フロー電池の開発から製造、販売までをおこなっている企業。現在、オーストラリアにて、2026年に年間200MWの生産規模とすることを目指し、鉄フロー電池の商用化を進めている。鉄フロー電池は、レドックスフロー電池の一種で、鉄を蓄エネルギー物質として利用する低コストかつ大容量の蓄電技術であり、電解液を循環させることで充放電をおこなう点など、フロー型亜鉛空気電池との技術的な親和性が高いものとして知られている。
シャープは2022年から環境省の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の支援のもと、フロー型亜鉛空気電池の開発を進めてきた。同電池は、蓄エネルギー物質に、豊富で安価な亜鉛を用いた貯蔵技術であり、低コストで大容量、かつ発火リスクが極めて低い、安全性に優れた蓄電池として、再生可能エネルギーの大容量貯蔵への利用が期待されている。
(IRuniverse K.Kuribara)