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欧州からの風:October 2025 「EU、2035年CO2排出基準規則の見直しに着手」

2025/10/09 17:46
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EUが2022年に採択した自動車の排出性能基準に関する規則(EU) 2019/631は、2023年の一部改正によりEU域内における内燃機関車の販売を2035年以降禁止したことで知られる。「CO2排出基準強化規則」の目的は輸送部門のなかで最も排出量の高い道路輸送手段における炭素排出の削減し、自動車産業におけるゼロ排出への移行を推進するというものだ
【参考記事】https://www.iru-miru.com/article/65509

現在EUは本規則の見直し作業に着手する。その一環として7月からパブリック・コンサルテーション(一般からの意見表明)の募集が始まっており、欧州委員会は今回の見直し作業の背景について、以下のように説明している。

現在、EUの道路には既に600万台以上のゼロエミッション乗用車があるが、2035年の目標を達成するには大幅な増加が必要である。現在欧州の自動車部門は、前例のない速度と大きな規模で構造的変革を経験しており、困難でますます不安定な地政学的状況下にある。そのため、長期的に市場に影響を与えることなく製造業者が規則を遵守するためには、規制における「柔軟性」が必要である。

見直し作業においては以下の点に焦点が当てられる。

  • 柔軟性、簡素化、行政負担の軽減:製造業者が最もコスト効率の高い方法で目標を達成できるよう、規則を合理化し簡素化するオプションが検討される。現行の監視および報告規則は、デジタルツールのより良い活用を含め、その機能を簡素化するために見直される。
  • 2035年CO2排出目標:規則第15条により、委員会は2035年から適用される100%削減目標の達成に向けた進捗状況を評価することが求められている。プラグインハイブリッド技術を含む技術開発と、経済的に実行可能で社会的に公平なゼロエミッションモビリティへの移行の重要性を考慮に入れる。
  • 燃料の役割:2035年の気候中立目標の達成には、e燃料を含む技術中立的アプローチが必要である。見直し作業のなかで実施される「影響評価」では、他のEU規制と、航空や海運を含む脱炭素化の選択肢が少ない他の部門のニーズを考慮しながら、燃料の役割に関するオプションを検討する。
  • パブリックコンサルテーションの実施:12週間実施(10月半ばに終了予定)され、欧州委員会サイトのパブリックコンサルテーション「Have your say」で意見表明が可能。

なお見直し作業に含まれる燃料の役割については、ドイツの自動車OEMが中心となって技術の中立を訴えe燃料を認めることを要請しており【参考記事:https://www.iru-miru.com/article/59031】、現在も欧州議会のEPP(欧州人民党)やドイツ国内の関連業界によるロビイングが続いている。一方で、フォン・デア・ライエン委員長は、2035年から始まる「内燃機関段階的廃止方針」を堅持する意向を明確にしており、ドイツメディアは、ロビングは功を奏していないと伝えている。EUはe燃料をどのように定義づけるのかに注目したい。

 

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SCHANZ, Yukari
オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。
趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。
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