11月7日10時、東海カーボンは前日発表した25/12期3Q決算を受けて、説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。説明は財務経理部管掌の平井氏が行った。
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<25/12期3Q>
〇概況(資料4ページ)
1点目、売上高は、米国拠点の連結子会社化、それからメモリー半導体需要の回復等により、ファインカーボン(FC)事業で前年同期比増収となったが、一方で、黒鉛電極事業におけるドイツ拠点の子会社売却、その他のセグメントにおける販売価格の低下や販売数量の減少といったこともあり、連結全体では前年同期比減収となった。
2点目、営業利益は、黒鉛電極(電極)事業の構造改革、そしてスメルティング&ライニング(S&R)事業において、前期に行った減損損失計上等により、この両事業がともに黒字に転換したほか、生産効率の改善やコスト削減も寄与し、連結全体でも前年同期比大幅な増益となり、期初公表予想比でも9ヵ月でハイペースの進捗、着地となった。
3点目、EBITDAは、前年同期比減少したものの、EBITDAマージンは改善し、その水準も引き続き10%台後半を確保した。
4点目、将来の成長に必要な戦略投資、設備投資等は厳選をしつつも継続しており、財務面では有利子負債も活用。その結果、ネットD/Eレシオは前期末と比べましてやや上昇した。しかしながら、財務健全性や流動性については引き続き高い水準を確保し、外部信用格付けではA格水準と安定的との見通しを維持した。
資本構成につきましては、健全性とともに資本コストを考慮した適正範囲にあるという風に認識しております。
5点目、ブリジストンとのカーボンブラック(CB)製造販売子会社の株式取得により、連結子会社化を当四半期末に完了。同グループとのグローバルでの連携や競争を推進して、一層のパートナーシップ強化により、タイマーケットでの安定的な供給と競争力の確保を図っていく。
また、今3Qについては、資本及び資産効率の向上を目的として政策保有株式を一部売却により投資有価証券売却益を特別利益に計上したことから、当期利益は大幅な増益となった。
3Qまでの業績の進捗と足元の業績動向を踏まえて、25/12期通期の業績見通しは、営業利益をはじめ各段階利益を上方修正した。
〇サマリー(同5ページ)
売上高は、前年同期比8.2%減収の2,373億円、営業利益は40.0%増の213億円、ROS(営業利益率)は9.0%で、前年同期比+3.1ポイントの改善となった。EBITDAは440億円となり、EBITDAマージンは18.5%と、前期比0.4ポイントの改善となった。
営業外損益で為替差損益の悪化があったが、先ほど説明したように投資有価証券売却益を41億円ほど計上したこと、それから、前年度に計上した事業債権引当金、こちらの一部戻入れもあり、当期利益は、前期比192%、2.9倍の163億円という着地となった。
〇セグメント別(同6ページ)
S&R、電極事業は、前期に計上した減損等の効果もあり、前年同期比、営業利益が増益となり、その他のセグメントは減益となった。営業利益は増益、そして、期初に公表した予想233億円の営業利益に対して9ヵ月の進捗としては213億円ということで、ハイペースでの進捗となっている。
また、EBITDAについてはS&R、電極で増益となった。なお、営業利益、EBITDAで言えば全セグメントで黒字となった。
■カーボンブラック(CB)(同7ページ)
前年同期比売上高が7.1%減収、営業利益が28.7%の減益となった。日本、米国・タイ拠点によりそれぞれ差があるものの、全体としては、資料下段の前年同期との比較、増減分析のとおり、減収については、ユーザーであるタイヤメーカーの生産調整などによる販売数量減、販売価格下落が主な要因となった。
営業利益は、マージンの縮小と償却費・固定費増により前年同期比減益、ROSは、前期3.2ポイントダウンしているが、水準は10.5%と、2桁を維持した。
■ファインカーボン(FC)(同8ページ)
こちらは前年度比3.7%増収、営業利益は32%の減益となった。ROSは6.1%ということで、9.6ポイントほど低下したが、こちらも2桁後半の水準はしっかり確保した。
メモリー半導体需要の回復に伴い、主要製品であるソリッド、SiCフォーカスリング、こちらの販売数量が増加し、これに米国拠点の連結子会社化が寄与して、売上高は前年同期増収となった。
営業利益、EV、電気自動車の成長鈍化に伴うSiCパワー半導体関連市場の成長が連れて減速する中で、中国市場における競争の激しさ等もあり、前年同期比では利益の方は減益となった。
こちらのセグメント利益については、数量、マージン、のれんの償却費も含む固定費が減益要因となった。
■S&D(同9ページ)
前年同期比9.8%の減収となったが、営業利益は前年同期比110億円ほど改善し、水準が7.4億円ほどの黒字にて転じた。今3Qは、アルミ製電動の改修需要の回復が遅れたこと、競争が激化により、前年同期減収となった。また、営業利益は、コスト削減や前年ののれん等の減損処理による償却費の減少により、営業利益は、期初、通期の予想利益0で見ていたが、2Qに続き、3Qも黒字となった。なお、のれんの償却の減少の効果等を除く利益水準は前年同期比で2桁億円改善しており、収益力は着実に向上基調に入っている。
減収の要因は数量、売価が影響しており、営業利益は、数量減の影響はあるもののマージンは改善した。その他のところには償却費等の固定費減少分が入っている。
■黒鉛電極(電極)(同10ページ)
前年同期比23.7%の減収、営業利益は約40億円改善し、16億円の黒字となった。
今3Qも、鉄鋼指標が低調に推移したことから電極の市況も低迷しており2Qよりドイツ子会社を売却したことによって、連結から外れた影響もあり、前年度比減収となった。原材料価格の下落等により、生産コストが下がったこと、国内工場の生産集約効果、こういったものが前倒しで出てきているということもあり、ドイツ子会社売却による効果により黒字転換、増益となった。
セグメント利益は、数量増が増収要因、非連結化その他が減収要因。営業利益は、数量とマージン、それから固定費減で増益となった。
■工業炉及び関連製品(同11ページ)
12.5%の減収、26.6%の減益となった。工業炉及び発熱帯の主要マーケットであるエネルギー関連業界、電子部品業界における設備投資需要が、足元の消費需要の減退や景気の不透明感から低迷が長引いており、減益。営業利益、ユーザー都合による納期のずれ等の影響もあり、販売数量減を主因とする減益。
〇キャッシュフロー及び貸借対照表
こちらは、資料の12-13ページを参照。
<25/12期業績予想>(同15ページ)
〇業績予想
売上高は、主にCB事業の減少により、期初・前回予想比200億円の減少を見込む。営業利益については、生産効率の改善やコスト削減があり、3Qまで主要セグメントとも堅調に推移したことから上方修正。
一方、4Qは、タイCB製造販売子会社の取得関連費用やFCの米国拠点の取得に伴うM&A関連費用等で追加的に20億円程度の費用発生が見込まれる。
これらをこなした上で7億円の上方修正、増加となり営業利益は240億円に修正した。この一過性の要因20億円を考慮したレベルが、いわば実力ベースの利益。
また、当期利益は、3Qに計上した特別利益の効果もあり、前回の予想に比べて70億円ほど上方修正し、180億円と見直した。
〇セグメント
資料の同16ページを参照
<コメント>
説明会では減損処理を行ったことで、電極及びS&R事業のセグメント業績は改善したが、ただ、両セグメントの事業環境は改善の兆しが見えないため、26/12期は、減損によるかさ上げがなくなるため、構造改革の効果がどれだけ、収益に寄与するのかみてみたい。また、工業炉関連は、子会社を取り込む前、子会社は高い利益率を稼ぎ出していただけに、回復が待たれる。また、CBについても、脱ブリヂストン政策でユーザーに振り回されない収益構造を獲得し安定した利益率を出していただけに、このセグメントの回復も期待される。
(IRuniverse 井上 康 )