信越化学工業株式会社(本社:東京、社長:斉藤恭彦)は、ケイ素化学を駆使した課題解決(Shin-Etsu Silicones Solution-Engineering™)の一環として、これまで困難だったリサイクルを実現する熱可塑性シリコーンを開発したと発表した。
プラスチック‧ゴム製品は、「熱可塑性」タイプと、「熱硬化性」タイプの二つに分類されるが「熱可塑性」タイプは熱を加えると軟化‧流動化し、冷却すると固化するもので、リサイクルが可能。一方、「熱硬化性」タイプは熱を加えると硬化するもので、リサイクルは困難になる。シリコーンゴムは、一般的には「熱硬化性」に分類されている。
今回、開発した熱可塑性シリコーンは、長年培ってきたポリマー変性技術を駆使することで、従来のシリコーンゴムにはない以下の特長を実現した。
1.熱可塑性のため、リサイクルが可能。
2.従来のシリコーンゴムとは異なり、高硬度(ショアA※1 80以上)でも高伸長(切断時の伸び:800%以上)の特性を有する。
3.無機粉体(シリカなど)を含有していないため透明性に優れ、着色も可能。
4.加工性に優れ、プラスチックと同様の射出成形が可能。
5.溶剤タイプにすることが可能で、コーティング用途にも展開できる。
6.肌合いが良く、シリコーンならではの柔らかな感触がある※2。
信越化学の熱可塑性シリコーンは、ゴムのように弾力性のあるものからプラスチックのように固いものまで、ユーザーのニーズに合った製品を提供することが可能。製品の特長から、モバイル機器やスポーツ用品などの肌に触れる部分のゴム部品、医療や介護などに用いられる各種機器の表面コーティングなど、従来のシリコーンゴムとは異なる用途を想定している。
※1:物質の硬度を測る試験方法の一つ。
※2:組成によって感触は異なります。

(IR universe rr)