11月18日16時半、日軽金ホールディングスはIR説明会を開催した。「経営改革の推進」進捗の説明資料はこちら。説明は岡本社長が行った。
<「経営改革の推進」 進捗>
〇「経営改革の推進」 進捗(資料2ページ)
こちらは、経営改革推進の発端として認識している経営課題と同社を取り巻く環境、それらに対し同社が経営改革で何を成し遂げたいのか、前回のIR説明会で説明してきた内容をまとめたもの。
激しく変化する市場環境のもと、恒常的に300億円の経常利益を達成するという旗を掲げ、今日まで経営改革を推し進めてきた。基盤も整い、非財務面の問題もほぼ解決に至った今、近年の守りから攻めに変わる大きな分水嶺を超えたと判断する。
懸念の品質問題は、会社報告書で約束した再発防止課題項目が順調に進捗し、予定の3ヵ年、来年3月までにすべての課題を完遂できる見込み。
引き続き、拠点長会議、職場行脚での従業員との直接対話により、品質を起点として、同社グループの古い企業風土の刷新と、グループで働く全従業員への浸透をたゆまず進めていく。
一方で、市場ニーズや課題への積極的な対応、攻めをしていくため、今までの体制を大きく変え、次の時代への本格的な成長につなげていく、これが経営改革推進の意義。
経営改革の1年目である24年度は、取締役会の監督機能強化とともに、大規模な8つの事業グループと強力な8つの機能組織へのグルーピングを行い、攻めが積極的にできる新しい体制、基盤を構築した。
経営改革2年目である25年度は、8つの事業グループ内でのエンティティーの見直しをはじめとする資源配分の具体策や、次期中期経営計画における成長戦略の基盤構築に順次着手しており、いずれも順調に進捗できている。具体的な進捗について、資料の6ページ以降で説明する。
〇事業グループ体制に基づく資源配分・成長戦略(同6ページ)
中期経営計画策定を待たず、攻めの活動はスピード感を持って進行させている。この表は、現時点で決定またはすでに実施している資源配分と成長戦略の状況を一覧で示したもの。
箔地事業グループにおける5G化、AIサーバ増設などで需要が増加している放熱材料といった成長分野への注力をはじめとした既存ビジネスの強化及び、メタル事業グループによる循環型サプライチェーン構築に向けたインドの再生アルミ事業CMR NLM Eco社への出資をはじめとする新規ビジネスの探求といった、マージンを上げるための攻めの具体策は着実に進捗している。
このように、事業グループが大きなくくりになったことで、事業・商品のポートフォリオが柔軟となり、より成長が期待される分野、高価価値商品へのシフトがしやすくなった。
また、内部効率を上げるための製販統合、事業拠点での機能統合、拠点の集約といった効率性強化を目指した体制変革についても、聖域を設けず即実行に移している。
これにより、人的資本を戦略に基づき弾力的に配置することが可能になっていくと考えている。
また、DXや自動化への取り組みを効率的に行っていくこと、新商品・新ビジネスの創出などを加速させることにもつながる。今後、さらに内部効率を上げることにより、同社グループの競争力アップを図っていく。
先に紹介した案件は、現在進めている攻めの体制変革の一部に過ぎない。同社グループの成長や資本効率向上を阻害している課題に対し、商品、事業の選択や撤退、事業成長に向けた出資やM&A、外部との協業及び販売体制や流通体制の見直しなど、さらなる機能統合や国内、海外拠点の最適化といった、前例にとらわれない変革が現在進行中。
一方で、23中計で掲げた財務目標である経常利益300億円については、次期中期経営計画期間の26年度以降、できる限り早い時期に達成させる。また、次期中期経営計画期間中に、ROIC8%以上となる資本効率向上策を策定する。
〇株主還元(同10ページ)
23中計では、総還元性向30%以上を方針として標榜し、活動を続けてきた。25年度は、5月に示した前期比10円増配の1株当たり80円を予定。この結果、23中計期間内で30円の増配となる見込み。
次期中期経営計画での株主還元方針の強化に向け、引き続き検討を進めていく。
〇次期中期経営計画について(同11ページ)
26年度に開始する次期中期経営計画について。今までと違い、まず、10年後の日軽金グループの目指す姿を示す長期ビジョン2035ビジョンを策定するところから始めた。
これまで同社は、3ヵ年の中期経営計画を策定、3年後に向けた成長戦略と財務目標を示し、その達成を目指してきた。しかしながら、経営改革における問題意識、すなわち、目まぐるしく変化する外部環境と社会課題の増加に対処していくため、小さな事業主体で処理してきた分権型企業運営での限界に加え、このままの方針で10年後も同社は成長し続けることができるかという圧倒的な危機感が私どもの胸に厳然と存在する。この危機感を共通認識として、長期ビジョン2035ビジョンを構想した。
今後、循環と競争の掛け算で未来を作る循環型価値創造のグローバル・リーディング・カンパニーを、日軽金グループの長期ビジョン2035ビジョンとして掲げ、挑戦を続けていく。
ここでは、長期ビジョン2035の実現ステップと、次期中期経営計画26中計の位置づけを示している。
長期ビジョン2035ビジョンに向け、今後3期の中期経営計画のステップを踏み、日軽金グループを循環型価値創造のグローバル・リーディング・カンパニーへと高めていく。
次期中期経営計画である26中計をステップ1と位置付け、長期ビジョン2035からのバックキャストで、26年度から28年度の3ヵ年の中期経営計画を現在具体的に策定中。26中計では、新しい価値つくり、プロセス変革を基本方針に、変革の実践をしていく。
今後、8つの事業グループと8つの機能・組織による骨太方針、予算を策定の上、26中計の全体像を取りまとめる。
23年に公表した品質不適切行為再発防止策は、26年3月をもって完成する。23年度開始の23中計と24年度からの経営改革の推進を経て、26中計では、8つの事業グループと8つの機能・組織による執行を本格化させる攻めを中心に、日軽グループの事業発展、利益成長、資本効率の改善といった企業価値向上を推進していく。
今回のIR説明会では、長期ビジョン、2035ビジョンと次期中期経営計画26中計のアウトラインを先行して発表。2035ビジョンと26中計の全体像、詳細については、26年5月に公表を予定している。
続いて「循環型サプライチェーン構築」の説明資料はこちら。説明は松平執行役員が行った。
<循環型サプライチェーン構築>
〇カーボンニュートラルへの取組み(同2ページ)
過去のIR説明会でカーボンニュートラルのこれまでの取り組みを説明した。23年には、グループとしての取り組みを加速するために、カーボンニュートラル推進室を設置した。また、昨年24年には、2030年に向けたロードマップを説明したが、これまでのところの説明は、主にリスク側面の取り組みを紹介した。そして、次期中計、先ほど岡本氏から説明があったが、その基本方針の1つである新しい価値づくり、この中の1つの柱となる脱炭素の機械側面について、説明申する。
日軽金グループは、歴史的に製錬を生業として発展し、その後に素材から加工サービスへとサプライチェーンを垂直的に統合することでビジネス領域を拡大してきた。その結果として、グループ内には様々な事業領域があり、また二次合金事業も行っており、歴史的な背景も踏まえて、日軽金グループだからこそできる新しい価値づくりを目指していきたい。
具体的には、グループのサプライチェーンを循環型に移行しながら、資源循環、脱炭素などの新たな価値を作り、社会的な価値と経済的な価値を追求するものになる。
〇アルミの国内メタルフロー(同4ページ)
ポイントとなるのは、国内需要のうちおおむね半分(この表の右半分)は製品あるいはスクラップとして国外へ持ち出されるという構造になっている。国内でのさらなる循環利用の推進に加えて、海外からの資源管理がなければ安定的な循環型のサプライチェーンの構築が難しいというのが今の状況となっている。
したがって、安定的な循環型サプライチェーンの実現に向け、ここに示しているような大きく4つの類型、1つ目にクローズドループリサイクル、2つ目がアップグレードリサイクル、3つ目がグローバルリサイクルフロー、4番目が循環型商品という、この4つについて10ページ以降で紹介をする。
●クローズドループリサイクル推進(同6ページ)
新幹線から新幹線、あるいはトラックからトラックといった形で、ユーザーと一緒になって環境負荷低減を目指すという取り組みになる。
その中の新幹線のリサイクルフローを示しているが、こうした循環を、パートナーを含め、より多くの事例を積み上げていくということが求められていると思っている。
●アップグレードリサイクル技術とは?(同8ページ)
アルミの純度によって、新塊は展伸材、スクラップは鋳物の合金として、この表の左半分で循環をしている。今後さらなる循環型を目指すためには、展伸材におけるスクラップの利用拡大が必要となるが、これは単なるリサイクルではなく、展伸材に即したスクラップ利用が求められている。
すでにグループ内にあるニ次合金事業におけるリサイクル技術に加え、さらにスクラップの利用拡大を可能にする素材技術の開発と実践が必須となってくる。
1つの具体的な取り組みとして、大手のリサイクルでありますTREグループとの事例を9ページで示しているが、動脈静脈、これがそれぞれ連携をする形で循環型の価値を作っていくという事例を示している。
●グローバルリサイクルフロー構築(同10ページ)
安定的な循環型サプライチェーン構築を目指す中では、日軽金グループだけでは十分な資源循環ができない状況に対して、スクラップの最大輸出国である米国、最大の輸入国であるインドを加え、日本への資源循環を目指す取り組みを11ページで紹介している。
これは本年6月にリリースをしたが、CMR NLM Eco社への投資は、こうしたグローバルでのリサイクルフローへの取り組みの1つである再生展伸材の安定供給を可能とする取り組みになる。
●循環型商品の販売(同12ページ)
日軽金グループは、今まで説明した取り組みのさらなる推進により、低炭素あるいは循環型価値という社会的な価値と経済的な価値を結び付けていきたいと考えている。
そのためには、このページの右半分にあるように、1つ目には、価値の訴求や理解のためのブランド化、そして2つ目には、その価値を保証する体制、こういった対応を進めていきたい。
こうした低炭素や循環型の価値に対する市場分野あるいは湯y-ザーの要望は様々。日経金グループは、こうした要望に対して、それぞれの事業グループごとでの対応はもちろんのこと、ユーザーだけでなく、様々なパートナーとの共同を通じた価値作りを進めていきたい。
以降、「日軽金 HD:IR説明会(人的資本/サステナビリティ経営)」に続く。
(IRuniverse 井上 康)