銀の供給がひっ迫している。鉱山拡張が難しく供給量は横ばいが続くが、太陽光パネルなど工業向け需要が掘り起こされ、需要は増えている。米識者のピーター・クラウス氏はカナダの貴金属投資会社であるスプロット・アセット・マネジメントが12月9日に放送したラジオ番組で、過去5年間続いた供給不足は「さらに5年間続いてもおかしくない」と語った。

スプロット・ラジオの文字収録(公開部分): The Case for Silver | Sprott
■「供給不足は厳しさを増す」
クラウス氏は銀について「ざっくりいって、供給量が10億オンス、需要が12億オンスでおよそ2億オンスの供給不足の状態が続いている」と述べた。同氏は米シンクタンクのシルバー協会(Silver institute)の統計を引き、「銀の需給バランスは2021年から5年間にわたり供給不足だ。シルバー協会も言っているが、この状態がさらに5年間続いてもおかしくない。それどころか状況は厳しさを増している」とも指摘した。
過去10年間の銀の需給バランスの推移

(出所:シルバー協会ホームページ)
クラウス氏によると、銀の供給は85%が採掘から、15%がリサイクルから生産される。まず新たな鉱山の拡張は難しい。さらに、銀は多くの場合、金や銅、鉛、亜鉛など他の鉱物の副産物として採掘されるため、鉱山会社の収益に対する比重は小さく、積極的に銀のみを採掘しようとする鉱山企業も少ない。2016年に一時採掘がピークに達した後、余剰分は先物市場で在庫化していたが、ちょうど2021年ごろから「この在庫を食いつぶす動きとなった」(クラウス氏)という。
一方、需要では、銀消費全体の2割ほどを占める太陽光パネル向けの需要が拡大している。クラウス氏によると、太陽光パネルの生産技術は「TOPCon(トンネル酸化不動接触)」という新しい技術への置き換えが進んでいる。この技術は古い技術に比べ効率的だが、銀の使用量は多く、1パネルにつき旧技術に比べて最大50%多い銀を使用するという。クラウス氏は「太陽光パネル産業での銀の使用量は増える見通しだ」とし、高騰する金の代替先としての投資需要の高まりも加わって、「銀需要の増加が見込まれる」とした。
■最高値更新後も勢い衰えず
過去20年間のNY銀価格の推移($/toz)

銀の国際価格は過去最高値圏での上昇が続いている。ニューヨーク商品取引所(COMEX)での銀価格は12月10日に$61.055/tozを付けた。銀は10月半ばに$53を超えて過去最高値を更新したが、その後も勢いは衰えず、節目の$60も上回った。
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(IR Universe Kure)