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【年末企画 ガリウム、ゲルマニウム】2年連続で過去最高値、中国規制で品薄続く

2025/12/17 18:15
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【年末企画 ガリウム、ゲルマニウム】2年連続で過去最高値、中国規制で品薄続く

 2025年のガリウムとゲルマニウム価格は総じて上昇した。ガリウムと金属ゲルマニウムは通年で倍以上に値上がりし、2年連続で過去最高値を更新した。2023年の中国の輸出規制開始から2年以上が経過し、いよいよ品薄感が強まっている。

 中国は2023年7月3日に、同年8月1日からのガリウム・ゲルマニウムの輸出規制を発表した。2024年12月3日にはガリウムとゲルマニウムの対米輸出自体を禁止したが、この措置は10月の米中首脳会談を経て延期している。しかし、対米輸出の禁止がなくなっただけで、中国からのガリウム・ゲルマニウムの輸出には審査申請と認可取得が必要な状態が続いている。

 

■規制発表前からは5倍に値上がり

過去1年間のガリウム価格の推移(EU Spot market)($/kg)

 

 ガリウム価格は12月5日に$1362.5/kgと、年初($595)の約2.3倍に値上がりした。中国が輸出規制を発表する前の2023年7月上旬($257.5)からは5.3倍に上げた。ガリウムは規制発表直後から在庫確保の動きが強まり急伸。その後も2年間にわたり勢いは衰えたもののやはり上昇し続けた。

 

過去1年間の金属ゲルマニウム価格の推移(99.99% China)($/kg)

 

 一方、金属ゲルマニウムは12月11日に$6250/kgsと、年初($2925)の2.1倍に上げた。金属ゲルマニウムは2023年のうちは動きが鈍かったが、2024年以降に品薄感が意識されている。規制発表前の($1350)からは4.7倍の水準に上げている。

 

過去3年間のガリウムと金属ゲルマニウム価格の推移($/kg)

 

 2025年に入ってからの値動きはガリウムと金属ゲルマニウムはほぼ同調した。

 

過去1年間の酸化ゲルマニウム価格の推移(99.99% China)($/kg)

 

 酸化ゲルマニウムは2024年12月30日の$1774/kgから2025年は年間を通して動かなかった。

 

■新たな鉱床は28年まで厳しいか、スクラップに期待

 中国が政策を変更する気配がない中、西側諸国ではガリウムやゲルマニウムの鉱床探査などが活発化し、新たな供給源が模索されている。しかし、新たな鉱山の開発には長い時間がかかる。第三者価格調査機関アーガス(Argus、本社:英ロンドン)のアナリストは12月10日、日本支社が都内で開催したセミナーで、「カザフスタンやオーストラリアのプロジェクトは2028年まで稼働しない見込みで、中国が供給の約90%を占める市場構造下、価格は高止まりが続く」とし、「短期的な解決は困難だ」と予測した。

 

関連記事: アーガス日本主催金属市場セミナー 中国の輸出規制と供給網再編が焦点

 

 バージン鉱物の取得が困難を極める中、期待されているのはスクラップだ。オーストラリアの金属企業MTMクリティカル・メタルズ(MTM critical metals)は5月、「米テキサス州に金属回収工場のための建設用地を取得した」と発表した。産業廃棄物や電子廃棄物から、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、金などの重要金属を回収することを目指す。

 

関連記事:豪MTM、米テキサス州に金属回収用地を取得 廃棄物からガリウムやインジウムを抽出

 

 スクラップを巡っては、若干、前向きな見方が聞かれる。11月のIR Universeのトレーダーへの取材によると、バージン価格の高騰を受けスクラップ価格も高騰し、スクラップからのガリウム精錬業はフル回転しているという。ただ、供給がいきわたるため、このトレーダーは「2026年春あたりには価格が下がる可能性もある」と話していた。

 

関連記事: ガリウム、高値は今がピークか タングステンは1000ドル超え予想も・市場の声

 

 2026年は中国の規制も丸3年を迎える。スクラップの価格上昇が鈍れば、バージン価格も若干調整する可能性もある。

 

(IR Universe Kure)

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