一般社団法人新金属協会は1月14日、霞山会館にて「2026年新年賀詞交歓会」および「第26回表彰式」を開催した。
開会挨拶:轟正彦会長
会長挨拶では轟正彦会長が登壇し、激動する国際情勢を踏まえつつ、新金属産業が果たすべき役割と今後の展望について言及した。
冒頭、轟会長は昨年10月の高市政権発足以降に示された「危機管理投資」と「成長投資」を高く評価した。昨年末に閣議決定された投資促進税制を柱とする半導体戦略について、米国との連携が進展している点に触れ、「新金属は半導体やGX(グリーントランスフォーメーション)実現に不可欠な素材であり、業界への期待はかつてないほど高まっている」と述べた。
市場回復への期待とエネルギー政策
産業動向については、電子デバイス分野の在庫調整が一巡し、2026年は着実な回復局面に入るとの見通しを示した。特に生成AI関連やデータセンター向け投資が需要を牽引している点を指摘した。
また、エネルギー供給面では原発再稼働の遅れという課題がある一方、女川・島根原発に続き、柏崎刈羽、泊原発の再稼働に向けた動きに、電力供給の安定化に期待を寄せた。
国際情勢の不透明化と経済安全保障
一方で、轟会長は国際情勢の不透明感に強い警鐘を鳴らした。第2次トランプ政権による関税政策や各国の自国優先主義の広がり、中国によるレアアースなどの輸出管理強化が産業に与える影響に言及。さらに、ウクライナ情勢や中東情勢など地政学リスクの高まりにより、不確実性が一段と増しているとの認識を示した。
これを受け、日本政府が進めるシリコン素材、永久磁石、レアメタルなどのサプライチェーン強化策に全面的に協力する姿勢を表明。経済安全保障の観点から重要技術の管理を徹底するとともに、経済産業省をはじめとする関係機関と連携し、協会内の9つの部会・委員会活動を軸に国際標準化や研究活動を加速させる方針を示した。
適正取引と社会への貢献
最後に、本年施行された下請代金支払遅延等防止法(下請法)に触れ、業界全体で取引の適正化を推進する必要性を強調した。「高級素材分野保護のため技術情報漏洩のリスクを考慮しながら、優れた素材を安定的に供給するため安全国際標準化に関する研究会・委員会等の活動を軸とし積極的な活動を進めたい」と述べ、会員各社の理解と協力を求めた。

来賓挨拶:経済産業省
続いて来賓として、経済産業省 製造産業局 金属課 金属室の松本暢之氏が挨拶に立った。松本室長は、国際情勢の急変や米国の関税政策などによる事業環境の厳しさを指摘する一方、国内では賃上げなど前向きな動きも見られると述べ、政府として物価高対策を最優先で進める方針を示した。
具体策として、電気・ガス料金支援やガソリン対策、ならびに1月1日施行の中小企業等下請取引適正化法に基づく取引適正化の徹底を挙げ、サプライチェーン全体での価格転嫁と賃上げの好循環を支援するとした。
さらに、新金属を日本の基盤産業を支える戦略物資と位置付け、一定規模以上の設備投資に対する即時償却または7%の税額控除を認める投資促進税制、半導体や蓄電池など17の戦略分野への研究開発支援、経済安全保障を軸とした安定供給対策を進める考えを示した。
表彰
式典の最後には第26回表彰式が行われ、功労賞として三菱原子燃料株式会社の河越稔之氏が表彰された。

国際情勢の不確実性が高まる中、新金属産業は半導体、GX、蓄電池といった成長分野を支える基盤産業として、その重要性を一段と増している。今回の賀詞交歓会では、成長投資の加速、経済安全保障を踏まえたサプライチェーン強靭化、適正取引の推進といった共通認識が官民間で改めて確認された。
新金属協会を中心とした産官学連携の深化が、持続的な産業競争力の確立に向けた鍵となる一年となりそうである。
(IRuniverse, RS)