ファナック(6954) 26/3Q3決算電話会議メモ ややネガティブ継続
26/3期予想を5.5%増収8.8%営利増に売上増額し利益は微調整、27/3期も収益拡大へ
株価6432円(2/3) 時価総額63187億円 発行済株982383千株
PER26/3期DO予(36.9X)PBR(3.3X)配当還元率60% 配当利回りDO予1.6%
要約

26/3Q3は9.5%増収19.6%営利増と欧米・中国2ケタ増が寄与、製品はロボット21.9%増
1/26に26/3Q3決算発表、同日電話会議が開催された。26/3Q3は売上高2157億円(同期比9.5%増、Q2比2.1%増)、営業利益417億円(同19.6%増、同4.1%減)、受注高2202億円(同9.5%増、同7.3%増)となった。またBBレシオは1.02とQ2の0.97から1を回復した。

地域別売上をみると、同期比で中国除くアジアが減少、日本が微減で、欧米、中国が2桁の伸びに。米国は580億円(同期比10.2%増)で、主力のロボット401億円(同期比11.8%増)と2四半期400億円を超え、回復基調が継続している。サービスも143億円(5.1%増)と堅調な伸びに。欧州は392億円(同期21.3%増)で、主力のロボットが211億円(同期比36.1%増)と25/3Q1の222億円以来の200億円乗せで回復基調が継続している。中国も579億円(同期比22.7%増)。ロボットが220億円(同期比46.3%増)と回復が定着、26/3Q1以降、200億円超えが続いている。ロボマシンは172億円(同期比16.9%増)と、NC化率を高める政策実行に伴い古い設備の廃棄奨励などで補助金政策の実行の寄与が継続している。FAも181億円(6.5%増)と堅調な伸びに。

製品別売上では最大部門のロボットが966億円(同期比21.9%増、前期比5.5%増)と回復基調が継続している。地域別では最大の米国が401億円(同期比11.8%増)、中国220億円(同46.3%増)、欧州も211億円(同期比35.7%増)と、在庫調整が進みEVなどの不振から脱したと見られる。
FAは498億円(同期比3.7%増、前期比8.2%減)と、回復基調にあるものの、テンポは緩やかで、Q2比減で再度500億円割れに。中国は181億円(同6.5%増)とQ2で200億円に乗せたものの、再度200億円割れとなり、海外の優秀なNC工作機械需要は高いものの、国内メーカーでの拡大は変動が大きく、FAの伸びは限定的とみられる。日本は128億円(10.4%増)と、NC工作機械受注の回復で着実な回復を見せている。ロボマシンは330億円(同期比8.0%減、前期比11.8%増)と50%弱を占める中国が172億円(同16.9%増)と中国のNC工作機械化促進が寄与している。

受注面では、地域別にアジアを除き同期比増加となった。中国は577億円(同期比16.4%増、前期比13.8%増)と、ロボット、FA,ロボマシンとも堅調に推移、BBレシオも1.0と、受注増に伴う売上拡大となっており、過熱感はない。米州は589億円(同期比10.5%増、前期比5.1%増)となった。BBレシオが1.02とQ2の0.94から回復、トランプ関税影響が薄れ、着実な受注増加となっているとみられる。欧州も401億円(同23.4%増、同7.9%増)と、在庫調整、EV設備投資による低迷から漸く底打ちしたようで、2四半期連続BBレシオ1.02を確保した。日本は292億円(同5.9%増、同4.6%増)と緩やかな拡大基調に留まっている。

製品別受注ではロボットが988億円(同期比20.9%増、前期比7.7%増)と在庫調整が進展、米国での投資増、中国でのEV投資向けなどを含め23/3Q4の1094億円以来の受注額で、1000億円に肉薄した。BBレシオも25/3Q3以降1.0を上回っており、省人化需要、自動化需要などで本格回復基調にある。なおロボット工業会の統計で業界との比較では、ファナックは業界数字を下回って推移していたが、26/3Q2以降は工業会受注を上回っており、在庫調整、生産調整などから本格的に脱しつつある。


FAは547億円(同15.6%増、同12.1%増)となっており、日本の工作機械受注の拡大、中国もNC化向上の支援策などが寄与し、回復基調にある。
利益面ではQ3累計で増収効果、原価低減効果が寄与、人件費等のコストアップを埋めて利益率が改善している。

Q2比較Q3では、未実現利益影響が大きくなっており、これを除くとほぼQ2対比横ばいとなってリ、効率化アップや固定費抑制などの効果が出ていることで収益性の確保ができている。

26/3期予想を5.5%増収8.8%営利増に売上増額、利益微修正も円安で多少上振れ期待
会社側ではQ3までの収益進捗率を考慮し、26/3期予想を売上増額、利益は微調整を行った。具体的に26/3期予想を売上高8407億円(7/25計画比337億円増額、10/31修正計画比219億円増額、前期比5.5%増)予想とした。部門別、市場別予想の開示はないが、下期には新製品投入効果もあるとみられ、円建てながら円安で為替競争力がプラスとなる見通しで売上が上振れするとみられる。利益面ではロボットの構成比率が増すことや、新製品投入や研究開発費などで販管費の負担増から、売上増にも関わらず利益は10/31修正予想にとどめているとみられる。なお為替前提をQ4も1$=145円としており、26/3期修正予想については多少の増額着地が見込まれる。

27/3期FA中心に売上拡大、ロボットも回復継続で増収増益期待も収益性向上は限定的
27/3期は自動車ではEVに対する設備投資の見直しなどの影響が懸念されるもの、一方でHEVや高効率エンジン車等への投資が期待でき、緩やかな設備投資増が見込まれる。加えて半導体設備投資の本格回復、世界的に省人化、自動化投資のニーズの高まり等でロボット需要の回復が見込まれる。日本ロボット工業会では非会員を含む数字で2025年比3.2%増の1兆3000億円を予想しており、同社は主要企業として工業会予想を上回る売上拡大が見込める。ただしロボット業界ではスイスのABBが2025年10月にソフトバンクGにABBロボット事業を売却、ソフトバンクGはボストンダイナミクスの一部も保有(2018年に買収し、2021年に韓国現代自動車に大半の株は売却も依然として一部を保有)、グループとして「ロボHD」にロボット事業を集約し、自動運転なども含めて総合的にロボット事業を拡大する構えを見せている。その他にも中国では人形ロボットの新興企業が事業展開を加速している。このため、ロボットにおいては27/3期以降も売上高の伸びが期待されるものの、収益性の面や、制御ソフトの公開によるオープンソース化での競争激化なども見込まれ、ファナックの最大売上高部門となっているだけに、従来のような高収益シナリオは描きにくい状況にある。FAにおいては中級クラスについて新興国中国メーカーなどの国産化影響などもあり過去のような急拡大は見込みにくい。しかもAI化、全自動化などでNvidiaなどがFA統合で参画しており、2025年12月にロボットでエヌビディアと協業を発表したものの、いずれNC装置関連でも影響を及ぼしてくる懸念がある。
この他、ロボマシンについては工作機械受注の回復、射出成形機も反発が期待され、全体では増収増益基調が続こう。ただし、上記のような環境の中で、売上拡大が続くと期待されるものの、総利益率の改善は小さいとみられ、売上増に伴い収益拡大が期待されるものの収益性の向上は限定的とみられる。
株価は日経平均の代表銘柄として上昇、26年1月4日には6950円の高値をつけた。その後、1/26の修正予想で利益増額がなかったこともあり、日経新値更新には追従していない。現在、会社修正26/3期予想EPS169.32円に対しPER38.0倍は、ロボットの安川電機の36.0倍とほぼ同じ、三菱電機27.9倍比で多少割高も、プライム電機平均PER19.4倍に対し割高である。日本を代表するハイテク株ではあるがCNC装置で稼ぎ出した高収益体質から、ロボット売上構成比の高まりでMIX変化から収益性の大幅回復は期待しにくい。同社の成長スピードは半導体製造装置メーカーの成長スピードに劣後すると判断、26/3期増額修正期待も、ややネガティブ継続とする。



*安川(6506)、三菱電機(6503)との比較
(図表はファナック説明会資料、ロボット工業会資料から添付、作成チャートはヤフー)

(IRuniverse Okamoto)