-化粧品向け微粒⼦市場への展開を推進-
東レ株式会社(本社︓東京都中央区、代表取締役社⻑︓⼤⽮ 光雄)は、マイクロプラスチック課題の対策に寄与する海洋⽣分解性※1に優れたポリアミド4の販売を進めているが、2月24日、同製品に使⽤する原料である2-ピロリドンをバイオ由来原料から製造する独⾃の合成技術を創出したと発表した。同技術を活⽤し、バイオ由来原料から作られるポリアミド4のスケールアップ検証を進め、2028年度を⽬途に主に化粧品向け微粒⼦としての市場展開を⽬指す。
近年、化粧品や洗顔料等に含まれるマイクロプラスチック※2の海洋流出によって引き起こされる様々な環境問題が世界共通の課題として認識されており、各国で排出規制が始まっている※3。東レはこの社会課題に対処するべく、⽣分解性および海洋⽣分解性を有するポリアミド4を開発し、主に化粧品(ファンデーションやアイシャドウ等)に使⽤される微粒⼦として市場展開を進めてきた。
従来、ポリアミド4の原料である2-ピロリドンは、⽯油由来の原料から製造されてきた。これに対し東レは、糖などの主要バイオマスを起点とした2-ピロリドン合成法の研究開発に取り組み、バイオ由来原料から2-ピロリドンを合成することに成功。同技術で製造される2-ピロリドンを重合・加⼯したポリアミド4微粒⼦は、従来品と変わらない粒径、形状を実現でき、最終製品への影響を与えることなくバイオ原料化することが可能。加えて同技術は、従来の⽯油化学プロセスと⽐較して温和な条件で反応が進⾏するため、原料からポリアミド4微粒⼦を製造するまでのプロセス全体として⼆酸化炭素(CO2)排出量を低減する効果が⾒込まれる。
また、同技術で製造される2-ピロリドンは、ポリアミド4以外にも半導体向け材料やエンジニアリングプラスチック※4の製造に広く⽤いられるN-メチルピロリドン※5、医薬品等に⽤いられる⾼機能ポリマーのモノマーであるN-ビニルピロリドン※6の原料としても広く利⽤されている。同技術の創出は、こうした多⽤途への応⽤展開の可能性も有しており、次世代産業を⽀える幅広い素材のバイオ化に貢献できる。
東レは、サステナビリティへの取組みの⼀環として、循環型社会への移⾏や⾃然資本の保全に向けた取組みを推進している。なお、成果の⼀部は、環境省「脱炭素型循環経済システム構築促進事業(令和5年度、令和6年度)」により得られたもの。
<⽤語説明>
※1 ⽣分解
バクテリアや菌類などの微⽣物によって、有機化合物が⽔や⼆酸化炭素といった無機物まで分解されること。⼀般的に、微⽣物が少ない海洋中での⽣分解のほうが、⼟壌中での⽣分解より難しいとされる。
※2 マイクロプラスチック
5 mm以下の微細なプラスチック粒⼦の総称。洗顔料等に含まれる微粒⼦(⼀次マイクロプラスチック)やペットボトルやレジ袋などが紫外線や波で劣化・破砕されたもの(⼆次マイクロプラスチック)があり、⾷物連鎖を通じて⽣態系や⼈体への悪影響が懸念されている。
※3 各国でのマイクロプラスチック規制強化
欧州では、2023年にREACH規則が改正され、6〜12年の猶予期間後にマイクロプラスチックが意図的に添加された化粧品等の使⽤が禁⽌される。ただし、特定の⽣分解性試験規格を満たすプラスチックは規制の対象外とされ、東レの開発したポリアミド4微粒⼦は、この規格(OECD301F)を満たし、規制対象にはあたらない。
※4 エンジニアリングプラスチック
機械的強度や耐熱性に優れるプラスチックの総称。軽量かつ⾼性能な特徴を活かし、⾃動⾞⽤部品など⾦属の代替材料として使⽤されることが多い。
※5 N-メチルピロリドン
2-ピロリドンの窒素原⼦上の⽔素原⼦がメチル基に置き換わった液状の化合物。沸点が⾼く、化学的な安定性に優れるほか、様々な化合物に対する溶解性が⾼いため、洗浄剤や剥離剤、溶媒として広く利⽤される。
※6 N-ビニルピロリドン
2-ピロリドンの窒素原⼦上の⽔素原⼦がビニル基に置き換わった液状の化合物。ビニル基を起点に重合することによりポリビニルピロリドンとなり、化粧品の増粘剤や錠剤医薬品のバインダー(接着剤)、酒類の清澄剤などに使⽤される。
(IR universe rr)