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紙・古紙市場近況 2月:減速気味の輸出状況

2026/02/27 11:52
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紙・古紙市場近況 2月:減速気味の輸出状況

1月の紙、板紙需給、および古紙市場の動向を、国内における需要と海外事情の両面から見ていく事にする。海外への古紙輸出量の低下は以前にも増して減少量が落ち着きつつあり、古紙の輸出価格もじわじわ落ちている流れが透けて見える情勢となっている。

 

紙・板紙の国内出荷は前年同月比1.8%減、4ヶ月連続のマイナス。グラフィック用紙は3.9%減、15ヶ月連続のマイナス。パッケージング用紙は0.4%減、2ヶ月ぶりのマイナス。主要品種は白板紙を除きマイナス。

 

紙・板紙の輸出は前年同月比3.9%減、3ヶ月ぶりのマイナス。グラフィック用紙は9.2%減、2ヶ月連続のマイナス。パッケージング用紙は1.4%減、6ヶ月ぶりのマイナス。グラフィック用紙では、塗工紙、情報用紙が東南アジア向けで減少。パッケージング用紙では、段ボール原紙が東アジア向けで減少。

 

(紙板紙需給統計)

https://www.jpa.gr.jp/file/summary/1771559092_2026%E5%B9%B41%E6%9C%88%E7%B5%B1%E8%A8%88.pdf

 

 

「古紙需給」

 

  古紙の需給状況について、公益財団法人古紙再生促進センターの資料によれば2025年1月から12月までの古紙回収量は古紙14,375,511tとなり前年同期比で2.0%減少。消費は14,317,797tで前年同期比2.5%減少。輸出量は2025年1月から12月時点で1,816,579トンと同比9.3%の減少となっている。

 

古紙の回収と消費についてはやや回収量が前年比に近づきつつある状況だ。

 (古紙需給)

 

 

 

 (古紙輸出量) (出典:古紙再生促進センター資料)

 

 

古紙の需給は、入荷は1,254千トンで前年比0.5%増、6ヶ月ぶりの増加。うち新聞古紙は132千トンで前年比7.3%減、5ヶ月連続の減少。段ボール古紙は813千トンで前年比3.7%増、6ヶ月ぶりの増加となった。

消費は1,159千トンで前年比3.6%減、14ヶ月連続の減少となった。在庫は619千トン、前月比では18.3%増、前年比では10.3%増となった。

輸出は154千トンで前年比2.8%増、5ヶ月連続の増加となった。ベトナム、台湾が主な輸出先である。

 

 古紙の入荷・出荷量は共に低下気味、一方で在庫は全体的に増えている。

 

【市場動向】


 

古紙回収量は12年連続減 雑誌の減少が新聞上回る

 

 古紙需給のデータが出揃ったので検証したい。データ元は、経済産業省・古紙再生促進センター・日本製紙連合会の調査による。

 

 2025年の古紙回収量は1629万トンで、対前年比2.9%減。量にして48万トンの減少となった。これで14年以来、12年連続で古紙回収量の減少となっている。

 

 品種別の古紙回収量では、段ボールが1035万トンで対前年比0.8%減、8万3千トン減。新聞が173万トンで対前年比8.8%減、16万7千トン減。雑誌が212万トンで対前年比7.9%減、18万1千トン減。模造・色上が148万トンで対前年比1.5%減、2万3千トン減。相変わらず新聞の減少率が8.8%減と著しいが、雑誌も7.9%減となっており、減少率が高くなっている。また24年から25年にかけての減少量では、新聞は16万7千トン減で雑誌は18万1千トン減。雑誌の減少量の方が多くなっている。

 

 21年から新聞の回収量は雑誌の回収量を下回って逆転した。新聞はこのペースで減っていくと、早ければ28年には模造・色上よりも回収量が少なくなる。そして31年には100万トンを割ることになる。米国では新聞回収量がピーク比で87%減少したが、日本でも同様の状況になるかもしれない。

 

 また25年の古紙消費量は1942万トンで、対前年比2.5%減。増減では37万トン減となっている。品種別では段ボールが0.6%減、新聞が9.3%減、雑誌5.1%減、模造・色上2.5%減。

 

 品種別需給では、段ボールは回収量が8万3千トン減少。しかし消費量が5万2千トン減、輸出量が4万3千トン減となったことで、メーカー在庫量が1万2千トン増加した。新聞は回収量が16万7千トン減少したが、消費量も16万7千トン減、輸出量が6万トン減となり、メーカー在庫量は6万トン増となった。雑誌は国内での需給ギャップが最も開いた。雑誌の回収量は18万1千トン減少し、消費量は9万8千トン減、輸出が5万7千トン減となり、メーカー在庫は2万7千トン減となった。模造・色上は回収量が2万3千トン減少したが、消費量は3万5千トン減、輸出量が9千トン減となり、メーカー在庫量は2万トン増えた。

 

 25年の品種別古紙需給を一言で表すと、新聞は全て低調ながら在庫が大幅増、段ボールは回収・消費とも堅調で在庫増、模造・色上は堅調で在庫横ばい、雑誌は回収減が顕著で唯一の在庫減となっている。

 

 また古紙回収率は24年の81.7%から0.4p下落して81.3%となった。古紙利用率は0.1p上昇して66.7%となっている。

 

全国的に集団回収量減少、比率は45%に低下 政令指定都市では広島市が大幅に回収量増加

 

 家庭系古紙回収の変遷

 

 家庭から排出される古紙は、古くはちり紙交換などで回収が行われたが、80年代からは集団回収が主力となった。集団回収とは、子供会や町内会、婦人会や老人会等でグループを作って、そこで古紙を中心とした資源物の回収を行う。その重量に応じて自治体から子供会や町内会等の団体への助成金が支払われる。助成金はキロ3~5円前後が多いが0円の自治体もある。当然ながら助成金が0円の自治体では古紙回収量を把握していないので、回収量はゼロカウントとなっている。また自治体の中には、回収業者への業者助成金をキロ1~2円交付しているところもある。

 

 集団回収と並んで多いのが行政回収で、分別収集とも呼ばれる。東京都23区が1999年から一斉にスタートしたことで、全国的に行政回収を開始する自治体が増えた。行政が直接または業者に委託をして、ごみステーションから古紙等を回収する方式。90年代~2000年代に掛けて古紙市況が軒並み下落し、回収費用を賄えないという理由から、行政が古紙を回収して業者に持ち込むという方式が採用されることになった。その後、古紙価格が上昇しても行政回収を続けている自治体は多く、入札による売却益を当てにしているところもある。しかし横浜市や静岡市等は、行政回収を廃止して集団回収に全面移行した自治体もある。

 

近年の傾向

 

 1998年からの行政回収・集団回収の流れを振り返ってみよう。90年代は集団回収の比率が60%以上あり、まだ行政回収の比率は低かった。しかし2000年から徐々に行政回収の比率が高くなり、06年には最初のピークとなる46.2%まで高まった。しかしこれ以降、行政回収の比率はやや低下し、44~45%台で推移した。

 

 だがこのトレンドが18年以降は覆る。18年と言えば中国がMIX古紙の輸入を禁止した年だが、この年を境に再び行政回収の比率が増加に転じている。古紙輸出価格が急落して古紙問屋の多くが危機感を持ったことで、古紙価格が低迷した90年代と同様、行政回収への回帰が進んだとも言えるだろう。

 

 そしてとどめとなったのは20年から蔓延したコロナ禍である。伝染病の蔓延を防ぐために密禁止、接触禁止という国の方針もあり、古紙回収は様々なグループで形成される集団回収より、個人単体で排出する行政回収や無人回収が推奨されることになった。コロナ禍の時に取材を敢行した仙台市でも、集団回収よりも行政回収や無人回収で古紙を出すことを推奨していると話していた。このようにパンデミックによってこれまでの流れとは異なり、古紙は行政回収や無人回収で回収しようという動きが主流となった。

 

 今回調査した24年度のデータでは、古紙の行政回収量は155万5千トン、古紙の集団回収量は128万トンで、比率は行政回収=54.9%、集団回収=45.1%。ちなみに2000年以降の推移では、直近が最も行政回収の比率が高く、集団回収の比率は最も低い。前述のように、20年のコロナ禍以降はこの傾向に拍車が掛かっており、コロナ終焉後もこの傾向が続いている。

 

 行政回収と集団回収を足した量は、2000年以降は古紙回収量全体の20~25%を占めていたが、14年以降は20%を割りこんで比率が低下しており、23年は16.4%となっている。これは家庭系古紙の回収形態が多様化していることを表しており、特に無人回収(ポイント回収含む)が全国的に急増したことも要因となっている。

 

 24年度の行政回収量は対前年比4.4%減、集団回収量対前年比7.8%減となった。特に近年は集団回収量の減少に歯止めが利かない状況が続いている。10年前の13年比では、行政回収量は21.2%減だが、集団回収量は46.8%減となっており、ほぼ半減していることが分かる。

政令指定都市の状況

 

 政令指定都市20市の直近の古紙回収量を調査した。18年と24年(いずれも年度)の古紙回収量を比較すると、18年の政令指定都市20市の古紙回収量計は73.9万トンだったが、24年は計55.2万トンとなり、25.2%減。量にして18.6万トン減となっている。行政回収量と集団回収量では明暗が分かれた。行政回収量計は16.5万トンで18年比2.4%減に留まったが、集団回収量計は38.7万トンで同32%減となっている。

 

 政令指定都市20市の中でも、全体量(行政回収+集団回収)が増加した市と減少した市に分かれる。20市の中で18年比で古紙回収量が増加したのはわずか2市で、広島市と熊本市だった。

 

広島市の状況

 

 広島市は資源物全般を一緒に回収して市の資源物選別施設で選別をするという、いわゆる米国や欧州でよく見られるカープサイド方式(=シングルストリーム)を採用している。同市は1976年からこの方式を採用しており、日本の自治体では非常に珍しい方式として知られている。また熊本市は古紙類は全て一緒に回収し、市の委託施設で品種別に古紙を選別する方式となっている。これを見ると、資源物全般の混合回収や古紙の混合回収を採用している市が回収量を伸ばしていることになる。

 

 広島市は18年比で70.6%増となっており、この6年間で急増していることが分かる。この理由について広島市に問い合わせると、主に2つの理由が考えられるという。①古紙持ち去り禁止条例が施行されたことにより、これまで持ち去られていた行政回収の古紙回収量が増えた。これは21年10月から「広島市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」により、廃棄物の適正処理及び市民の生活環境保全を図ることを目的として、市が回収する資源ごみの持ち去り行為を禁止し、規制を強化したもの。持ち去り行為者には注意・指導、その後は禁止命令を行い、従わない場合は刑事告訴して20万円以下の罰金を科す。対象となる資源物は、市が収集する資源ごみで、古紙・金属類・古布・ガラス類となっている。

 

 ②集団回収に助成金がなく、行政回収を推奨していることも挙げられる。広島市によると、集団回収を実施している団体数は、この6年間で100団体が減少したという。今回調査した政令都市20市の中では唯一、集団回収に助成金がなく、行政が把握している集団回収量はゼロでカウントされている。ちなみに助成金がなくても集団回収は行われており、奈良市等もこれと同様である。

 

 広島市の品種別古紙回収量の変化では、全て行政回収によるもので、新聞が18年は3094トンから24年は6527トン、段ボールが4617トンから6715トン、雑誌が3481トンから5851トンと増加。全体としては7901トンの増加(70.6%増)となっている。


熊本市の状況

 

 熊本市は18年比で1.6%増加した。18年の古紙回収量は、行政回収が1万943トン、集団回収が5252トン、計1万6195トンだったが、24年は行政回収が1万4118トン、集団回収が2341トン、計1万6459トン。18年は行政回収68%で集団回収が32%だったが、24年は行政回収が86%で集団回収が14%となり、この6年で行政回収の比率が18pも上昇した。

18市はいずれも減少

 

 広島市と熊本市以外の18市は、18年比で古紙回収量が減少した。最も減少率が高かったのは浜松市で、18年比で52.1%減となり、回収量が半減という結果となった。浜松市に次いで減少率が高かったのが堺市で43.8%減、北九州市が40.9%減と続く。30%台の減少率は、福岡市、静岡市、名古屋市、仙台市、神戸市、岡山市、新潟市、札幌市。20%台の減少は横浜市、川崎市、相模原市。10%台の減少率は、さいたま市、千葉市、京都市、大阪市となっている。神奈川県内の3市が20%台の減少率となっている他、さいたまと千葉、京都と大阪という近隣市が共に10%台の減少率となっている。近隣では回収の傾向も似てくるのかもしれない。

 

行政回収が増加した市

 

 古紙回収量計が減少した18市の中でも、行政回収量が増加した市が4市あった。京都市・浜松市・岡山市・新潟市で、特に京都市は行政回収量が18年比で238.6%増となり、最も行政回収量が増えた政令市となっている。京都市の場合、18年は品種別の行政回収量が出ていたが、24年は合計値しか分からないということだった。18年の行政回収量は雑誌・雑がみ=679トン、新聞=441トン、段ボール=52トン、紙パック=42トンで計1214トン。24年の行政回収量は計4111トンとなっている。


品種別回収量の変化

 

 20市計の品種別回収量の変化では、行政回収は段ボールは合計で増加しており、18年比で14.7%増となった。しかし段ボール以外は減少しており、特に紙パックが52.4%減となっている。一方、集団回収は全品種が減少しており、特に新聞は52.8%減、雑がみ(単体)が47.6%減、雑誌・雑がみが32.9%減。段ボールは3%の減少に留まっている。


1人当り古紙回収量

 

 政令指定都市20市の中で、1人当りの古紙回収量が最も多かったのは横浜市で、30.4㎏となっている。内訳は行政回収が0.2㎏、集団回収が30.2㎏だった。横浜市に次いで多かったのが新潟市で29.3㎏。内訳は行政が8.5㎏、集団が20.8㎏。第3位は札幌市で25.3㎏。行政が9.5㎏、集団が15.7㎏。最も好くなったのは浜松市で6.3㎏、次いで福岡市が8.9㎏。この2市が10㎏を下回っている。


【2025年の中国の輸入量】

古紙パルプ輸入は14%減 段原紙輸入は18%減と低調

 

 2025年の中国の古紙パルプ・段原紙輸入のデータが出揃ったので検証する。

 

 2025年の中国の古紙パルプの輸入量は349万9332トンとなり、対前年比14.1%減となった。中国は米国及び東南アジア経由の古紙パルプ輸入を10月から一時停止していたこともあり、結果的に14.1%減、量にして57万7千トンの減少となっている。

 

 国別の中国の古紙パルプ輸入量では、相変わらずタイのシェアは断トツで60.7%を占めており、25年の輸入量は212万トン。対前年比は12%減となった。中国で紙・板紙生産量第3位の大手メーカーである山鷹国際HDは、米国・欧州から古紙の調達商社としてサイコリンクをグループ会社に持っている。以前は日本にも事務所があったが、現在は撤退している。またオランダの古紙商社であるWPT社がサイコリンクの親会社になったことで、欧州の古紙調達量を増やしている。これらの主に米国と欧州の古紙を使用し、タイで乾式の古紙パルプを200万トン以上を生産している。今回の中国の古紙パルプ輸入禁止措置は、古紙パルプの輸入量が最多である山鷹国際HDが最も痛手を受けたと推察する。

 

 タイに次いで多いのがマレーシアで、25年実績は102万トン。シェアは29.2%で、対前年比は15.7%減。この2大古紙パルプ輸入国であるタイとマレーシアの2ヵ国で、およそ9割を占めている。タイは山鷹国際の輸入が大半を占めるが、マレーシアは玖龍紙業、景興紙業、理文造紙等が古紙パルプを生産する。

 

 マレーシアにおけるメーカー別古紙パルプ生産能力(22年)は、①景興紙業=80万トン、②玖龍紙業=48万トン、③理文造紙=40万トンとなっている。ちなみに紙・板紙の生産量では、①理文造紙=170万トン、②玖龍紙業=138万トン、③GSPP(王子G)=81万トン、④景興紙業=80万トン、⑤MUDAペーパー(マレーシアのメーカー)=52万トン、⑥XSD(勝大紙業)=35万トンの順になっている。

 

 中国の古紙パルプ輸入に話を戻すと、第3位は台湾で21万トンでシェアは6.1%。対前年比では16.2%減。第4位はインドネシアで4万6千トン、対前年比5.9%減。第5位が日本で3万9745トンでシェアは1.1%、対前年比は0.7%増。第6位が米国で1万3千トン、対前年比は64.5%減。輸入の上位6ヵ国では、日本だけが唯一、対前年比で増加している。

 

 また24年実績では3万4千トンの輸入量があったインドは6千トンで、対前年比82.4%減。また同じく24年はベトナムも2万トンあったが、こちらはわずか2400トンで、対前年比87.9%減となっている。


中国の段原紙輸入量

 

 25年の中国の段原紙輸入量は648万1622トンで、対前年比18.3%減となった。前年から145万トン減少したことになる。

 

 品種別では、Tライナーが329万7千トンで50.9%を占めた。次いで中芯原紙が227万8千トンで35.2%。Kライナーが90万7千トンで14%となっている。

 

 国別では、マレーシアが最多の127万1千トンで、シェアは19.6%を占める。24年は170万トンだったので、対前年比25.1%減となった。中国のマレーシアからの輸入は、段原紙が25%減、古紙パルプが15%減となっており、中国の需要が大幅に減少していることが分かる。品種別ではTライナーが120万トンで94%を占めている。Tライナー以外は、中芯が6万9千トン、Kライナーは3千トンと少ない。

 

 次いで第2位がロシアで103万7千トン。シェアは16%、対前年比28.1%増。ロシアからの段原紙輸入の内訳は、こちらはKライナーが最も多くて56万トン。次いで中芯が46万トン、Tライナーが2万4千トン。ロシアからの段原紙輸入量は近年は大幅に増加している。ちなみに22年は65万トン、23年は72万トン、24年は81万トン、25年は104万トンとなり、初めて輸入量が100万トンを超えている。

 

 第3位はラオスで99万トン。シェアは15.2%、対前年比は1.6%増。ラオスの段原紙生産は全てTライナー。生産メーカーも全て太陽紙業によるもので、原料の大半は米国古紙を使用している。

 

 第4位は台湾で77万トン。シェアは11.9%、対前年比は2.2%減。近年は微減が続いている。品種別の内訳は中芯が43万トン、Tライナーが34万トン、Kライナーは3千トン。台湾のメーカーである榮成紙業は、中国本土で354万トンを生産している。

 

【高度化法】

高度化法適用でRPF向け古紙を問屋で選別

容リルートで選別費用を捻出、新たな商材に

 

 25年11月に正式に公布された「再資源化事業等高度化法」を用いて、これまで古紙問屋では扱わなかった(扱えなかった)サーマル向けの古紙類についても扱っていくというものがある。これに関しては、容リルートの紙製容器包装として回収することで、容リ協会から選別・委託費用を賄うことができる。市町村としてはごみ量の削減、容リ協会としては年々減少する紙製容器包装の回収増、古紙問屋としては古紙回収量の減少が続く中で売上や仕事が増える、製紙メーカーとしてはRPFやフラフを使用でき、生産者責任を全うする。今後クリアする課題は多いものの、古紙業界は更なる高度化に向けて動き出す。


現時点での動き

 

 全原連での理事会で、中部商組・石川理事長の提案によって「紙製容器包装等の高度化法による掘り起こし事業(仮)」の審議が行われるようになった。今後は正副理事会で審議を重ね、環境省及び紙製容器包装リサイクル協議会と協議を行いながら、全原連内に委員会を立ち上げて実現に向けて話し合いを行う。まだスタートしたばかりなので、実現出来るかどうかも未知数である。


専ら物の定義

 

 廃掃法によって定められている専ら物の定義としては、「専ら再生利用」における4品目については、廃掃法の特例によって除外し、許可やマニフェストは不要とされている。この専ら再生利用はいわゆるマテリアル利用に限定しており、例えばサーマル向けとしてRPF原料やフラフ原料向けの紙類は、専ら物の対象外となっている。

 

 これらの禁忌品や製紙原料として不向きである古紙類を、25年11月に交付された「再資源化事業等高度化法」を用いて行政回収または集団回収によって回収する。それを容リ協会から選別委託費用を貰って選別を行い、RPFやフラフ向けの原料に再利用するという計画である。製紙原料向けの掘り起こしにも繋がり、サーマル向け燃料としての利用用途も拡がることが期待されている。ちなみに環境省は全面バックアップの意向を示している。既存の古紙とは別品目で回収することから、品質の低下といった問題も起きにくいと考えられる。


紙製容器包装マークの整合性

 

 紙製容器包装の定義は、紙製の容器包装の中で、段ボールと飲料用紙パック以外のものと定義されている。アルミ付きの飲料用紙パックは紙製容器包装に含まれる。これらの紙製容器包装には紙製容器包装マークが表示されており、本来なら消費者がリサイクル出来るかどうかをこれで判断することができる。しかしこの紙製容器包装マーク=全て製紙原料に適しているということではなく、これが表示と実際の現場との乖離を生んでいる。例えばこのマークが付いていても、アイスや食品用カップ、線香や洗剤等等の臭気が強いもの等は、製紙原料として不適物である。また素材に紙が50%以上使用されていると紙製容器包装マークを付けることが出来るが、実際には複合素材ということもある。しかしこれらは、消費者が判断をして紙製容器包装として回収されてしまう。このような表示のギャップが以前からあった。紙製容器包装の回収量が減少していった理由として、マークと現場との乖離があったことも一因に挙げられるだろう。

 

 そこで名古屋市は、このギャップを埋めるために、23年から「紙製容器包装及び雑がみ類」の一括回収を開始した。それまでは、紙製容器包装は行政回収、雑がみは集団回収で回収方法を別にしていたが、「共通の物が多いので紛らわしい」、「分別が分からないのでごみに捨てている」といった声も多かった。これらの分別の手間を省き、紙製容器包装と雑がみを一括回収することで、消費者に分かりやすくなったと同時に、回収増にも繋がっている。今回の高度化法の適用による掘り起こしは、この名古屋方式を更に拡大したものである。

紙製容器包装の回収量は年々減少

 

 95年の容器包装リサイクル法の公布、97年の全面施行に伴い、紙製容器包装の回収も開始された。しかし全面施行から28年が経過した現在、紙製容器包装の回収率はわずか24.5%に留まっている。これは、雑がみやその他紙、もしくは雑誌・雑がみの回収に入っているということもあり、単体での紙製容器包装の回収量は減少が続いている。特に前述の名古屋市が紙製容器包装の回収を止めたことが大きく、23年以降は更に急減した。

 

 紙製容器包装の回収量の推移を見ると、07年には2万7千トン台だったが、11年からは2万5千トン台、20年には2万トンを割った。そして22年までは1万9千トン台が続いていたが、自治体単位では最も回収量が多かった名古屋市(多い時は1万8千トン、22年でも6千トン台)が止めたことで、23年の紙製容器包装の回収量は1万3千トン台、24年は1万2千トン台に減少しているのが現状である。

 

市町村別契約量

 

 25年度の市町村別契約量では、①神奈川県相模原市=3853トン、②北海道旭川市=1450トン、③北海道・十勝圏複合事務組合=1310トン、④神奈川県大和市=718トン、⑤愛知県名古屋市=268トン。神奈川県と北海道で紙製容器包装の回収が盛んだが、それ以外の自治体ではあまり回収が進んでいない。現在実施しているのは144市町村で、全国の市町村数1590において実施率は8.9%にとどまっている。また名古屋市は製紙原料向け以外の物を容リルートで選別している。


 名古屋市で2012年~19年度に毎年行っていた組成調査の平均値を紹介する。まず大枠である製紙原料とそれ以外の物では、製紙原料向け=84%、RPF・フラフ等の固形燃料向け=16%だった。ちなみに24年度の紙製容器包装全体では、製紙原料向け=92.2%、固形燃料向け=6.7%、家畜用敷料=1.1%となっている。

 

 紙製容器包装として回収した物の中で、紙製容器包装の比率は69.6%だった。それ以外の物では、雑誌・雑がみ類=13.5%、段ボール=10.4%、紙パック(アルミ付き以外)=5.1%、不純物=1.4%となっている。もっと不純物が多いイメージだったが、比率は1%台に留まっている。

 

 では紙製容器包装の中身はどのようになっているか。①単一素材紙箱=75.8%、②複合箱=5.6%、③紙カップ・トレイ・紙管=4.8%、④飲料用アルミ付き紙パック=4.4%、⑤単一素材包装紙=4.1%、⑥単一素材紙袋=3.8%、⑦複合包装紙・紙袋=1.0%、⑧パルプモウルド=0.4%。

選別コストはどれくらいが適切か?

 

 紙製容器包装は、一部で集団回収による回収もあるが、基本的には行政回収によるものが圧倒的に多い。自治体はこの回収費用に加えて、中間処理のコストも負担しなければならない。以前の名古屋市は、その負担の重さから、「リサイクル貧乏」と言われたこともあった。年1万8千トンの紙製容器包装の回収コスト+中間処理コストを試算すると、毎年およそ12億円ほど掛かっていたことになる。

 

 当時、愛知県古紙協の理事長だった冨成氏に紙製容器包装の選別コストを尋ねたところ、キロ20~25円が妥当と話していた。高度化法と容リ法という異なった枠組みの中で、どのように擦り合わせを行っていくかが今後の焦点になる。

 

 容リルートでは、拡大生産者責任に乗っ取ってメーカーが処理料を負担する。禁忌品を製造しているのもメーカーということで、マテリアルとサーマルの違いはあるが、これをリサイクルすることで生産者責任を果たすことが出来る。

 

 24年以降のRPFの新規施設の稼働(予定含む)は20ヵ所以上に上り、増産量は年間25万トンを超える。脱化石燃料としてRPF・フラフ需要は拡大している。

 

国内古紙価格

 

 国内の古紙価格については、段ボール古紙が18円、新聞紙古紙が17円、雑誌古紙が15円程となっている。横ばい推移を続けているが、新聞紙古紙については輸出価格が27円程と価格低下傾向に歯止めがかからない状態だ。雑誌古紙については輸出価格が21円程と、こちらについては変化が見られない。

 

(段ボール古紙価格と雑誌古紙価格の推移 市中実勢 JPY/kg 年単位)

 

(IRuniverse Ryuji Ichimura)

 

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