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日本ゼオン(4205) エチレンセンターの再編によるブタジエンの需給影響と対応

2026/03/07 11:17 FREE
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日本ゼオン(4205) エチレンセンターの再編によるブタジエンの需給影響と対応

会社主催での事業説明会「エチレンセンターの再編によるブタジエンバランス(BD)の変化」が開催された。同社は合成ゴム事業の縮小、シクロオレフィンポリマーの増強による構造改革を進めているが、その主原料であるC4、C5留分の調達とBD設備の対応策による収益の確保できる背景が説明された。また、今般の米・イスラエルとイランの交戦に伴う影響にも言及された。

イラン情勢の影響、リスクの度合いについて

プレゼンテーションの冒頭で急遽、イラン情勢のBD、合成ゴム事業への影響につて触れた。短期間であれば大きな影響は限定的になろうが、東南アジアや韓国のメーカーが既にフォースマジュールを宣言しているところもあり動静を見極め、影響が明確になれば公表したいとのことだ。リスクとしては3点を挙げている。①国内のエチレンプラントでは中東の原料ナフサを50%使用しており、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すればエチレンプラントの稼働率が低下、同社の調達する原料のC4、C5留分の調達に影響が出る、➁工場稼働のためのボイラー用の重油コストの上昇、③合成ゴムの出荷で使用するコンテナ船がスペース確保の競争から市況が既に急騰している。

 

エチレンセンターの再編と中国の台頭に伴う徳山の停止後の収益確保の構図

 同社は中期経営計画で徳山工場の合成ゴムラインの停止を決めており、今26年にはESBR(乳化重合スチレンブタジエンゴム)1系列、ラテックスの生産を停止し、28年度以降にCOBR(ブタジエンゴム)の停止を予定する。

 この背景となる要因は、まず国内のエチレンセンターの再編で生産能力が28年以降に30%弱減少し、同社が調達するC4、C5留分の供給の減少への対応である。また世界のBDの需給見通しによる構造変化への対応となる。2030年に向けてBDの生産能力が拡大するのは中国だけであり、2025年の輸入国から輸出国になる。その一方で日本・韓国・台湾では能力削減による大幅な輸入超過となることが構造改革の背景になる。

 同社の見立てでは国内全社のBD設備の稼働率は70%程度であり、30年以降はC4留分の不足から50%に低下する見通し。競合2社の状況によるが、徳山の能力を半減しても80%の稼働は維持でき、自社での活用と外販により収益が確保できるとの計画にある。

 

同社には4つの強みがある

同社がBDで収益を確保できる計画の背景には4つの強みがある点を挙げている。隣接するエチレンセンターからパイプラインで大半のC4を調達、自社設備(GPB)で BDを自製することで、安定生産、安定供給を両立できる、②徳山工場におけるBD誘導品の生産停止後は競争力ある自製BDをグループ会社で利活用できる余地がある、③国内エチレンセンター再編に伴い、将来BD需給バランスが崩れた場合にはBDを外部販売する(検討課題)、④日本国内で唯一、C4およびBDの外航船受け入れが可能なターミナルのタンクを愛媛県今治市波方( BD換算で6,000トン)に保有しており、その利活用によりC4、BDの戦略的なコントロールが可能とのことだ。

石化業界では業界再編、能力削減の計画が進展しており、上記の見立てには旭化成の直近の停止計画は含まれていない。同社の計画の実現性は高いと言えるが、今般の様なイラク情勢に伴う中東地域での地政学的なリスクなど避けようのない環境の激変リスクは付き物であり、目標の達成の為には柔軟性、即応性のある対応にも期待したい。

 

 

(叶 一真)

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