EU理事会はこのほど、EU重要原材料法の修正案のめぐる立場を採択した。この修正案は、2025年12月、EUの重要原材料法が目指す目標達成を加速することを目的とするEU行動計画:ReSource EU Action Plan」の一環として欧州委員会が発表したもの。
重要原材料法(以下CRMA)は、戦略的原材料の採掘・精製・リサイクルについて2030年までのベンチマーク(目標値)を設定するとともに、各戦略原材料ごとに、第三国(一国)への依存度が65%を超えないよう多角化な目標を定めている。 2025年12月、欧州委員会は「RESourceEU行動計画」の一環として、規則の対象を絞った修正案を提示し、規則の簡素化、循環性の向上、二次原材料市場の強化を図ることとした。 これらの修正は、特定スクラップの輸出規制や、2026年からの「欧州重要原材料センター」創設といったより広範な施策と並行して進められている。
修正の意図は?
今回の修正の重要な変更点の一つは、「戦略プロジェクト」の管理方法だ。修正案では、欧州委員会が毎年実施する戦略プロジェクト公募の回数を制限し、行政資源を集中させることで、真にインパクトの大きいプロジェクトに関する採択を迅速化しようとするものだ。 当初枠組みでは公募回数に明確な上限を設けていなかったため、審査に非常に時間がかかっていたが、修正案でその改善を狙う。また、大量の重要原材料を使用する企業の特定義務は、加盟国から欧州委員会へと移管される。 これにより、方法論や閾値が域内で統一され、各国ごとのアプローチの違いによる義務の断片化や、解釈の相違、大口CRMユーザー間の競争条件の歪みを是正することが期待されている。
企業のリスク評価義務
修正案では、戦略的原材料のサプライチェーン・リスク評価に関する企業義務も大きく精緻化する。欧州委員会により大企業と認定された事業者は、直接通知を受けた後、戦略的原材料を含む部品の「サプライチェーン・マッピング」などのリスク評価を実施しなければならない。 企業は評価結果を取締役会または経営委員会に報告する義務を負い、CRMリスクを正式に経営判断のレベルに組み込む仕組みとなっている。さらに、この評価を通じて供給途絶への重大な脆弱性が判明した場合、欧州委員会は、企業が講じるべきリスク緩和措置を定める委任法を採択することができる。 これは、当初のCRMAがガイダンス色の強いアプローチに留まっていたのに比べ、体系的なサプライチェーン上の弱点が判明した場合には、より拘束力の強い介入を可能とする方向への転換である。
永久磁石、製品範囲、表示義務
また修正案は、永久磁石に関する規定の対象製品範囲を拡大し、内容を明確化する。従来のカテゴリーに加え、ハードディスクドライブ、トランスデューサ、スピーカー、民生用ドローン、電動玩具が新たに対象に含まれ、これらの製品における永久磁石のリサイクル性向上と回収促進が図られる。 RESourceEUパッケージの一部として、永久磁石に関する表示義務を拡充し、プレコンシューマーおよびポストコンシューマーの双方の廃棄物を対象とする再生材含有率の申告を義務付ける追加改正も予定されている。
これらの変更は、バリューチェーンにおける透明性を高め、リサイクル設計を後押しし、磁石を使用する製品における再生材利用への市場需要を創出することを狙うものだ。 当初のCRMAが主としてポストコンシューマー廃棄物と限定的な磁石用途に焦点を当てていたことを踏まえ、その明白なギャップを埋める政策的修正と位置づけられる。永久磁石に用いられる特定原材料(ネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム、テルビウム、ホウ素、サマリウム、ニッケル、コバルトなど)には再生材含有義務が検討されているが、修正案では、具体的な目標値を定める予定の委任法令で、プレコンシューマー・ポストコンシューマー両方の廃棄物およびEU域内で発生する廃棄物の占有率などが考慮されることになっている。
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SCHANZ, Yukari
オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。
趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。
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