オンラインでインタビューに応じてくれた佐野取締役
(写真は2025年のサーキュラーエコノミーシンポジウム時に撮影したもの)
環境対策と国内資源循環の両立を目指して改正作業が進められていた廃棄物処理法の改正案の骨格が徐々にあきらかになってきており、業界内外に波紋を広げている。名古屋市に本社を置く総合リサイクル企業であるアビヅで事業部長を務める佐野拓也取締役に、同改正案を含む政府の動向や、国内の金属リサイクル業が抱える課題についてショートインタビューを実施した。同氏は終始、適正な価格で金属スクラップを取り引きすることが最も重要であり、力技(国家による規制)で金属資源の輸出を止めるべきではないと警告していた。
――許認可制について
当社としては販売処理において金属スクラップの許認可をすべて持っており、今回の廃棄物処理法の改正による影響は少ないと考えている。また、「有害使用済金属」という呼称がリサイクル業界のイメージダウンにつながる問う懸念があったが、報道によれば、その呼称は使用されないとのことで安心している。
ただし、これだけ複合化している金属スクラップを取り扱う時代なのでヤードの整備(雨水対策の屋根やコンクリート土間、排水・騒音対策など)と許認可制は必要なことだと考えている。
――適正な資源循環には何が必要か
国内の金属スクラップの資源循環に必要なことは鉄にしても非鉄にしても適正な価格で取引することだと思う。リサイクル業者としても薄く広く回収することや分別加工工程などに手間をかけている。その分のコストがきちんと上乗せされているものを安く買おうとする思惑から、輸出を抑制するとか、政策や規制へと向かってしまうように感じる。逆に日本は海外から高いスクラップをたくさん輸入しているのに国内スクラップを高く購入しないのはおかしいと感じる。まずは国内スクラップを優先して適正価格で購入することで資源循環率は現在の需要でも向上すると思う。
日本から資源が外に出てしまっていて、日本にモノが残らないという現状は、日本が資源を安く買っているから引き起こされているといえる。スクラップは国際水準で価格が決まっているため、それに基づきしっかりとした値付けし、付加価値を認めて買い付けを行えば国内に資源は残るはず。環境省には、力技で輸出を止めるのではなく、国内で発生するスクラップの受け入れキャパの向上や低炭素リサイクル材の使用率向上など適正価格での取り引きを誘導するように政策を検討してほしい。
――国内の資源循環を促進する動きが強まっている
当社が製品化したスクラップ原料は鉄・非鉄・プラスチックに至るまで国内メーカー向けが主であるが、一部には輸出されているものもある。だから提言するわけではないが無理矢理に貿易の流れを止めるのは良くない。革新的な電気炉が社会実装された際に鉄が足りなくなるというのは数字上の話であって、鉄筋需要が減っている現状でH2~4をどうやって処理するのという話になってくれば、輸出を止めるわけにはいかなくなる。
無理に国内にH2~4をとどめようとすれば、再利用すればするほど鉄筋の品質が落ちていくみたいなことになりかねない。やはり、経済合理性に基づいてモノが流れる仕組みを構築することが求められると考えており、政府や環境省、経済産業省には少しでも事前選別を強化して異物混入の少ない鉄スクラップを供給できる体制作りを先導しながらリサイクル品の使用についてインセンティブを付与するような取り組みをおこなう動静脈一体の資源循環制度の構築に力を注いでほしい。
無理に流通を国内だけに絞りスクラップが余剰になれば相場が下がりスクラップ業者のコスト転嫁先がなくなって逆有償になる可能性もある。そうなればスクラップ排出元も利益が減り結果、製品が高くなり価値の還元がバランスしなくなるのではないかと心配している。スクラップ業者を中心とした静脈産業が弱くなっては回収力や選別加工力が下がり国内メーカーが使用可能な品質のスクラップが集まらず資源循環も成り立たない。
重要な資源である銅で考えてみれば、日本は銅精錬技術に優れているものの資源に恵まれているとは言えない状態であり、現状は輸入するしかない。日本が輸出を止めれば、同資源の輸入に影響が生じる可能性もあるわけで慎重になる必要がある。
鉄鋼メーカーにはトランプエレメントが多少入っていても電炉使用できるような精錬技術の開発や、リサイクル材を使った電炉製品の付加価値を訴求して低炭素高付加価値製品の販売事業戦略に注力してもらいたい。
(IRuniverse K.Kuribara)