産業廃棄物処理大手のダイセキは、26/2期に単体で過去最高収益を更新も、子会社TOB費用等が嵩み、連結営業利益は1.8%増の145.8億円に留まる 。27/2期は一時費用が解消、15.1%の営業増益と過去最高益の更新を見込む 。中計では29/2期売上高830億円、営業利益190億円目標、MOF等の新規事業を通じた成長も模索 する。
26/2期単独最高益更新もダイセキ環境ソリューションTOB費用で6.7%増収1.8%営利増
株価4155円(4/15) 時価総額1994億円 発行済株48,000千株
PER(27/2期DO予17.5X)PBR(2.39X)配当(27/2予)86円 配当利回り:2.08%
要約

26/2期単体最高益更新も計画比で若干未達、TOB費用など嵩み6.7%増収も1.8%営利増
産業廃棄物処理総合大手で廃液・廃油の中間処理、リサイクル事業が柱で、子会社に土壌汚染除去、鉛バッテリーリサイクル等を子会社で事業展開。4/7に26/2期決算が開示され、4/8にWEB決算説明会が実施された。26/2期は、売上高718.45億円(期初計画比18.45億6.7%増)、営業利益145.88億円(同11.12億円未達、1.8%増)、経常利益148.85億円(同9.15億円未達、0.3%増)、税引利益91.55億円(同7.45億円上振れ、1.6%減)となった。単独で最高収益を達成も、計画比で未達、営業利益はダイセキ環境ソリューションTOB費用などが嵩み計画比未達となった。

なお、全体に占める各社の収益構成比では、ダイセキ単体の比率が売上高で56.2%(前年度比1.0ポイント低下)、営業利益で78.5%(同3.4ポイントアップ)となっており、TOBしたダイセキ環境が売上高で30.8%、営業利益で14.0%を占め、基本的にダイセキ本体の収益動向が鍵を握っている。

ダイセキ単独は3.5%増収2.8%営利増で、計画若干未達ながら連続最高収益更新継続
ダイセキ単体の26/2期収益は、売上高404.02億円(期初計画比5.98億円未達、4.9%増)、営業利益114.57億円(同4.43億円未達、6.4%増)と、自動車不正問題で自動車生産遅れなどの影響を受けて上期伸び悩んだものの、下期には生産の正常化が進み、半導体産業などの回復もあり、鉱工業生産が伸び悩む中で収益最高更新が続いている。

26/2期は顧客シェア25.6%は変わらなかったものの、鉱工業生産指数との対比では、持続的に指数を上回る売上増を確保した。

リサイクル率並びにリサイクル製品の受入、出荷推移では、廃棄物受入量は上期にトランプ関税問題などもあったが下期に挽回、全体として鉱工業生産の伸び悩みの中で113万t(1.8%増)と緩やかな増加となった。廃棄物の中身は毎年大きな比率変化はないが、おおよそ廃油38%、廃酸15%、廃アルカリ22%程度で湿られている。なおリサイクル率は若干低下したものの、リサイクル製品においてはリサイクル燃料系の出荷量が29万t(7%増)、原料系は9万トン(10%減)となっている。

今回、初めて再生燃料の売上高が開示されたが、26/2期は47.55億円(7.1%増)、内訳はA重油代替の再生重油26.26億円(3.4%増)、石炭代替の補助燃料20.61億円(11.6%増)となっている。これら再生燃料の売上高比率は11.7%と、前年度比0.2ポイント上昇し11.7%となっている。

次に事業所別売上推移では最大事業所の名古屋が107.29億円(期初計画比2.67億円未達、1.3%増)と上期の自動車生産の伸び悩みなどもあり微増にとどまった。その他地域も北陸の震災、豪雪影響からの反動増を除き、フル稼働となった広島を含め、計画対比で若干ずつ未達となった。

ダイセキの利益面では売上高総利益率が0.4ポイント向上し、41.3%とまで向上、この背景には化石燃料多消費型のユーザーが、脱炭素化の流れの中で再生燃料の利用を高めようとする動きがあり、再生燃料の売上高が47.55億円(7%増)となっている。同社はこの動きに対応し、燃料化できる廃棄物の収集に注力し、石炭代替の補助燃料の売上を拡大、この分が20.61億円(11.6%増)となっている。この補助燃料は従来、同社が外注費を使用し、非リサイクル品として外注にコストとして支払っていたリサイクル費用の削減につながっており、結果として売上高外注費比率を1.0ポイント引き下げる効果を持ち、全体の総利益率を引き上げる主因となっている。なお、減価償却費比率が0.9ポイント高まり4.8%となっているのは、25/2期設備投資が41.51億円と大きく、広島新工場のフル稼働に伴う償却費増が影響している。

グループ会社では主力全社が増収確保しシステム機工が16.7%営利増で最高益更新
主力グループ会社では、主力全社が増収確保している。またその中ではシステム機工が16.7%営利増で最高益更新となっている。

連結最大子会社でTOBを行ったダイセキ環境ソリューションは、売上高221.45億円(計画比11.45億円上振れ、11.0%増)ながら、営業利益は20.48億円(同3.32億円未達、9.0%減)となっている。これはTOBに伴う一時費用の影響が大きく、総利益では48.13億円(同1.13億円上振れ、7.0%増)となっており、実質的には一過性費用3.57億円を考慮すると0.25億円上振れた計算となる。年間を通じ受注が計画通りに推移しているとのこと。




鉛バッテリーリサイクルのダイセキMCRは、売上高47.30億円(計画比2.26億円上振れ、5.0%増)、営業利益5.48億円(同0.50億円未達、1.3%減)となった。25/2期の大規模修繕の寄与で安定した操業ができ、生産量が20.2%増の14189tと伸びた。ただし販売面では鉛市況が想定を下回り、売上数量が13292t(0.1%減)と横ばいにとどまり、円安寄与で過去最高売上更新したものの、伸び率は小さかった。利益面では鉛市況が想定LME鉛2068$/tに対し1966$/tと想定を下回り、稼働率アップがったものの、営業利益は微減益にとどまった。

超大型タンクの洗浄を行うシステム機工は売上高47.81億円(期初計画比1.31億円上振れ、6.9%増)、営利8.38億円(同1.23億円上振れ、18.7%増)と高収益案件の前倒し作業完了で効率が上がり、売上総利益率が計画比3.0ポイント向上、前期比で3.2ポイント向上し26.6%となり、過去最高収益の更新となった。
27/2期イラン情勢加味せずTOB一時費用減で3.2%増収15.1%営利増と営利最高益予想
27/2期会社計画は売上高742億円(3.2%増)、営業利益168億円(15.1%増)、経常利益170億円(14.2%増)、税引利益112億円(22.3%増)予想と、最高収益更新を見込む。基本的にダイセキ環境ソリューションTOB関連費用(10億円程度と推定)がなくなり営業利益の伸びが高くなっている。ただし予想には現在のイラン情勢を含んでいない。
会社別ではダイセキ本体が売上高425億円(5.2%増)、営利124億円(8.2%増)予想。能力増強効果は広島稼働で一旦落ち着いており、廃液入荷量117万t(3.5%増)を見込む。この中で従来のリサイクル燃料の出荷規格品に加え、非規格品となるセカンド規格品(従来廃棄していたものをブレンドすることでリサイクル燃料化)の拡大を継続、石炭代替燃料の拡大などで総利益率42.1%(0.1ポイントアップ)を確保する計画。
ダイセキ環境ソリューションは売上高223.54億円(0.9%増)、総利益54.72億円(13.7%増)、営利30.0億円(46.5%増)予想とTOBによる一時費用がなくなり大幅な営利増を見込む。ダイセキMCRは売上高45.67億円(3.4%減)、営利5.11億円(6.8%減)予想と鉛市況の不透明であることから若干の減収減益予想に。システム機工も売上高49.35億円(3.2%増)で、営利8.30億円(1.0%減)と材料費高で収益横ばい予想に。
現状、ダイセキについては、イラン問題から原油等の調達に支障をきたすリスクで代替燃料需要が期待されるものの、鉱工業生産自体が伸び悩むと廃棄物調達が伸び悩む。このため、半導体産業などの稼働拡大を取り込む形の収益拡大で会社計画の確保は可能とみられる。その他企業についても会社計画並みの収益確保が可能とみられ、全体としてTOBの一時費用が無くなることが寄与し、会社予想並の収益が見込まれる。
中計目標として29/2期に売上高830億円、営利190億円目指す
同社は中期計画を毎年スクロールしているが、今回、29/2期にはM&Aを除き、売上高830億円(28/2期予想比5.1%増)、営利190億円(同5.5%増)を目標とした。

同社の中計見通しと実績の検証では、売上高はクリアも、ダイセキ環境ソリューションTOB影響で26/2期営業利益が未達となった。ただし一時費用を除けば計画線にある。

なお、中計ではM&Aについて具体的な案件として提示してはいないが、26年4月13日に、事業領域の拡充等に対応するため、定款の一部修正を行った。具体的には新たに新規多孔性材料(MOF)の合成・製造・性能評価および新規多孔性材料(MOF)に関連する製品・商品の開発ならびに製造・販売、ガス関連製品および商品の開発ならびに販売、各種液体の浄化処理などを加えた。MOFは金属イオンと有機配位子によるジャングルジムのような構造。活性炭などの多孔質材料と比べても大きな比表面積を持つ。材料の種類、骨格の大きさなどの組み合わせによって親水・疎水性、孔径など性質を変えられるのが特徴となっている。
同社はVISION2030 に向けた新規開発テーマの一つとして、名古屋大学発のベンチャー企業SyncMOF株式会社(2019年6月設立 代表取締役 畠岡潤一氏)とサーキュラーエコノミー型アンモニア回収リサイクルに関する共同開発を進め、新規吸脱着剤「Amunite」を使用して、排ガス中のアンモニアを吸着・回収することに成功していた。また2026年1月、「SyncMOF株式会社」の事業を譲り受け、自社の一部門として統合した。今回の定款追加は、具体的にMOFの事業化が進みつつあることの現れと思われ、中計の+αとして注目される。


現在、世界的な環境保全の高まり、温暖化防止に対する規制強化、サスティナブル社会の構築など、環境はフォローの風が吹いている。ただし政治情勢変化で見直し機運もあり、28/2期予想は慎重な予想にとどめている。MOFなどの新規事業の期待は膨らむものの、イラン情勢如何では世界的な景気低迷リスクもあり、輸出産業ではないものの間接的に中計収益も大きな影響を受ける事には注意が必要と言える。
株価はダイセキ単独の収益好調持続を受けて日経平均の上昇とともに上昇してきた。ただし2年前の水準と比較すると、未だ2割以上下回る水準にある。現状、27/2期会社予想EPS236.85円に対しPER17.5倍は、AREホールディングス12.1倍、TRE6.2倍、松田産業11.3倍と比較し割高となっている。27/2期は連結会社予想で最高益更新予想も、新規事業展開やM&A実施などのインパクトが具体化しないと、売上面での成長力にかけると思われ、株価としてはニュートラル継続と考える。



*松田産業(7456)、TRE(9247)、ARE(5857)との比較

(*図表は会社説明会資料、ニュースリリースから添付もしくはIRユニバース加工、チャートはヤフーから添付)
(IRuniverse Okamoto)