3月にドイツハンブルグで開催された国際自動車リサイクル会議IARCの展示会会場からシリーズで展示企業を紹介する。第3弾はドイツSTEINERT。
137年の歴史を持つシュタイネルトは、磁力選別とセンサー選別を統合したポートフォリオを提供するドイツ大手だ。MIRUでは、同社のブースを訪問し担当者Kaufeisen氏に話を聞いた。
シュレッダーカーから金属別回収へ
使用済み自動車のリサイクル過程では、部品やコンポーネントが解体されたのち、廃車ガラがシュレッダーにかけられ、鉄鋼、非鉄金属、非金属が混在した状態で排出される。 同社が扱う機械は、この混合物を段階的に分離するための高い技術を提供する。まず強力な磁石によって鉄や鋼などの鉄系(フェロス)金属を取り出す。 ふるい分けの後には、渦電流セパレーターが非鉄金属を狙い撃ちし、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅうなどを残りの廃棄物からはじき出す。
だがシュタイネルトが目指すのは、従来型の「鉄系か非鉄か」という単純な仕分けをはるかに超えるレベルである。同社のシステムは、軽い非鉄金属と重い非鉄金属を分離し、通常なら流れの中で失われてしまうステンレス鋼の残留分も回収することができる。 これによりリサイクラーは、混合スクラップ中に含まれる高価値金属の損失を大きく削減することが可能だ。
LIBSでアルミを合金レベルまで選別
加えて、同社が誇るのは、レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)を中核とした最新機だ。 LIBSは高エネルギーのレーザーパルスで金属表面をごくわずか気化させ、そこで生じるプラズマの光を解析することで、ミリ秒単位で元素組成を割り出す技術である。 これを高速選別ラインに組み込むことで、アルミスクラップを単なる「アルミ」としてではなく、厳密な合金系列ごとに選別することが可能になる。
従来のようにアルミ・マグネシウム系といった大まかなグループを区別するだけでなく、このシステムは、自動車用途で一般的な多くの合金を識別できるよう設計されている。 この解像度の高さは、今後導入が見込まれる自動車や包装材のアルミリサイクル含有率目標が、汎用的な二次アルミではなく、組成が管理された合金ストリームを求めるようになるため、極めて重要だ。 すでにリサイクラーの側からもこうした能力へのニーズが高まっており、顧客は材料性能を損なうことなく、リサイクル含有率の証明を求めていると同社は説明する。
リサイクラーを高コストリスクから守る
リサイクラーの立場から見ると、経済的な論点はより切実だ。鉄スクラップ中の銅濃度が厳格な上限値(特定の鋼種では0.2%前後とされることが多い)を超えると、40トンにも及ぶバッチ全体を格下げしたり、低付加価値のスクラップ鋼塊として再鋳造しなければならない場合がある。 それは生産時間の損失であり、エネルギーの無駄であり、利益を直接削る要因だ。
シュタイネルトのPLASMAX システムは、インプット段階で使用済みスクラップを分析し、規格外の材料が溶解工程を汚染する前に弾き出すためのものだ。同時に、同社の SteelMaster 二段階磁選システムは、銅を多く含むエンジンを鉄系スクラップから重点的に取り除く。 同社によれば、こうした構成により、銅含有率0.2%未満の鉄系製品を確保しつつ、85~90%の純度を持つ鉄分を回収することができるという。
分離技術の「ワンストップショップ」を目指す
戦略面では、シュタイネルトは分離プロセス全体を一社で提供できる点を強調する。ドイツ国内で開発・製造を行い、米国、南米、オーストラリアに子会社を持つほか、日本では特に強固な市場基盤を築いている。 こうしたグローバルなプレゼンスにより、大手リサイクラーや廃棄物処理企業は、複数拠点で同じ技術プラットフォームを標準化しやすくなる。
顧客は、磁選機はこのサプライヤー、渦電流セパレーターは別のサプライヤーといった個別調達をする必要がない。 シュタイネルトから分離システム一式を導入すれば、窓口は一つ、サービス体制も一元化される。同社は、訓練されたサービス要員と、自動車スクラップから一般廃棄物まで用途別に最適化された機械設計を強みとして打ち出している。センサー選別で30年以上、磁気技術では100年以上に及ぶ経験こそ、大きな差別化要因だと同社は主張する。
By Y.SCHANZ