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【貿易統計/日本】2026年2月のアルミ缶スクラップ輸出統計
為替相場推移 TTS 3か月
■数量動向
数量面では、2026年2月単月は5,346トンと、前月比93%で減少し、2カ月連続の減少となった。前年同月比は83%で、前年水準も下回った。年初以降、輸出数量はやや調整色の強い推移となっている。
韓国向けは、2月5,158トンで前月比94%と小幅減少、前年同月比84%となった。引き続き最大の輸出先であり、全体数量の大半を占める主力市場としての地位は変わらない。ただし前年対比ではやや弱含みで、韓国市況や需要動向の影響を受けやすい構造が続く。
タイ向けは、2月188トンで前月比376%と増加したが、これは1月50トンという極端な低水準からの反動が主因である。前年同月比は101%と前年並みまで戻したものの、数量規模そのものは依然限定的である。背景には、タイ国内の飲料缶回収体制整備やスクラップ流通の成熟により、現地ユーザーが内国調達比率を高め、日本材への依存を低下させている構造変化があるとみられる。従って、短期的な増減よりも、中長期的には日本からの輸出需要縮小トレンドとして捉える必要がある。
その他向けは、2月ゼロとなり、前月の212トン(マレーシア向け中心)から一服した。スポット的な出荷が続く構図で、安定的な仕向け地にはなお至っていない。
■1-2月累計動向
2026年1-2月累計数量は11,094トンで、前年同期比93%となった。前年をやや下回る水準でのスタートとなっている。
韓国向け累計は10,644トンで、前年同期比95%。全体の約96%を占め、輸出構造の韓国偏重は一段と鮮明である。
タイ向け累計は238トンで、前年同期比35%と大幅減。単月では2月に回復がみられたものの、累計でみれば需要縮小が明確であり、現地内国調達化の進展を裏付ける内容となっている。
その他向け累計は212トンで、前年同期比307%と大幅増。ただし母数が小さく、全体への影響は限定的である。
■総括
2026年2月は、全体数量が前月比・前年同月比ともに減少し、やや軟調な推移となった。韓国向けが主力市場として全体を支える構図は不変だが、その韓国向けも前年割れであり、輸出全体は伸び悩み局面にある。
特にタイ向けについては、従来の景気循環的な増減ではなく、現地回収・再資源化の進展による輸入代替が進んでいる可能性が高い。これにより、日本のUBC輸出は従来の「韓国+タイ」の二本柱から、実質的に韓国単独依存型へ移行しつつある。今後は東南アジア他国や新規需要先の開拓が進まない限り、市場分散は一段と難しくなるとみられる。
(表―1、グラフ―1)。


■金額動向
金額面では、2026年2月単月は18億53百万円と、前月(19億32百万円)から減少し、前月比96%となった。前年同月比は91%で、前年水準も下回った。数量面と同様に、年初以降はやや調整色の強い推移となっている。
韓国向けは、2月18億03百万円で前月比96%と小幅減少、前年同月比92%となった。依然として全体金額の大半を占める主力市場であり、UBC輸出採算を左右する中心的な存在である。ただし前年対比ではやや弱含みで、韓国側需要や価格調整の影響がうかがえる。
タイ向けは、2月50百万円で前月比343%と急増したが、これは1月15百万円という極端な低水準からの反動による面が大きい。前年同月比は71%で、依然として前年を下回る。背景には、タイ国内での缶スクラップ回収率向上や再資源化設備整備により、現地ユーザーが内国調達を優先し、日本材への依存を低下させている構造変化があるとみられる。したがって、一時的な回復よりも中長期的な需要縮小トレンドとして捉えるべき局面である。
その他向けは、2月ゼロとなり、前月の40百万円(マレーシア向け中心)から一服した。スポット需要の域を出ておらず、安定した代替市場形成には至っていない。
■1-2月累計動向
2026年1-2月累計金額は37億85百万円で、前年同期比99%とほぼ前年並みとなった。数量累計が前年割れである一方、単価高が金額を下支えした格好である。
韓国向け累計は36億80百万円で、前年同期比103%。全体の約97%を占め、数量面以上に韓国依存が鮮明となっている。
タイ向け累計は65百万円で、前年同期比28%と大幅減。数量減少に加え、金額面でも市場縮小が明確であり、現地内国調達化の進展を裏付ける内容となっている。
その他向け累計は40百万円で、前年同期比422%と大幅増。ただし母数が小さく、全体への寄与は限定的である。
■総括
2026年2月は、全体金額が前月比・前年同月比ともに減少し、やや軟調な推移となった。ただし累計では前年並みを維持しており、単価高が輸出金額を支えている。
構造面では、韓国向けが数量・金額とも圧倒的比重を占める一方、タイ向けは構造的縮小市場としての色彩が一段と強まっている。従来の韓国・タイ二本柱から、実質的には韓国単独依存型市場へ移行しつつあり、新規需要先の開拓が進まなければ輸出先分散は難しい状況にある。
(表―2、グラフ―3)。


■FOB推移
韓国向けは、2026年1月の342円/kgから2月は350円/kgへ上昇。
2025年8月302円→9月308円→10月316円→11月328円→12月340円→2026年1月342円→2月350円と、7カ月連続の上昇となり、輸出価格は一段と高値圏へ切り上がった。為替は引き続き円安基調で推移しており、ドル建てベースでの上昇幅は円建てほどではないとみられるものの、韓国向け需要の底堅さを背景に価格上昇が続いている。
タイ向けは、1月の293円/kgから2月は267円/kgへ下落。1月に急騰した反動調整とみられ、数量規模が小さいためスポット成約価格の振れも大きい。現地ユーザーの内国調達志向が強まる中、日本材の価格競争力が問われやすい市場となっている。
国内UBC価格は、1月の330円/kgから2月は345円/kgへ上昇。
2025年7月283円→8月290円→9月294円→10月295円→11月312円→12月315円→2026年1月330円→2月345円と、8カ月連続の上昇となった。国内缶スクラップ発生の伸び悩み、輸出価格高騰、国内再生メーカーの調達競争が重なり、国内価格も歴史的高値圏へ上昇している。
■総括
2月は、韓国向け輸出価格と国内UBC価格がともに上昇し、主力市場では強基調が継続した。一方、タイ向けは反落しており、市場ごとの差が鮮明となっている。結果として、日本のUBC市場は韓国向け高値輸出と国内集荷競争が価格を押し上げる構図が強まっており、国内発生不足が続く限り、高値基調は維持されやすい局面にある。
米国UBCも高値圏で推移。
(グラフ―3)。

アルミUBC(飲料缶)プレス品 国内相場(JPY/Kg)推移 1年
米国産アルミUBC(飲料缶)プレス品(FOB/USA) (¢/lb) 1年
主要税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望(UBC関連スクラップ)
今後数カ月は、数量は伸び悩み~横ばい、価格は一段高を警戒という、需給逼迫色の強い展開が想定される。中東情勢の緊迫化によるアルミ新地金・二次合金市場の急騰が、UBC市場にも波及しつつあるためである。
まず数量面では、2026年2月は全体で前年同月比83%と減少し、輸出数量の回復力は限定的である。韓国向けは依然として主力市場であり底堅い需要が見込まれるが、国内価格上昇により国内還流が進めば、輸出余力は抑制されやすい。
タイ向けについては、景気循環ではなく、現地缶回収網の整備・再資源化能力向上による構造的な内国調達化が進んでいるとみられ、日本材需要の本格回復は期待しにくい。したがって、従来の「韓国+タイ」二本柱ではなく、実質的に韓国単独依存型の市場構造が続く公算が大きい。
一方、「その他」向けはマレーシアなどへのスポット出荷余地はあるものの、数量規模はなお小さく、韓国・タイに代わる主力市場になるには時間を要する。
価格面では、韓国向けFOBは2月350円/kg、国内UBC価格は345円/kgまで上昇し、ともに高値圏を更新している。背景には、
・LMEアルミ価格の急騰
・中東情勢悪化による地金・ADC供給懸念
・国内合金メーカーの原料確保競争
・円安進行による輸出採算改善
がある。特に中東からの新塊・二次合金供給不安が長引けば、代替原料としてUBC需要が一段と高まり、国内外で争奪戦が強まる可能性がある。
その結果、当面のシナリオは以下の通り。
・数量:横ばい~やや減少(国内還流増で輸出余力は限定的)
・価格:高値維持~続伸(原料争奪で強含み)
・輸出構造:韓国集中継続、タイ縮小、その他は補完的増加
■総括
UBC市場は、従来の「輸出主導」から、国内需要と輸出需要が競合する争奪市場へ移行しつつある。中東情勢が長引けば、新塊不足を補うスクラップ需要がさらに高まり、国内UBC価格は一段高となる可能性が高い。短期的な最大焦点は、韓国向け需要の継続性と、日本国内メーカーの買値引き上げ競争の強さにある。
(IRUNIVERSE S. Aoyama)