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【インタビュー】:ウィンファースト向山社長に聞く「建設向け鉄鋼市場の環境変化と次世代への布石」

2026/04/28 11:59
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【インタビュー】:ウィンファースト向山社長に聞く「建設向け鉄鋼市場の環境変化と次世代への布石」

 建設現場の「働き方改革」に伴う工期長期化や、安価な輸入鋼材の流入により、かつてない逆風にさらされている国内の鉄筋・鉄鋼セクター。さらに脱炭素化の潮流の中で、「戦略資源」としての鉄スクラップを巡るグローバルな獲得競争も激化の一途をたどっている。この激動の市場環境において、旧態依然とした業界の常識を打ち破り、次なる成長戦略を次々と打ち出しているのが、気鋭の電炉メーカー・向山工場の関係会社であるウィンファースト株式会社だ。同社のトップである向山社長に単独インタビューを敢行した。埼玉県羽生市に新設した巨大加工拠点での「鉄筋ユニット化」による建設現場の省人化への挑戦をはじめ、上流の設計段階からコンサルティングを行う「未来建築研究所」の設立、そして不可避とされる鉄筋業界再編(M&A)の行方まで。縮小市場を生き抜き、次世代の鉄筋ビジネスを牽引するための「攻めの経営戦略」に迫る。

(WF向山社長(左)とAkaiレポーター)

 

1. 輸入材の浸透と国内需要の現状

棚町: 最近の鉄鋼セクターを見ていると、建設現場での働き方改革や輸入材の流入で、国内の荷動きが以前ほど伸びていない印象があります。鉄筋などの動きについてはどうご覧になっていますか?

向山: 鉄筋業界はそれほど輸入の波にさらされていないと言われてきましたが、見えないところで浸透している可能性はあります。ただ、プレキャストコンクリート(PC)のように組んだ状態で海外から持ってくるのは、輸送中に欠けたりするリスクがあり難しい面があります。一方で、H形鋼などは結構入ってきていますね。国内の丸棒生産が毎年5〜10%落ちている現状を見れば、全体として厳しい環境にあるのは間違いありません。

棚町: 商社が鉄スクラップをバンバン輸出しながら、一方で輸入材を持ってくるという構造には、業界内でも疑問の声が上がっています。

向山:海外鉄骨ファブリケーターに関しては、 本当は日系企業の海外案件をやらせるために認証を取らせた部分もあったのでしょうが、状況が変わってしまいましたからね。ただ、そこは国内の経済安保の観点からも、どうにかするべき課題だとは思います。

2. 「鉄スクラップ」の輸出規制と脱炭素の限界

棚町: 先日の我々のシンポジウム(第7回サーキュラーエコノミーシンポジウム)でも話題になりましたが、そろそろ「戦略資源」としての鉄スクラップの輸出に規制をかけようという動きが密かに進んでいるように感じます。

向山: 高炉メーカーが電炉シフトを本格化させ、スクラップを使い出せば、いよいよそういった動きは強まるでしょうね。仮に関税が20%程度かかれば、国内メーカーの対抗力も強まり、利益構造も改善されるはずです。我々としても、海外勢との勝負を考えれば有利になるので賛成です。

棚町: 日本製鉄のご担当者などは、「スクラップ使用比率を上げるだけでは脱炭素にはならない」とかなり踏み込んだ発言をされていました。

向山: ええ。スクラップをただ回していくだけでは限界があります。電力問題もありますし、そもそも純鉄(バージンメタル)を誰かが作らなければ良質なスクラップも生まれない。そこを抜きにして「スクラップを使えばエコだ」と短絡的に考えるのは危ういという指摘でしょう。

3. 人手不足への回答:「加工の高度化」と「未来建築」

棚町: 建設現場の人手不足、特に鉄筋工や電気工事士の不足は深刻です。その中で、向山工場さんは独自の一手を打たれましたね。

向山: はい。3月末に埼玉県羽生市に約5000坪の新しい加工工場を立ち上げました。機能としては、久喜工場の製品置場の補完と新製品開発と加工品質向上の為の技術兼所的役割があります。そして、これまでは鉄筋を納めるだけでしたが、もう一歩先の工程、つまり工場でユニット化して現場に持っていく体制を強化するためです。現場での手間を省き、RC(鉄筋コンクリート)造の需要そのものを増やしていかなければなりません。

棚町: なるほど。さらに「未来建築研究所」も立ち上げられました。これはどういった狙いがあるのでしょうか?

向山: 鉄筋メーカーがただ注文を待つ時代は終わりました。上流の設計段階から入り込み、構造図を見た時点で「この配筋では収まりが悪いから、こう変えたほうがいい」とコンサルティング的な提案をしていくためです。建築の在り方そのものにコミットしていく必要があります。

4. 業界再編とサプライチェーン防衛

棚町: 国内の電炉鉄筋メーカーはまだ28社(?ご確認ください)あり、多すぎる印象です。後継者問題も含め、再編は避けられないのではないでしょうか。

向山: おっしゃる通りです。設備投資の負担も大きく、製造工程の自動化を進められず、高付加価値製品を供給できないメーカーは競争力が低下していくでしょう。資本力のある企業が資本を投下し、M&Aなどを通じて集約化を進め、効率のいい生産体制を作っていくべきだと考えています。電炉の製造技術を持った職人も高齢化で技術継承が難しくなっています。

棚町: 原料や副資材の供給リスクも高まっています。最近では「潤滑油が足りなくて機械が止まるかもしれない」という話も聞きました。

向山: 本当に何が起きるか分からない時代です。我々民間企業も「備蓄」という概念を真剣に考える時期に来ています。スクラップの確保はもちろん、事業を止めないためのあらゆるリスクヘッジが今後の経営を左右するでしょうね。


(IRUNIVERSE YT&Akai)

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