予想レンジ
項目 | 10月予測レンジ | コメント |
LME | 3,050-3,400ドル | 9月末3,160ドル。3,100~3,125ドル近辺の支持と中国需要を注視。 |
スクラップ | -20~+20円(前月最終価格より) | 地金調整が重石。良質材は需給タイトで下げ渋り。 |
為替 | 155-160円(1か月間TTM) | 9月末157円台。円安は国内価格を下支え。 |
■国際概況
9月のLMEアルミは月末に調整色を強め、30日は3,160ドル/トン前後と約2か月ぶり安値。ドル高や工業金属需要への警戒が重石となり、テクニカル面では3,100~3,125ドルが目先の支持帯として意識される。銅が高値を維持する一方、アルミは相対的に弱い動きとなった。
10月は中国国慶節明けの需要、エネルギー価格、LME在庫、ドルが焦点。3,100ドル近辺を維持できれば反発余地があるが、割り込めば調整が深まりやすい。国内スクラップは良質材の需給が下支えする一方、二次合金メーカーの採算と地金安が上値を抑える。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート 9月末のNY市場は1ドル=157.34円前後。米金利の高止まりでドルは底堅い一方、米インフレ鈍化や為替介入への警戒が上値を抑えた。10月は155~160円を中心レンジとみる。

【国内指標】
【自動車生産】
2026年8月の国内自動車生産は、乗用車メーカー8社合計48万7,195台、前年同月比▲5.9%(速報値)。熊本地震による部品供給停滞や一部メーカーの稼働停止・生産調整が影響した。二次合金・ダイカスト需要は、稼働正常化と生産回復の度合いが焦点となる。
| 月 | 6月 | 7月 | 8月(速報) |
| 生産台数 | 737,488台 | 761,142台 | 487,195台 |
| 前年比 | +6.8% | 約+8% | ▲5.9% |

【自動車販売】
2026年9月の国内新車販売は、登録車27万1,900台(前年同月比+2.5%)、軽自動車16万1,783台(▲0.6%)で、合計43万3,683台(+1.3%)。登録車の増加が軽自動車の減少を補い、全体では前年を上回った。アルミ需要への波及は国内生産の回復と合わせて判断する。
| 月 | 7月 | 8月 | 9月 |
| 販売台数 | 417,163台 | 307,374台 | 433,683台 |
| 前年比 | +6.8% | +2.0% | +1.3% |

【住宅着工戸数】
8月の新設住宅着工は6万3,974戸、前年同月比+6.1%で5か月連続増。持家+1.0%、貸家+6.5%、分譲+6.4%。一方、季節調整済年率は75.3万戸で前月比▲2.7%。サッシ・建材向け押出需要は前年反動を差し引いて慎重に見る必要がある。
【アルミ圧延・押出品生産数】
日本アルミニウム協会による8月のアルミ圧延品(板・押出)出荷は11万9,196トン、前年同月比+0.2%で6か月連続プラス。板は7万7,063トン(▲0.1%)と6か月ぶり減、押出は4万2,133トン(+0.8%)。缶材・自動車向けの弱さを押出が補い、全体はほぼ前年並みを確保した。
月 | 6月 | 7月 | 8月 |
出荷量 | 157,370t | 154,903t | 119,196t |
前年比 | +9.9% | +6.1% | +0.2% |

【アルミニウム二次地金 同合金地金等生産実績】
アルミ二次地金・合金の最新公表数量は7月で、生産7万1,237トン(前年同月比+13.6%)、出荷7万24トン(+12.7%)。8月数量は本稿作成時点で確認できない。8月後決め価格はキロ20円安中心で決着しており、原料相場の弱含みとメーカー採算が足元の焦点となる。
月 | 5月 | 6月 | 7月 |
生産量 | 61,331t | 68,912t | 71,237t |
出荷量 | 59,024t | 68,603t | 70,024t |

◆貿易関連指標(2026年8月実績まで)
財務省貿易統計の統計品別表から全掲載品目を集計し、5~8月実績を掲載。輸出は8月まで確報、輸入は7月まで確報・8月は輸入9桁速報。数量はkgからtへ換算し四捨五入した。新地金はHS760110、合金地金はHS760120(二次合金を含み、再生塊のみの数量は分離できない)。輸出スクラップは缶を除くHS7602、缶はHS760200100、輸入スクラップはHS7602合計。
【輸出】
品目 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
新地金 | 577t | 208t | 69t | 111t |
合金地金(二次合金含む) | 848t | 729t | 720t | 643t |
スクラップ(缶除く) | 25,210t | 30,492t | 34,001t | 34,334t |
アルミ缶スクラップ | 4,317t | 5,390t | 5,471t | 3,358t |


出典 財務省貿易統計 統計品別表(2026年9月29日公表の8月分)。2026年は8月まで。
【輸入】
品目 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
新地金 | 65,894t | 88,706t | 84,427t | 89,024t |
合金地金(二次合金含む) | 77,962t | 83,906t | 104,624t | 105,206t |
アルミスクラップ合計 | 15,101t | 17,535t | 15,506t | 10,085t |


■国内概況まとめ
9月の国内アルミスクラップ市場は、LMEアルミが月末3,160ドルまで下落し、8月の高値圏から調整した。円相場は157円台で円安が国内価格を下支えしたものの、8月後決め二次合金価格がキロ20円安中心となるなど、原料高を追い切れないメーカー採算が意識された。
需要面では、9月新車販売が43万3,683台(前年比+1.3%)と前年を上回った。一方、8月国内自動車生産は8社合計48万7,195台(▲5.9%)で、部品供給停滞や稼働停止・生産調整が影響した。住宅着工は8月6万3,974戸(+6.1%)。アルミ圧延品出荷は11万9,196トン(+0.2%)を維持したが、板は微減。二次合金需要は自動車生産の回復度合いが鍵となる。
10月はLME3,100ドル近辺の攻防と中国休場明け需要が焦点。良質スクラップは国内循環需要から下げ渋りやすい一方、低品位材はメーカー採算を反映し弱含みやすい。地金が反発しない場合、品種間の価格差がさらに広がる可能性がある。
【見通し】
【自動車生産】 8月は8社合計48万7,195台、前年比▲5.9%(速報値)。10月は部品供給と工場稼働の正常化、生産回復の度合いを注視。
【自動車販売】 9月は登録車+軽で43万3,683台、前年比+1.3%。登録車+2.5%が軽▲0.6%を補った。10月は受注残消化と生産回復による需要への波及を注視。
【住宅着工戸数】 8月6万3,974戸、前年比+6.1%。季調済年率は前月比減で、押出・建材需要は緩やかな持ち直しを想定。
【アルミ圧延・押出品】 8月出荷11万9,196トン、前年比+0.2%。板は微減、押出は増加。10月は自動車生産正常化と建設需要を見極める。
【アルミ二次合金】 最新数量は7月生産7万1,237トン、出荷7万24トン。8月後決め価格は20円安中心。10月は自動車生産回復とスクラップ調達価格のバランスが焦点。
【スクラップ景況予想】 LME調整が重石だが円安と良質材不足が下支え。前月最終比で-20~+20円程度を想定し、低品位材ほど弱含みやすい。
【LME・為替予想】 LMEアルミは3,050~3,400ドル、為替は155~160円を想定。3,100ドル支持、中国休場明け需要、ドル、エネルギー価格が主材料。
10月のアルミは「3,100ドル近辺を下値めどとした神経質な展開」を基本シナリオとする。良質材は数量確保を優先し、低品位材は採算重視。地金が3,100ドルを明確に割る場合は在庫圧縮を優先する。