経産省製造産業局・GXグループは13日、GX推進のためのグリーン鉄研究会のフォローアップ会合を開催し、サプライチェーンでのグリーン鉄情報の伝達に係る調査事業の結果を発表した。データ連携基盤上にデータを流し、検証を行うことで、「実務運用に即した自動処理や、真正性・秘匿性の担保が実現できる可能性が確認された」と示した一方で、データ連携基盤の構築以前に一層の検討が必要である課題も特定されたと報告した。
同調査事業ではまず関係者へのヒアリングを実施。グリーン鉄の普及に向けた課題を明確にしたうえで、調査事業者である富士通がデータ連携の検証基盤を構築。その実用性を図った。ヒアリングではグリーン鉄の価値担保や価値伝達、秘匿性担保の必要性が浮き彫りになった。
その後実施したデータ連携基盤の検証では、有用性が確認出たものの、グリーン鉄利用量の明確な定義、鋼材取引情報のデータ連携基盤への自動取り込み、データ連携基盤に登録する情報の詐称を防ぐ仕組みなどの課題も確認された。
グリーン鉄利用量の明確な定義については、同品種であっても、工場・ラインによってCFP・削減実績量が異なるほか、加工すると端材が発生してグリーン鉄の正味量は減っていくなどの問題があり、明確な定義化は難航すると想定される。また、重量での管理は意味が無いため、グリーン鉄の価値を測る単位の定義が必要という声もあった。
サプライチェーンへの負担も考慮を
経産省は検証の総括として、「グリーン鉄の流通量が増加した場合にも、サプライチェーン間で情報連携を行い、最終ユーザーにグリーン鉄の価値情報を伝達することは技術的に可能」としたうえで、「厳密なトレーサビリティを追求することは、サプライチェーンへの負担が大きいため、グリーン鉄の環境価値を過不足なく総量管理していくといった、目的に応じた連携基盤を構築していくことが必要」と言及した。
事務局の見解通り、サプライチェーンへの負担は最も考慮すべき課題といえる。経産省の管轄にとどまらず、有意義な政策だったにも関わらず、参入障壁が高いことや、運用における金銭的・労力的負担がネックとなり、制度そのものが崩壊したケースは珍しくない。
今回の検証結果を見る限りではサプライチェーンにおけるユーザーの負担は検証項目に入っていなかった模様のため、社会実装に至るまでにはその検証が必須となりそうだ。
(IRuniverse K.Kuribara)