関連記事→
【貿易統計/日本】 2026年3月の日本のアルミ再生塊輸出入統計
アルミ合金&スクラップ市場近況2026#4 国産ADC、値上げラッシュ停滞――一服感漂うも上げ余地残す相場
アルミ合金&スクラップ市場近況2026#5 国産ADC、最高値の500円台到達、メーカーの原料買値は上物60円上げ――中東紛争が国内市況に直撃
アルミ合金&スクラップ市場近況2026#7 国産ADC、最高値更新で550円超の水準に――中東紛争の影響、依然続く中弱気な声も
アルミ合金&スクラップ市場近況2026#8 国産ADC、一段上げの560円超の水準――ここにきて中東紛争が弱材料に!?
アルミ合金&スクラップ市場近況2026#9上昇基調を維持――先行きには警戒感も ホルムズリスクが長期化・和平の兆し見せても弱材料に!?
為替相場推移 TTS 3か月
(概況)
3月は数量が前年同期比96%と前年並み近くまで回復した一方、単価は上昇基調を維持し、一段と高値圏へ切り上がった。LMEアルミ相場は高水準を維持しつつ、中東情勢の緊迫化を背景に対日プレミアムや二次合金原料価格が急騰。加えて、円安再進行も重なり、輸入コストは一段と押し上げられた。とくにUAEなど中東ソースへの供給不安が意識され始め、調達先分散の動きも徐々に強まっている。前年から続く価格上昇局面は新たな局面に入りつつあり、2026年の年平均単価は過去最高水準を更新する可能性が高まっている。
(詳細分析)
(アルミ再生塊輸入分析・2026年3月アップデート)
■数量面では、2026年3月単月は 7万9,134トン と、前月比102%で小幅増となった一方、前年同月比は97%と前年並み圏にとどまった。UAEは 1万8,043トン(前月比101%) と横ばいながら前年同月比では81%と弱含み。中国 1万830トン(119%)、ロシア 3,988トン(148%)、インド 4,575トン(116%) は増加し、中東ソースを補完する動きがみられる。マレーシア(110%)も回復した一方、ナイジェリア(73%)やニュージーランド(68%)は減少した。
■1-3月累計は 24万9,850トン、前年同期比 91% と前年割れが続く。ただ、中国 3万1,101トン(前年比114%)、インド 1万5,103トン(117%) は増加し、UAE 5万8,361トン(77%) の減少を一部補完する構図が鮮明になっている。
■総括
3月統計時点では数量への全面的な影響はまだ限定的だが、中東紛争(イラン情勢)を背景に、中国・インド・ロシアなど代替調達先へのシフトが始まりつつある兆候が見え始めている。実際、市況面では3月中旬以降、LME急騰や対日プレミアム高騰、UAE材停滞懸念を背景に国内ADC・スクラップ相場が急伸しており、数量統計はなお安定を装う一方、市場実態は既に“戦争プレミアム”局面に入り始めていると見るべきだろう。
(表―1、グラフ―1、2)。



■数量構成比では、2026年2月→3月で、UAEは 23%→23% と横ばいながら最大シェアを維持。中国は 12%→14%、ロシアは 3%→5%、インドは 5%→6% と上昇し、中東代替ソースの比率拡大が目立った。一方、ニュージーランドは 5%→3%、マレーシアは 10%→11% と小幅回復、ナイジェリアは 5%→4% に低下した。
総じて、UAE依存は維持されつつも、中国・ロシア・インドへの分散が進行。中東紛争の影響が全面化する前段階として、供給構造の多極化が進み始めている。
(グラフ―3)。

■金額面では、2026年3月単月は367億94百万円と、前月(338億54百万円)比109%で増加し、前年同月比も115%と前年超えを維持した。数量回復に加え、中東リスクを背景とした価格高止まりが押し上げ要因となった。
主要仕入先では、UAEが91億28百万円(前月比111%)で最大を維持した一方、中国48億17百万円(同126%)、ロシア17億22百万円(同164%)、インド19億76百万円(同124%)と増加し、中東依存を補完する動きが継続。ニュージーランド、ナイジェリアは減少した。
1-3月累計は1,104億78百万円で、前年同期比100%と前年並み。中国(126%)やインド(128%)が伸長する一方、UAE(84%)、ナイジェリア(75%)の減少が重石となった。
総じて、3月は中東情勢による供給不安を織り込みつつも、調達は中国・ロシア・インドなどへの分散が進行。UAE依存は続くものの、多極化の流れが一段と鮮明になっている。
(表―2、グラフ―4)。


■CIF動向は、2026年2月→3月で全体平均が438円/kg→465円/kgへ上昇し、9カ月連続の続伸となった。3月は円安再加速に加え、LME地金(3,065ドル→3,370ドル)・アルミ合金(2,575ドル→2,724ドル)がともに上昇し、輸入コストを大きく押し上げた。
主要ソースでは、中国塊が419円→445円、UAE塊が460円→506円と急伸。ロシアも390円→432円へ反発し、マレーシアは429円→433円と高値維持。オーストラリア(514円→555円)、ニュージーランド(522円→563円)は一段高となり、最も高い価格帯を形成した。
総じて、3月は中東情勢を背景としたLME高と円安進行が重なり、CIF価格は全面高。特にUAEなど中東ソースの上昇が目立ち、4月以降は中東紛争の実需影響が本格化する可能性もあり、輸入コストの一段高リスクが強まっている。
(グラフ―5、6、7)。



主要税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望(アルミスクラップ・二次合金原料)
今後数カ月は、「高値維持」一辺倒ではなく、供給不安プレミアム相場と実需減速懸念の綱引きが焦点となる。中東紛争を背景に、UAEなど中東ソースの不安定化、LME高、円安、対日プレミアム上昇を受け、スクラップ・ADC価格は歴史的高値圏を維持する公算が大きい。国内スクラップ買値やCIF価格も高止まりが基本シナリオで、調達先分散や国内材回帰は一段と進みそうだ。
一方で、4月以降は市場心理に微妙な変化も出始めた。和平観測やLMEの調整色に加え、自動車業界の減産懸念、ダイカストメーカーの買い慎重姿勢が表面化しており、「供給不足→価格上昇」の構図が、「高値疲れ→需要調整」へ反転するリスクも意識され始めている。実際、国産ADCは560~580円で高止まりする一方、原料買値の据え置きも出始めた。
総じて、5~6月は「高値持続か、需給緩和への転換点か」を見極める局面。中東情勢が長期化すれば600円視野もあり得る一方、和平進展や自動車減産が現実化すれば、思惑剥落による調整局面入りの可能性も否定できない。市場の核心は「供給不安」から「実需の耐久力」へ移りつつある。
(IRUNIVERSE S. Aoyama)