アジアの合成樹脂市況は4月初めの直近高値から軟調な展開が続いている。中東リスクに伴う原油・ナフサ高への期待先行で原料市況以上に上昇した面の調整過程となっている。米国・イランの調停は予断を許さないもの何らかの合意の可能性の高まりから原油市況の下落期待も高まりつつある。中国市況も5月に入り軟調な展開にある。ただイラクとの和平交渉が進展しても爆撃前の5割高で高止まりとなる公算が高い。
アジア合成樹脂市況は塩ビ樹脂を除き軟調な展開に
アジア合成樹脂市況の5月第3週(GWの関係で5月18日~22日を対象)の市況は、ポリプロピレンと塩化ビニル樹脂(以下、塩ビ樹脂)が前週末比横ばいとなる一方、低密度ポリエチレンが前週末比4%弱の下落、ポリスチレンが同2.5%弱の下落となった。
中国の増値税還付廃止やインド、中国向けオファー価格の提示を中断の影響を受けナフサ高の影響を反映し難い状況にあった塩化ビニル樹脂を除き、4月初めの高値から一進一退も軟調な展開が続いている。この要因としては①中東リスクに伴う原油高・ナフサ高への期待先行で原料市況以上に上昇した分の調整、②中国国内市況が5月に入り軟調なこと、③各国の原油・ナフサ調達の分散化も進む中で原油市況がバレル100ドル前後で膠着状態となり、エチレン、プロピレン、スチレンモノマーなど樹脂原料市況が弱含みにある、などの点が挙げられる。

(注) IRUではアジアの合成樹脂市況インデックスは、多様なグレード取引形態や地域で異なるため、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂の価格を2020年の年初の平均価格を100として指数化している。2020年12月までを毎月末近辺の市況を対象に指数化し、2021年以降は週間ベースの市況を対象に指数化している。新型コロナウイルスの蔓延の前と後での樹脂市況の違いを示すために基準時を2020年1月としている。なお、直近値は2026年5月第2週(5月22日まで)の市況となっています。
今後の合成樹脂市況は軟調も当面はイラン爆撃前の5割高か
米国・イランの和平交渉が長期化しているが、予断は許さない状況も米国が和平は近いとの従来にも増して強気のコメントを発し始めている。これらの点が原油市況を引き下げる方向に動き、和平が実現したとしてアジアの合成樹脂市況にはどの程度の影響を与えるのであろうか。中東の原油関連設備は爆撃によるダメージからの回復に年単位での時間を要すると言われており、短期的には原油・ナフサの需給バランスの回復は大きく期待できないが、原油市況が下落は先行きの下落期待の心理的な側面からどこまで下がるかである。現状の樹脂原料の市況は米国のイラン爆撃前から約75%上昇しており、原油市況の下落に伴う短期的かつ心理的な側面からは爆撃前の5~6割高となる可能性が高いと試算できる。この水準は台湾のFPCなどが打ち出しているインド向けの5月のオファー価格の引き上げ率50%とほぼ同等の水準となる。
国内では5月からポリオレフィンの二次値上げが打ち出されているが、国内市況の場合は円相場も影響するため円安基調が続けば二次値上げの水準が落ち着きどころとなり、値上げが抑制されたとしても10%程度となり、アジアの合成樹脂市況と同様に高止まりが続くことになる。