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(概況)
3月のニッケルくず輸出は、数量が744トンと前月比減少したものの前年同月比では増加。タイ向け急減を米英向け拡大が補い、年初来LMEニッケル高騰と円安を背景にFOB単価は大幅続伸した。
為替相場推移 TTS 3か月
■数量では、3月単月は744トンと、2月849トンから減少(前月比88%)したが、前年同月比では118%と前年を上回った。2月の急増後の反動調整局面とみられる。
主要仕向け先では、米国向け356トン(前月比160%)が最大となり、英国向け139トン(同284%)、韓国向け117トン(同198%)も増加。一方、タイ向けは359→12トンへ急減し、2月の全体押し上げ要因が剥落した。マレーシア向けも74→18トンへ減少した。
1-3月累計では2,063トン(前年同期比137%)と高水準を維持。タイ向け636トン、米国向け638トンが双璧となり、中国・ASEAN向けも増勢が続く。総じて、3月はタイ特需の反動で減少したが、米英向け増加が下支えし、輸出構造の北米・ASEANシフトは継続している。
(表―1、グラフ―1)。


■数量構成比では、3月は米国向けが26%→48%へ急上昇し最大仕向け地に浮上、数量も223→356トンへ増加した。英国向けも6%→19%へ拡大し、欧米向け比重が大きく高まった。
一方、タイ向けは42%→2%へ急低下(359→12トン)し、2月の特需が剥落。マレーシアも9%→2%へ低下した。韓国向けは7%→16%へ上昇、中国向けは5%→3%へ低下。
総じて、3月はタイ偏重型から米英主導型へ急転換した月といえる。北米・欧州向け拡大により、輸出構造の多極化が一段と鮮明となった。
(グラフ―2)。

■金額では、3月単月は12億07百万円と、2月9億09百万円から増加(前月比133%)し、前年同月比でも241%と大幅増となった。米国向け6億05百万円(前月比153%)が最大で、英国向け2億59百万円(同276%)、韓国向け1億42百万円(同171%)も増加し、欧米向けが全体を牽引した。
一方、タイ向けは92→33百万円、マレーシア向けも95→35百万円へ減少し、2月のASEAN特需は一服。1-3月累計は24億72百万円(前年同期比166%)と高水準を維持している。
総じて、3月はタイ急減の反動を米英向け拡大が補完し、輸出構造は北米・欧州比重を強める展開となった。数量増と高単価仕向け先の拡大が金額押し上げ要因となっている。
(表―2、グラフ―3)。


■輸出FOB単価は、3月に全体平均1,622円/kgと、2月(1,070円)から大幅続伸(前月比152%)し、高値圏へ切り返した。円安進行が円建て価格を押し上げたことに加え、米英向け高単価案件増加が寄与した。
国別では、米国向け1,700円、英国向け1,861円と高水準を維持し、数量増(米国223→356トン、英国49→139トン)とあわせて平均価格を押し上げた。韓国向けは1,210円へ低下、中国向けは1,551円へ上昇。一方、タイ向けは2,751円と急騰したが数量は359→12トンへ急減し、スポット高単価案件の色彩が強い。
なお、LMEニッケルは2026年1月以降、インドネシアの生産枠制限強化を背景に、それまでの14,000ドル台から17,000ドル台へ急騰し、3月も17,093ドルと高値圏を維持した。これを受け、日本のニッケルくずFOB単価も2月以降続騰しており、3月は円安に加え、米英向け高付加価値案件比率の上昇も重なって一段高となった。数量調整下でも採算重視の輸出構成へ転じた月と整理できる。
(グラフ―4)。

主要税関数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望では、数量面は底堅く、価格面は従来より強含みを想定したい。2026年入り後のインドネシアによる生産枠制限強化を背景にLMEニッケルは急騰しており、スクラップ輸出FOB価格にも押し上げ圧力が強まっている。ただし供給制約による上昇色が強く、実需拡大主導ではない点には注意が必要だ。
需要面では、HEV向けニッケル水素電池(NiMH)や電池リサイクル用途が下支えとなり、日本産高品位スクラップへの需要は韓国・中国・ASEANを中心に継続しやすい。一方、EV向けではLFP拡大が逆風となる。
総じて、当面は「LME高騰+実需底堅さ」の強含み相場が基本線。ただし、インドネシア政策変更次第で価格変動が激しく、市況主導の乱高下と高品位スクラップ需要の強さが併存する局面が続きそうだ。
(IRUNIVERSE S. Aoyama)