予測レンジ
| 項目 | 6月予測レンジ | コメント |
| LME | 現物後場買い 3450-3850ドル | 高値圏継続。電力コスト・供給不安で下値限定。 |
| スクラップ | 横ばい-+20円(前月最終価格より) | 良質材不足が下支え。メーカー採算は厳しい。 |
| 為替 | 156-164円(一か月間TTM) | 5月平均は158円台。円安基調を想定。 |
■国際概況
5月のLMEアルミは、高値圏でのもみ合いとなった。中東情勢によるエネルギーコスト上昇懸念、供給不安、ドル円の円安水準が下支えした。一方、中国需要の伸び悩みや急騰後の利益確定売りもあり、一方向の上昇ではなく、3500ドル台を中心とした荒い値動きとなった。6月は供給不安が残る限り下値は限定的だが、需要家の高値警戒とスクラップ価格への転嫁遅れに注意が必要である。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート(TTM) 2026年5月の月中平均は158.22円。月中高値159.66円、月中安値156.38円。

【国内指標】
【自動車生産】
直近の4月実績では、国内主要乗用車メーカー8社の生産台数は前年同月比+2.4%の65万1,159台、輸出は同-0.8%の33万2,895台となった。自動車向けアルミ二次合金・ダイカスト需要の下支え材料である。
| 月 | 2月 | 3月 | 4月 |
| 生産台数 | 70万2千台 | 74万8,164台 | 65万1,159台 |
| 前年比 | +0.5% | +8.7% | +2.4% |

【自動車販売】
自販連・全軽自協の5月速報では、登録車と軽自動車を合わせた新車販売台数は33万2,997台、前年同月比+2.8%。登録車は21万4,994台で+5.6%、軽自動車は11万8,003台で-2.1%となった。登録車の回復は二次合金・ダイカスト向けには追い風である。
| 月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 |
| 販売台数 | 394,961台 | 490,628台 | 373,933台 | 332,997台 |
| 前年比 | 96.5% | 98.2% | 109.1% | 102.8% |

【住宅着工戸数】
直近の4月の新設住宅着工戸数は6万2,569戸、前年比+11.4%。前年同月の反動でプラスとなったが、季節調整済年率換算値は前月比-1.7%で、建材・サッシ・押出材向けの回復はまだ限定的である。
【アルミ圧延・押出品生産数】
※4月のアルミ圧延品(板・押出)出荷量は、作成時点で公開本文から詳細数量を確認できません。直近実績として3月出荷量15万2,481トン、前年同月比+6.3%を使用する。板類・押出ともに持ち直しがみられ、自動車向けや缶材関連が下支えとなった。
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 |
| 出荷量 | 13万1,620t | 13万1,620t | 15万2,481t |
| 前年比 | -2.3% | -2.3% | +6.3% |

【アルミニウム2次合金 同合金地金等生産実績】
日本アルミニウム合金協会の4月実績では、アルミニウム二次地金・同合金地金等の生産は6万6,846トン、出荷は6万7,925トンとなった。前年比では生産・出荷ともに大幅増となり、自動車向けを中心に底堅い動きが続いている。なお、協会注記では令和7年12月から集計工場数が増加しており、前年比は大きく出やすい点に注意が必要である。
| 月 | 2月 | 3月 | 4月 |
| 生産量 | 6万3,592t | 7万153t | 6万6,846t |
| 出荷量 | 6万4,049t | 6万8,815t | 6万7,925t |

【貿易指標】
財務省の令和8年4月分貿易統計速報では、輸出額は10兆5,073億円、輸入額は10兆2,054億円、差引額は3,019億円の黒字となった。4月分のアルミ関連では、新地金輸出341t、新地金輸入7万9,891t、二次合金(再生塊)輸出979t、二次合金・合金地金輸入7万1,225t、アルミ缶スクラップ輸出5,715tを反映した。添付のアルミスクラップ統計では、アルミスクラップ輸出合計は2万9,263t、輸入合計は1万6,665tとなった。輸出はアルミスクラップ合金2万867tを中心に、サッシ4,715t、切削くず・打ち抜きくず3,681tで構成される。アルミ缶スクラップ輸出は5,715tで、3月の6,505tから減少した。二次合金(再生塊)輸出は3月の925tから979tへ増加し、二次合金・合金地金輸入は3月の7万9,134tから7万1,225tへ減少した。輸入スクラップは合金スクラップが1万5,628tと大半を占め、国内二次合金メーカーの原料確保を補う動きがみられる。
【輸出】
| 品目 | 4月実績 | 備考 |
| 新地金 | 341t | 4月実績 |
| 二次合金(再生塊) | 979t | 4月実績 |
| スクラップ合計 | 2万9,263t | サッシ4,715t、切削くず・打ち抜きくず3,681t、合金20,867t |
| アルミ缶 | 5,715t | 4月実績 |


【輸入】
| 品目 | 4月実績 | 備考 |
| 新地金 | 7万9,891t | アルミ地金99.0%以上 |
| 二次合金・合金地金 | 7万1,225t | 4月実績 |
| スクラップ | 1,037t | 合金以外くず |
| 合金スクラップ | 1万5,628t | 合金くず |
| スクラップ合計 | 1万6,665t | 合金以外+合金くず |


■国内概況まとめ
5月の国内アルミスクラップ市場は、国際相場と円安水準を受け、原料価格は高値圏に張り付いた。需要面では、4月の自動車生産が前年比プラス、5月の新車販売も登録車中心に前年を上回り、二次合金・ダイカスト向けは底堅い。一方、住宅着工は4月に前年比プラスへ転じたものの、前年の低水準反動が大きく、建材・押出関連の回復はまだ限定的である。
スクラップ発生は大型連休で一時的に鈍化し、連休明けに荷動きは戻ったが、高品位材は引き続きタイトである。合金メーカーは原料確保を優先する一方、製品価格への転嫁遅れから過度な高値追いには慎重で、品種ごとの選別が強まりやすい。
貿易面では4月のアルミスクラップ輸出が2万9,263t、輸入が1万6,665t、新地金輸出が341t、新地金輸入が7万9,891t、二次合金(再生塊)輸出が979t、二次合金・合金地金輸入が7万1,225t、アルミ缶スクラップ輸出が5,715tとなった。6月は良質材不足とメーカー採算のせめぎ合いで、横ばいから小幅高の展開を想定する。
【見通し】
【自動車生産】6月は通常稼働に戻るが、部品供給と受注残消化次第。前年並みから小幅プラス圏を見込む。
【自動車販売】5月は全体でプラス。6月も登録車中心に底堅いが、軽自動車の弱さが上値を抑える。
【住宅着工戸数】4月は反動増となったが、資材高・人手不足・金利上昇観測が重く、建材・押出材向け需要は弱含み継続。
【アルミ圧延・押出品生産数】6月は缶材、自動車、輸出向け板材が下支え。住宅建材向け押出は弱く、全体では低位からの持ち直し局面。
【アルミニウム2次合金 同合金地金等生産実績】6月の二次合金生産は自動車向けを中心に底堅い。原料スクラップ高と電力コストが採算を圧迫し、買値上げには慎重さが残る。
【スクラップ景況予想】6月の国内アルミスクラップ需給は、良質材不足が継続。合金メーカーは原料確保を優先するが、製品価格への転嫁遅れから品種選別が強まり、品種間格差が広がりやすい。
【LME・為替予想】LMEアルミは3450~3850ドル、為替は156~164円を想定。中東情勢・電力コスト・供給不安が下支えとなり、高値圏で荒い値動きが続くとみる。 総じて6月のアルミスクラップ市場は、高値圏を維持しつつ、良質材不足とメーカー採算の間で品種別の強弱が出やすい展開とみる。