166夜では私は、AI革命は一本のサプライチェーンではなく、巨大な資源エコシステムであると書いた。
167夜ではGPU一枚の中だけでも、十数種類の重要金属が使われていることを紹介した。では、そのGPUは最終的にどこへ集まるのか。
その答えが、AIデータセンターである。
しかし私は最近、
データセンターを見る目も少し変わってきた。
世間では、「AIが普及する。」「だからデータセンターは無限に増える。」という論調が多い。本当にそうだろうか。
私はそうは思わない。
産業革命には必ず熱狂がある。
鉄道もそうだった。
インターネットもそうだった。
太陽光発電もEVもそうだった。
そして現在、
AIデータセンター建設がその段階にある。
世界中で巨大プロジェクトが乱立している。
数千億円、時には数兆円規模の投資が行われている。
しかし歴史を見ると、設備投資競争は必ずどこかで供給過剰を迎える。
現在のボトルネックは、GPUではない。
電力でもない。
実は投資競争そのものなのである。
巨大IT企業(マグニフィセント・セブン)
即ちAIブームの中心となっている7つの巨大テック企業(Microsoft、Apple、NVIDIA、Alphabet、Meta、Amazon、Tesla)
彼らは他社より先にAI能力を確保するため、必要以上の設備を建設している可能性もある。
これは過去の半導体産業でも、液晶産業でも、太陽電池でも繰り返された。
もちろん、AI需要そのものは今後も増え続けるだろう。
しかし、だからといってデータセンターが永久に同じ勢いで増え続けるとは限らない。
ここが重要なのである。
GPUは毎年高性能になる。演算効率も改善する。ソフトウェアも賢くなる。冷却技術も進歩する。電源効率も上がる。
一つのデータセンターが、
数年前の何倍ものAI能力を持つようになる。
つまり、同じ仕事を、より少ない電力で行える時代が必ず来る。
そのとき始まるのは、建設競争ではなく、効率競争である。
どれだけ電気代を下げられるか。
どれだけ冷却を効率化できるか。
どれだけGPU稼働率を上げられるか。
どれだけ余剰設備を減らせるか。
AI産業も、やがて普通の装置産業へ近づいていく。
だから私は、銅需要についても一直線には見ていない。
確かにAI革命は、銅、変圧器、送電網、冷却設備、レアアース、レアメタル需要を押し上げる。
しかし、それは右肩上がり一本ではない。
途中には投資の熱狂もあり、調整もあり、淘汰もある。
だから価格も上下する。資源価格とは、そういうものである。
私が四十年以上、資源ビジネスで学んだことがある。
需要は増える。しかし価格は一直線には上がらない。
供給も増える。技術も進歩する。リサイクルも始まる。代替材料も出てくる。そして再び不足する。
資源とは、いつもこの循環を繰り返してきた。
AI革命も、例外ではない。
だから私は、AI革命を「半導体革命」とも、「データセンター革命」とも呼ばない。
AI資源エコシステム革命と呼びたい。
そこではGPUも、データセンターも、電力も、冷却も、銅も、レアアースも、レアメタルも、
互いに影響し合いながら進化していく。
そして、その循環の中で、新たな技術が資源需要を変え、資源制約が技術革新を促す。そして「AIインフラは、やがて最適化される」
つまり、AI革命=需要爆発ではなく、需要爆発→投資競争→過剰投資→効率化→淘汰という歴史を予見している。
これこそが、AI時代の本質なのではないだろうか。