MIRUでは、スウェーデン・ヨーテボリで開催されているBIR国際リサイクル会議展示会場のブースを訪問、今回はメタルトレーディングにおけるデジタルプラットフォームを提供するWorld Metal Exchangeを紹介する。
グローバル・メタルトレーディングにおけるデジタル化を推進する新興プラットフォーム「World Metal Exchange」は、取引における透明性と安全性を軸に急速な成長を遂げている。同社で開発・戦略責任者を務めるMargaret Sulska氏に、同社の事業活動と今後の展望について伺った。
World Metal Exchangeは約3年前に立ち上げられ、2025年より本格的にサービスを開始した。同社のサービス大きな特徴は、厳格な審査を経たトレーダーのみが参加できるクローズドなマーケットプレイスである点にある。利用者は制裁チェックや信用調査、マネーロンダリング履歴の確認を経て登録されるため、取引の信頼性が担保される。
取引はロンドン金属取引所(LME)の価格データを基盤に行われる。ユーザーは銅などの金属に対し、LME価格に連動したフォーミュラを設定することで、リアルタイムに変動する市場価格に基づいた取引が可能となる。従来のようにメールやメッセージで価格交渉を繰り返す必要がなく、効率的な売買が実現されている。
さらに同プラットフォームは、単なるマーケットプレイスにとどまらない。輸送や検査といった周辺業務もワンストップで提供し、特に中小企業にとっては取引以外の負担を軽減できる仕組みとなっている。また、LMEデータやチャートへの即時アクセスも可能であり、ユーザーは常に最新の市場動向を把握した上で意思決定を行える。
中でも重要な機能が金融業界で知られる「エスクロー決済」である。金属取引では支払い遅延が深刻な課題となっている。Sulska氏によると、サプライチェーン全体の約41%で支払い遅延が発生し、5〜10%は未回収となるケースもあるという。同社はこの問題に解決しようと、プラットフォーム上で資金を一時的に保全するエスクロー機能を導入した。買い手は代金を預託し、納品および品質確認後に支払いが実行されるため、双方にとって安全な取引が可能となる。加えて、銀行と同等の仕組みを、多数の書類と格闘することなく、ワンクリックで利用できる点は大きな利点である。このシステムはルクセンブルクおよびフランスに拠点を置く金融サービス企業「MangoPay」と連携しており、EUの厳格な規制にも準拠している。従来の銀行手続きに比べ、デジタル統合された点がサービスの大きな優位性だ。
現在同社は、資金調達(ファイナンス)およびヘッジ機能の開発も進めている。ファイナンスでは、銀行と連携し在庫購入資金の事前調達を可能にし、キャッシュフローの圧迫を軽減する。ヘッジ機能では価格変動リスクを抑制し、取引時点での利益確保を支援する仕組みを構築中である。
顧客は欧州を中心に拡大しているが、インドや中国でも成長中だ。今後は米国市場への進出も予定されているほか、日本市場についても重要なターゲットとして位置付けている。
Archive: 2026 June BIR World Recycling Convention& Exhibition
Y.SCHANZ from Gothenburg,Sweden