三和油化工業(4125) 26/3期決算説明会メモ ややポジティブからポジティブに変更
26/3期26.3%増収84.6%営利増と再資源化需要、M&Aが寄与
株価2606円(6/5) 時価総額112億円 発行済株4320千株
PER(27/3期DO予:8.0X)PBR(0.84X) 配当27/3期DO予65円 配当利回り:2.5%
要約

26/3期26.3%増収84.6%営利増と再資源化需要、M&A寄与し2/13増額予想比増額着地
蒸留・高純度化技術で廃油等の再生・再資源化に強味を持ち、一方で電池・半導体向け化学製品も手掛ける。
26/3期決算が5/23に開示され、5/28に説明会が実施された。26/3期は売上高202.63億円(期初計画比32.63億円増額、11/11修正予想比15.63億円増額、2/13再増額額修正予想比2.63億円増額、26.3%増)、営業利益15.43億円(同5.43億円増額、同4.43億円増額、同2.43億円増額、84.6%増)、経常利益17.01億円(同6.41億円増額、同5.01億円増額、同2.81億円増額、89.6%増)と、下期にA&Hジャパン完全子会社化もあり2/13に大幅増額したが、さらに再増額で着地した。売上高では23/3期の173.67億円を抜いて過去最高額更新、26/3Q4は売上高、営業利益ともに過去最高額更新となった。なおA&Hジャパン(以下AH)寄与は売上高30億円、営業利益4億円で、これを控除した場合でも1.4%増収、37%営業利益増となり、既存事業でも2桁営業増益となっている。

事業別ではリユース事業が売上高72.39億円(期初計画比29.39億円上振れ、11/11修正予想比12.39億円増額、2/13再増額修正予想比1.61億円未達、82.3%増)。この中にAHの売上が30億円含まれており、AHを除くと売上高では期初計画並みに推移したとみられる。なお数量ではAHが従来とは異質な貴金属類を主に扱うため、数量効果は少ない。再生溶剤の取扱量では好調を維持している。また抽出再生リン酸も中東問題などで需要が増している。

リサイクル事業は売上高59.05億円(同1.05億円増額、同1.55億円増額、同1.55億円増額、6.3%増)。子会社のサンワ南海リサイクルで廃酸、廃アルカリ等の廃棄物取扱量が増加、東西拠点の能力増に対応し稼働率も向上し再生燃料も数量増で増収に。

四半期推移では、リユース事業は溶剤系再生製品で数量、単価ともに上昇、M&Aで金属事業が拡大しQ3より売上高が急増した。リサイクル事業では中東問題もあり廃棄物由来燃料の引合が強まり再生燃料販売が好調に推移、ただし処理物取引単価は競争もあり弱含み。

化学品事業は売上高32.06億円(期初計画比0.94億円未達、前期比1.0%増)と横ばいに。これは半導体関連顧客の回復遅れ、電池業界の不振などが影響した。

自動車事業は売上高23.52億円(期初計画比0.48億円未達、前期比1.3%減)で部品加工分野の伸び悩みでユーザーの生産の伸びがなく微減収に。
エンジニアリン事業は売上高15.59億円(期初計画比3.59億円増額、11/11予想比3.09億円増額、2/13再増額修正比2.59億円増額、63.8%増)と急拡大した。処理期限が迫っているPCB処理案件の獲得が寄与した。
営業利益の増減分析では再資源化需要の高まりを受け、加えて中東問題や中国のレアアース等の規制問題などもあり、溶剤再生・金属回収、エンジニアリング事業で利益が伸長。一方、再生品の原材料、労務費、運賃等のコスト増があったものの、単価上昇がこれを大きく上回り、大幅な利益増額修正となった。特にAHが下期に連結化されたことで、金属回収で4.50億円の利益寄与があり、11/11の修正段階では0.95億円の寄与しか見ておらず、貴金属、インジウムなどの高騰による利益寄与が大きかったと言える。

27/3期会社予想は16%増収、10%営利増も中東問題などでフル稼働から大幅増額へ
27/3期会社予想は売上高235億円(16%増)営業利益17億円(10%増)、経常利益16.2億円(4.8%減)、税引利益11.0億円(2.6%増)予想とした。なお、上期が売上高116.5億円(同期比40.6%増)、営業利益8.0億円(同62.5%増)となっているのはAHの寄与によるもの。下期は売上高118.5億円(同期比1.0%減)、営業利益9億円(同14.4%減)、経常利益8.6億円(同21.9%減)予想となっている。中東情勢から26/3H2に貴金属価格高騰影響で利益がかさ上げされた分の剥落、加えて北九州新工場建設に伴う減価償却負担増などが下期にかかってくるため、営業利益で減益、設備投資に伴う借入増による支払利息増から経常利益段階ではさらに減益率が高まる見通しとしている。

事業別では新年度より、エレクトロニクス向けの販売強化を念頭に、従来の化学品、自動車の2事業区分を変更、エレクトロニクス向けを中心としたファインケミカル事業と、自動車を含めた汎用化学品でベーシックケミカル事業の2事業に区分を改めた。なおリユース事業はAHがフル連結されるため、上期の伸びが大きくなっている。
事業別では強みのあるリユース・リサイクル事業で収益を確保し、半導体産業の拡大、化学品の海外調達リスク軽減、環境負荷対応での再資源化製品の需要拡大が見込める。
一応、全事業で増収を図る予想となっているが、リユースは103億円(42.2%増)とAHが55億円(前期比25億円増)、営業利益で5億円(前期比1億円)を見込んでいる。AHの効果を除くと42.4億円が48億円(13.2%増)予想となる。現状、貴金属市況は高止まりしており、AHの事業好調が持続、売上自体、上期から大幅な上振れが見込まれる。さらに中東情勢の悪化、中国との関係悪化などもあり、リン鉱石、工業用リン酸の原料となり100%輸入に頼っている「黄リン」調達リスクが高まったままとなっている。現状、モロッコからの輸入でしのいでいるが、調達コスト急騰もあり、同社への発注が急拡大、フル生産状況が続いている。また溶剤廃液の蒸留再生も、ナフサに代表される供給不安の偏向報道などもあり、リスク回避からもリサイクル品需要が旺盛で、こちらも活況な状況にある。このため、AHの増分に加えリン酸リサイクル事業も、再生溶剤販売も数量増に単価アップから大幅な上振れが見込まれる。
リサイクルについては60億円(1.6%増)予想。こちらも再資源化ニーズの高まり、単価も落ち着き上昇に転ずる動きもみられ、上振れ期待がある。
化学品分野はファインケミカルとベーシックの新事業の予測となっている。ファインケミカルは半導体向けが好調見通しもEV不振で電池バインダー等の電池関連事業の低迷継続前提で低い伸び率予想となった模様。ただし、この事業においても半導体向けはフォトレジスト関連などが高成長見通しで、EV不振もHEVが伸びるなどで電動化による需要増で緩やかな伸びが見込める。このため半導体、電子部品向けの拡大で上振れが期待される。
エンジニアリング事業はPCB関連が27年3月処理期限の駆け込み需要の反動減から14億円(10.2%減)予想。解体工事で大型受注を獲得も、売上が来期となる見通しで、こちらは会社計画並みの売上が見込まれる。
利益面では、溶剤回収、金属回収で総利益増を見込むが、PCB減収影響、販管費では北九州新工場開設に伴う準備コストなどがあり、全体では売上高の伸びを下回る利益増を想定している。

ただし、現状は溶剤再生、金属回収で足元から数量での上振れが見込まれ、しかも単価上昇も伴っている模様で、この2分野は大幅な総利益増が見込まれる。ファインケミカルも半導体生産の拡大、特に先端デバイスなどで精緻な調整が必要な高付加価値品の売上拡大が見込まれ、その他分野でも総利益の足を引っ張ることはないとみられる。このため、総利益段階から利益の上振れが見込まれる。
新中計で28/3期売上高265億円、営利20億円目指すも営利は27/3期に上振れ達成も
同社は「社会から必要とされる環境リーディングカンパニー」を目指すとして2023年にグランドビジョン2030を掲げ、31/3期には事業規模倍増の売上高350億円、営業利益42億円を目指すとしている。この中で当初は26/3期売上高230億円、営利26億円としていたものが、半導体、電池、電子部品がいずれも計画を大きく下回り、修正中計として2回減額し26/3期売上高170億円、営利10億円予想としていた。
しかし26/3期はAHの取り込み、さらにはAI半導体ブーム、ここにきて米中摩擦、イラン問題などで、エネルギー、鉱物資源の調達リスクの高まりから、再資源化製品への需要が想定を超えるスピードで拡大、改めて中計の見直しを行っている。


同社はこのような中で積極的は能力増強を図り、三和マテリアルソリューションズ(同社65%、エアウォータマテリアル35%出資の合弁会社)で仕上げともなる北九州の工場を立ち上げる。第1期として27年4月より稼働開始予定。第1期では成長性の高い半導体業界をターゲットに再資源化ニーズを取り込む。同地区ではTSMC熊本の2期工事も実施されており、関連して化学メーカーなどの進出も相次いでいる。同社の計画では28/3期に12億円規模、29/3期には30億円の売上規模を想定しているが、TSMC熊本などの生産増強も相次ぎ、計画を上回る事業拡大も期待される。

特に同社は半導体製造工程で混酸を使用するエッチング処理で発生する使用済み混酸廃液を分離し、単一の酸として回収する技術を確立している。エッチングでの混酸廃液では、硝酸や酢酸、エッチングされたアルミニウムイオンやシリコン、少量のモリブデンなどが混入しており、リサイクルが難しく、AREや三菱マテリアルは液中の希少金属の回収をメインにしているとみられる。このような中、昨今のリン調達リスクの高まりの中で、再生リン酸の供給増に期待が高まる。ちなみに同社は溶媒抽出により年間7000tの廃リン酸の抽出を行っており、国内の高度なマテリアルリサイクルで高いシェアを有しているとみられる。現在、回収したリン酸を汎用肥料へのリサイクルから工業用高純度精製リン酸へのステップアップも進めつつあり、付加価値も高まるとみられる。

このほかでは硫酸の再資源化も話題の一つ。硫酸は中東問題で原料である硫黄が主要供給先の中東からの国際供給が急減、加えて世界生産の4割を占める中国が国内優先の政策輸出停止を国内企業に通達、世界的な輸送コスト上昇などが相まって、史上最高値を付けている。国内でも住友化学が5月出荷分から値上げを表明するなどの動きがある。ただし幸いにも日本は非鉄精錬各社が非鉄金属精錬の排ガス(亜硫酸ガス)回収の副産物として硫酸の生産を担っており、パンパシフィックカッパーが最大手、次いで住友金属鉱山、三菱マテリアルが続き、3社で7割、DOWAなどを含めて寡占となっている。25年度は国内生産約561万トン(前年度比40万トン減)、生産金額はバルク卸値1~1.5万円/tとして概算560億円から840億円と推定される。硫酸は必然的な副産物であるため、国内は量的にほぼ過剰状況にあり、輸出産業品となっており、313万トンが輸出されている。このため量的な供給不足リスクは小さいとみられるが、内外価格格差が輸送コストを超えて大きく上昇した場合は輸出シフトによる国内供給不足が生ずる可能性はある。ただし、国内で消費される硫酸消費量が年間約248万トンで、世界では硫酸の5~6割がリン酸用の肥料であるのに対し、日本は無機・有機化学向けが6割、半導体洗浄・電子材料工業用途が2割、繊維他1割などで、約9割を占める特異な市場となっている。この内、排出される廃硫酸が約170万トンあり、大半は中和処理後に廃棄され、リサイクルされているものが約7万トン、リサイクル率5%にとどまっている。今後、半導体洗浄やMLCC増産などで高純度、高濃度廃硫酸が増加することもあり、廃硫酸の処理手数料が大幅に伸びる見通しで、処理費の収益拡大とともにリサイクル量も拡大が見込める。現在、環境リサイクル事業として南海化学が約3.3万トン、シェアが5割弱握っているが、同社は南海化学と合弁事業としてサンワ南海リサイクル(同社80%、南海化学20%)で廃硫酸リサイクル事業を展開、九州での集荷増で収益拡大が見込める。
さらに、電池業界向けやMLCC・アルミ電解コンデンサ製造などでもファインケミカル品・再生品供給と使用済化学品の再資源化などを推進、成長分野での事業拡大を実行する。


このように、同社は積極的な設備増強、成長産業への拡販強化、さらには世界的なリユース、リサイクルニーズの高まりで、中期経営の前倒し達成も期待される。
株価は26/3期予想が2度の増額修正もあり日経平均を上回る上昇率を記録、5/15の決算発表日には2023年8月の4040円を抜き、4050円の年初来高値を更新した。しかし27/3期会社予想が経常4.8%減益予想が示され週明けに急落、その後も下落し6/2には2470円まで売り込まれ、その後、多少持ち直した状況にある。現在、27/3期会社予想EPS254.61円に対しPER10.2倍は東証スタンダード化学平均PER14.7倍に対し割安、ダイセキのPER16.7倍、南海化学のPER6.2倍に対しては割高となっている。現状、会社側で非鉄、貴金属市況の高値持続を利益予想に織り込んでいないこと、中東問題、中国の輸出規制などの要因によるリユース、リサイクル品への継続的な引き合い拡大を予想に織り込んでいないことなどで、今後、26/3期同様に収益予想の大幅増額が見込まれる。表面上の経常減益予想で売込まれたと判断、ややポジティブからポジティブに評価を高めたい。




(図表は決算説明資料等より添付,チャートはヤフーから添付)