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廃棄物管理×DXで業界を変える――北九州発・西原商事の挑戦

2026/06/16 05:47
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廃棄物管理×DXで業界を変える――北九州発・西原商事の挑戦

「廃棄物処理会社」と聞くと、多くの人は収集車やリサイクル工場を思い浮かべるだろう。しかし、福岡県北九州市に本社を構える株式会社西原商事ホールディングスNishihara Shoji Holdings Co., Ltd.は、そのイメージを大きく覆している。同社は廃棄物処理・リサイクル事業に加え、業界向けDXプラットフォームの運営、ロボティクス技術の活用、さらには海外展開にも取り組んでいる。近年では、廃棄物管理業界のデジタル化を牽引する存在として注目を集めている。

 2026年6月4日、MIRU取材班は西原商事本社を訪問し、取締役の成田詩歩氏と営業担当の江頭大地氏に話を伺った。本記事では、同社の事業内容とDXへの取り組み、そして海外展開について紹介する

「古紙回収業」から全国規模の資源循環企業へ

 株式会社西原商事は1972年、創業者である西原孝思氏によって古紙回収業として設立された。その後、廃棄物の収集運搬事業やリサイクル事業へと事業領域を広げながら成長を続け、現在では北九州市エコタウン内に2つの大型リサイクル施設を有するほか、全国10か所にリサイクル拠点を展開している。

 同社にとって大きな転機となったのが2008年だった。新たに就任した社長のもとで業務のシステム化が推進され、「Beetle Management」と「Beetle Engineering」が設立されたのである。この取り組みによって、西原商事は従来の廃棄物処理企業から、DXを活用した資源循環企業へと変革を進めていった。

A group of people sitting at a table

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棚町氏による成田氏・江頭氏へのインタビューの様子

Beetle Management

廃棄物管理をDXで変える「bee-net system」

その変革を象徴するサービスが、Beetle Managementが展開する「bee-net system」だ。

 bee-net systemは、企業の廃棄物管理情報を一元化するクラウド型の管理システムである。排出事業者が適切に廃棄物を処理していることを証明するためには、多くの書類や管理業務が必要となる。bee-net systemはこうした煩雑な業務を効率化し、情報をデジタルで管理することで、企業の負担軽減に貢献している。営業担当の江頭氏によると、bee-net systemの年間売上は約80億円に達し、Beetle Management全体の売上130億円の約61.5%を占める主力事業となっている。

 bee-net systemの強みは「トレーサビリティ(追跡可能性)」にある。廃棄物がどこで発生し、どのように処理されたのかをデータとして記録・管理することで、法令遵守の強化だけでなく、業務効率化や情報の可視化も実現している。従来は紙ベースで管理されることも多かった廃棄物管理業務だが、西原商事はその領域にDXを導入することで、新たな付加価値を生み出している。

A screenshot of a mobile device

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bee-net systemシステムの運用フロー図

DXを広げる新サービス

 現在の取締役である成田氏のもとでは、さらなるデジタル化も進んでいる。その一例が「DUSTALK」だ。これは粗大ごみの回収を依頼できるスマートフォンアプリで、不動産会社と連携することで住民の退去予定を事前に把握し、効率的な回収サービスを実現している。直近では事業系ごみのマッチングサービスを開始し小規模排出事業者のユーザー数を伸ばしている。

 また、「Beebid Auction」は企業向けの資源売買プラットフォームである。段ボールなど再利用可能な資源を市場価格や地域の需給状況に応じて効率的に売買できる仕組みで、新たな価値を生み出している。

DUSTALKおよびBeebid Auctionの運用フロー

カーボンニュートラルを支えるBeetle Engineering

リサイクル技術とロボットで支える現場

 DXを推進するBeetle Managementに対し、現場の技術力を支えているのがBeetle Engineeringである。同グループは主に「Sorting Recycle Center(SRC)」「Beetle Robotics Center(BRC)」「焼却施設」の3つの拠点で構成されており、それぞれが資源循環とカーボンニュートラルの実現に向けた役割を担っている。

Sorting Recycle Center(SRC)

 SRCは、プラスチック資源の高度リサイクルを目的として設立された施設である。施設内では100%再生可能エネルギーを使用し、省エネ型の先進設備を導入している。家庭や事業所から回収されたプラスチックは、自動選別設備によって分類され、再資源化される。ここでは容リベールやPP・PEフレークを製造し、市内企業と連携して商品づくりもおこなっている。またペレットまで再生可能な施設(プラリー工場)を建設しており、2027年2月に稼働予定。

学用品『プラリーボックス』 2025年2月1日販売開始 | 株式会社ビートルエンジニアリングのプレスリリース
PP・PEフレークを原料として製造された学校向けの「エコなひきだし」

Beetle Robotics Center(BRC)

 BRCは、リサイクル技術の実証や環境教育の拠点として活用されている施設だ。2021年には北九州システムインテグレーター・ネットワークと連携し、スカラ型ロボットを開発。廃棄物の選別作業における人手不足の解消や作業効率向上に取り組んでいる。成田氏は、今後AI技術の導入によって、さらに高度な自動選別が実現できる可能性があると語った。

パンフレット BRC | お知らせ | 株式会社 西原商事
BRC(Beetle Robotics Center)工場

焼却施設

 医療系廃棄物や産業廃棄物の処理を担う焼却施設も、同社の重要な事業の一つだ。単に廃棄物を処理するだけでなく、環境負荷の低減を意識した運営が行われており、再生エネルギー100%電力の採用やPPA方式での太陽光パネルや蓄電池の設置など、脱炭素化への取り組みも進められている。

中間処理フロー図
医療・産業廃棄物からクリーンガスを生成する焼却処理フロー

インドネシアへの挑戦

西原商事の活動は国内だけにとどまらない。

 同社は、外務省、JICA、環境省、北九州市などの支援を受け、インドネシア・スラバヤ市で実施された低炭素都市形成プロジェクトにも参画した。JICAやADBによる総額約85億円規模の支援のもと、同社は「Super Depo 1」「Compost Center」の2施設の整備に携わった。これらの施設は、廃棄物収集や堆肥化を通じて地域の環境改善に貢献し、プロジェクト開始から4年後には現地政府へと運営が引き継がれた。現在も事業は継続されているという。

Two women sitting at a table

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インドネシア語で談笑するIRuniverseインターンのクラリッサと成田氏

 成田氏によると、現在はインドネシア市場における新たな事業機会の調査を進めている段階だ。現地政府との関係構築を継続しながら、将来的にはインドネシア企業との協業による商業ベースのリサイクル事業の可能性を探っている。 

スラバヤ市との共同プロジェクトで制作されたインドネシア語版・日本語版の漫画書籍 

「処理業」から「資源循環プラットフォーム企業」へ

 今回の取材を通じて印象的だったのは、西原商事が単なる廃棄物処理会社ではなく、DX、ロボティクス、資源循環を組み合わせた新たなビジネスモデルを構築している点である。bee-net systemを中心としたデジタルプラットフォーム事業、リサイクル技術の高度化、そして海外市場への挑戦。その取り組みからは、廃棄物管理業界が従来の「処理業」から、データと技術を活用する成長産業へと変化しつつある姿が見えてくる。

(IRuniverse Clarissa)

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