経済産業省は30日、GX需要創出に向けた研究会の第3回会合を開催。これまでの会合での議論を元に纏めたGX率先実行宣言の見直し案を発表した。GX製品の供給を加速化することを目的に、「多排出産業の排出削減のGX投資を促す」ことが明記されたほか、それを推進するための先行モデルとして「GXスチール(グリーンスチール)」が選定された。
GX率先実行宣言は、GX市場の創造に積極的な企業が自主的に宣言し、その内容を開示するスキームのこと。GX製品やサービスの社会実装に積極的な企業を可視化し、それらの取組が適切に評価される仕組みを構築することで、GX市場創造を促進することを目的とする。あくまで、民間企業の自主的な取り組みではあるが、スキームの構築は経産省が主導となっており、同省は対象となる製品やサービスの供給企業に対し中長期的な支援措置を行うことを明示している。
今回のスキーム見直しにおける議論では、削減努力として脱炭素投資が行われた製品が市場で正当に評価されるため「脱炭素への移行期においては、削減努力を見える化した指標である製品の GHG 排出削減実績量の考え方が重要」とする意見が支持されており、鉄鋼業界でルールが既に整備されていて、かつ削減実績のあるGXスチールが先行モデルとして選ばれた。
GXスチールとは経産省の「GX推進のためのグリーン鉄研究会」によって定義された、日本の公的支援の対象となる鉄鋼製品のこと。「企業単位での直接的な排出削減行動が伴い、その追加コストが上乗せされている分、一般的な鉄鋼製品よりも価格が高い鋼材」として位置づけられており、グリーン鉄(グリーンスチール)とほぼ同じ意味合いとして用いられている。2025年10月には日本鉄鋼連盟によってガイドラインが制定されている。
グレードを厳格化

また、宣言グレードの抜本的見直しも正式な方針として決まる見込みだ。現在は企業が掲げる目標閾値によって、ゴールド、シルバー、ブロンズの3つに区分けされているが、これを厳格化し、▽政府や業界が掲げる調達目標等を満たしているか、▽調達することで排 出量がどれくらい削減できるか、▽一定基準以上でGX製品・サービスの投資を行っているか—といった要件を満たした宣言を「プラチナグレード」として位置づける方針だ。目標閾値としては従来のゴールドフレードの一部のみがプラチナグレードとなる見込みだ。新たなGX率先実行宣言ではプラチナグレードのみが同枠組みの対象となる予定。そのため、定かではないが政府の支援措置においてもこれを基準として境界線が引かれる可能性もありそうだ。
一方で、会合の参加委員からは新たなスキームの運用開始後のフォローアップ強化を求める意見が多く挙がった。これには経産省も同意しており、目標閾値については今秋の運用開始から半年経過の時点で修正の検討を行う計画だ。
「プラチナグレード」の新設は、真にGX投資へ貢献する企業を政府が強力に後押しし、国内外の需要家に対して日本企業の先進性をアピールするための戦略的な措置と言える。しかし、基準の厳格化は供給側である鉄鋼メーカーにとっても極めて高いハードルとなる可能性があり、国際競争力とのバランスをどう取るかが今後の焦点となる。
今後は、政府による支援措置の具体化に加え、製造コストの上昇分を社会全体で「環境への投資」として許容し、分かち合う文化を醸成していくことが不可欠となってくるだろう。鉄鋼業界が一体となった技術革新と供給体制の強化が、日本の製造業全体の脱炭素化を加速させ、持続可能な経済成長を実現するための大きな原動力となることが期待されている。