東京製鐵は9日、鉄スクラップ価格を改定した。田原工場を除く拠点でほぼすべての品種を1000円下げとした。関東鉄源の26年度7月輸出テンダーにて、ベトナム向けの1万5000トンが平均価格トン5万2508円(前回比1998円安)で落札されたことを受けての値下げとなる。これまで底堅く推移してきた国内価格が、一転して引き下げの方向に舵を切ったことは、国内業界に少なからぬ衝撃を与えている。
直近でも在庫調整によるスポット的な値下げはいくつか発生していたが、全体的な値上げは久方ぶりで、宇都宮工場の特級でみると2025年8月中旬以降の値下げとなった。

東京製鐵の関係者によれば、ベトナムの仕入れ価格が5月中旬以降、減少傾向だったことは把握していたものの、「今回の関東鉄源の入札で海外相場が明確になった」ことで今回の購入価格の値上げに踏み切ったという。在庫量も海外向けに輸出されていた鉄スクラップが国内で出回るようになり、ある程度潤沢な状態だという。
海外向けの流出が抑えられ、国内供給に余裕が生まれたことも今回の値下げの要因の一つとなったようだ。輸出の優位性が失われたことで、発生したスクラップが国内市場に滞留し、需給バランスが供給過剰気味に傾いたことが、メーカー側の強気な姿勢を後押しした形となった。
現在、鉄スクラップ(HMS 1&2 (80:20), CFR Vietnam)はトン383~388ドルとなっており、東京製鐵の決算短信や慢性的なコスト高を踏まえると、ベトナム価格の下げ傾向が続けば、今回の値上げを転機として、下げ傾向がしばらく継続する可能性も高そうだ。

なお、田原工場と東京湾岸サテライトの新断は2000円、宇都宮の新断は500円下げとなった。これは、新断の在庫状況がひっ迫していた時に購入価格を上げて、価格水準が高めになっていたものを適正水準に戻したためだ。「本来、新断は他のアイテムと比べると需要が限定的であり、現在は需要に対して在庫量は潤沢にある」という。