EUが電池規則の下2027年2月から適用となるデジタルバッテリーパスポート(DBP)、すでに一年を切った現在、欧州の準備状況下どうなっているのか?大手企業については、対応準備は整っていると言われているが、中小企業については、まだ「様子見み」状況の企業も多いようだ。DBP要件は非常に複雑なこや対応へのコスト面が足踏み状態の理由であると、バッテリーパスポートのソリューションを手がける企業は口を揃えていう。
欧州の電池業界団体RECHARGEは、近づくEUのデジタルバッテリーパスポート(DBP)の導入にあたり、技術・標準・ガバナンスが十分に整備されていない現状を踏まえ、6月にポジションペーパーを発表した。その中で、DBPの適用に際し、技術と標準、ガバナンスの成熟度に見合った段階的実施を求めている。
RECHARGEは、DBPは電池バリューチェーン全体の持続可能性データを統一的に可視化し、トレーサビリティ、回収・リサイクル、循環設計を促進する重要な手段と位置付けられているが、その要件のうち、とりわけ動的データの扱いは現状の制度・技術水準と乖離していると指摘する。
また、電池規則の附属書XIIIに定められたリアルタイムまたは頻繁に変化するパラメータ(充電状態、電圧範囲、温度条件、事故等の負の事象など)の報告義務について、以下のような障害を挙げている。
(1)測定・検証・交換手法に関する調和標準の不在
(2)LMT電池を含む全ての電池で使用中データを収集・管理することによる過大なコストと運用リスク
(3)機密性の高い技術情報の開示に伴うセキュリティ・競争上のリスク
(4)既販車両や既存アーキテクチャの後付け対応の困難性
これらを踏まえ、動的データの表示は、関連標準・インターフェース・責任分担が確立された後に限定的かつ段階的に導入すべきであるとする立場だ。
併せて、DBPにおける非公開情報へのアクセス権限について、認証・認可のガバナンスをEUレベルで明確化する必要性を強調する。中央レジストリーやビジネスウォレット等の手段を通じた主体の識別と役割付与、アクセス権限乱用・データ漏えい・誤情報流通に関する責任の所在、そして「正当な利益」を巡る紛争解決手続きが未整備である限り、事業者側に過大な法的・実務的負担が生じると警告している。
こうした課題に対する具体的解として、RECHARGEは三段階の導入スキームを提案している。第一に、2027年2月18日から附属書XIII第1項の静的かつ公開可能な情報のみを対象とするフェーズ1を開始すること。第二に、委員会の実施規則第77条第9項およびJTC24標準に基づくアクセス管理が整備されてから18か月後に、附属書XIII第2・3項の制限付き情報を追加するフェーズ2へ移行すること。第三に、フェーズ2義務の適用開始からさらに18か月後、クロスインダストリーのインフラと技術プロトコルが確立された段階で、附属書XIII第4項の動的データを導入するフェーズ3に移るというもの。
同提言は、DBPを予定通り立ち上げつつ、データ品質と機密性を確保し、欧州のデジタル製品透明性における競争力を維持するためには、以上のような標準とガバナンスを前提とした段階的実施が不可欠であるとしている。