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2026年5月アルミ再生塊輸入統計分析 UAE回復も中国主導変わらず 高コスト下で実需との綱引き続く

2026/07/24 17:42
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2026年5月アルミ再生塊輸入統計分析 UAE回復も中国主導変わらず 高コスト下で実需との綱引き続く

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(概況)
5月は輸入数量が7万7,957トンと前月比109%で2カ月ぶりに増加したものの、前年同月比では94%と依然前年水準を下回った。4月に急減したUAEからの輸入は持ち直した一方、中国やマレーシアが引き続き高水準を維持しており、調達先の多様化が進展している。
価格面では、5月の円高が輸入コストを一部抑制したものの、LMEアルミ地金およびアルミ合金価格の続伸によりCIF価格は510円/kgと過去最高を更新した。その後は為替も再び円安方向へ転じており、輸入コストは引き続き高止まりしやすい環境にある。
一方、国内では国産ADC12やアルミスクラップ価格は高値圏を維持しながらも上昇ペースは鈍化しており、自動車を中心とした実需動向を慎重に見極める姿勢が強まっている。市場は依然として供給面ではタイトな状況が続くものの、関心は原料不足そのものから、高コスト環境下で実需がどこまで価格を受け入れられるかへと移りつつある。


(詳細分析)
(アルミ再生塊輸入分析・2026年5月アップデート)
■数量動向
2026年5月単月の輸入数量は7万7,957トンと、前月比109%で2カ月ぶりに増加した。一方、前年同月比では94%と依然として前年水準を下回っており、輸入回復は限定的なものにとどまっている。
国別では、中国が1万8,455トン(前月比119%、前年同月比159%)とさらに増加し、最大の供給国としての地位を維持した。UAEも1万457トン(前月比197%)と4月の急減から大きく持ち直し、中東物流の混乱が一服したことをうかがわせる。一方、マレーシアは1万638トン(143%)と堅調に推移し、ロシアも4,002トン(131%)へ増加した。これに対し、カタールは80トン(前月比8%、前年同月比2%)まで急減し、ナイジェリアも2,226トン(36%)と大幅減となるなど、供給国ごとのばらつきが目立った。
■累計動向
1-5月累計輸入量は39万9,032トンで前年同期比88%となった。
供給国別では、中国が6万5,076トン(前年比134%)と大幅増を維持したほか、ロシア1万5,916トン(111%)、インド2万3,603トン(107%)も前年を上回った。一方で、UAEは7万4,132トン(61%)、カタール1万5,682トン(76%)、ナイジェリア2万772トン(73%)と中東・アフリカ産の減少が続いており、輸入構造の変化が一段と鮮明になっている。
■総括
5月はUAE材が前月から大きく回復したことで輸入総量も増加へ転じたものの、前年水準にはなお届かなかった。中国材は引き続き大幅な伸びを維持し、マレーシアやロシアなども安定した供給を続けていることから、調達先の多様化が進み、中東依存度は徐々に低下する方向にある。
一方、市場では国産ADC12やアルミスクラップ価格が依然として高水準を維持しており、スクラップ発生の低迷も続いている。中東情勢は一時的な緊張緩和がみられるものの、ホルムズ海峡を巡る地政学リスクは完全には解消しておらず、物流や原料供給の不透明感は残る。今後は、UAE材の供給回復が持続するかに加え、中国や東南アジア勢による代替供給がどこまで定着するかが輸入市場の焦点となりそうだ(表―1、グラフ―1、2)。


 

■数量構成比
数量構成比では、2026年4月から5月にかけて供給構造に再び大きな変化がみられた。最大の特徴は、中国が22%→24%へさらにシェアを拡大し、最大供給国としての地位を一段と強めたことである。また、UAEも7%→13%へ大きく回復し、4月に急低下したシェアを取り戻した。
一方、マレーシアは10%→14%へ上昇し、代替供給国として存在感を高めた。ロシアは4%→5%、ニュージーランドも4%→5%へ小幅上昇し、安定した供給を維持している。これに対し、ナイジェリアは9%→3%へ急低下し、カタールも1%→0%とほぼ輸入が途絶えた。インドは7%→5%へやや低下したものの、一定のシェアを維持している。
総じて、5月はUAE材が回復したことで中東材の比率は持ち直したものの、中国やマレーシアのシェア拡大が続き、供給源の多極化という大きな流れに変化はみられなかった。 一方で、中東産の構成比は依然として過去の水準を下回っており、中国を中心に東南アジアやロシアなど複数の調達先を組み合わせる分散調達が定着しつつあることを示す結果となった。(グラフ―3)。


 

■金額動向
2026年5月の輸入金額は397億49百万円と、前月比117%、前年同月比127%で2カ月ぶりに増加した。中国は92億86百万円(前月比124%、前年同月比218%)と最大の調達先を維持し、UAEも56億92百万円(205%)へ大きく回復した。一方、カタール、ナイジェリア、インドは減少した。
1-5月累計は1,842億10百万円(前年同期比103%)と前年を上回った。中国(164%)、ロシア(137%)、インド(125%)、マレーシア(116%)が増加する一方、UAE(69%)は依然として前年を下回っている。
■総括
5月はUAE材の回復により輸入金額が持ち直した一方、中国が引き続き最大の調達先となった。中東材への依存は低下しつつあり、中国や東南アジアなどへの調達先分散が進む構図に変化はみられない。(表―2、グラフ―4)。



 

■CIF価格動向
CIF価格は、2026年4月の477円/kgから5月は510円/kgへ上昇し、11カ月連続の上昇となった。5月はドル円が円高方向へ修正されたことで輸入コストの押し下げ要因となったものの、LMEアルミ地金価格が3,601ドルから3,670ドル、アルミ合金価格も3,075ドルから3,233ドルへ一段高となったことから、円高の影響を吸収し、CIF価格は引き続き上昇基調を維持した。
主要調達先では、中国が483円→503円/kg、UAEが521円→544円/kg、ロシアが461円→494円/kgへ上昇した。マレーシアも459円→502円/kg、インドは462円→477円/kgへ上昇したほか、オーストラリアは576円→636円/kg、ニュージーランドは606円→647円/kgと最高水準を更新し、高コスト圏で推移している。一方、カタールは515円→496円/kg、ナイジェリアも447円→435円/kgと小幅に低下した。
総じて、5月は円高が輸入コスト上昇を一定程度抑制したものの、LMEアルミ地金・アルミ合金相場の続伸がこれを上回り、CIF価格は全面的に上昇した。UAE材の数量も回復に転じたが価格は高止まりしており、中国材や東南アジア材を含めた輸入価格全体が高水準で推移している。当面はLME相場と為替動向の綱引きが輸入コストを左右する展開が続きそうだ。(グラフ―5、6、7)。




 


主要税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 (  )内は前月実績

主要国別税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 (  )内は前月実績


■今後の展望(アルミスクラップ・二次合金原料)
今後数カ月の市場は、供給不安一辺倒の相場から、供給改善と需要減速懸念が交錯する局面へ移行しつつある。UAEからの再生塊輸入は5月に持ち直したものの、中東情勢は依然として予断を許さず、LMEアルミ価格は3,600ドル台の高水準を維持している。加えて、為替も5月の円高局面から再び円安方向へ転じつつあり、CIF価格や国内原料価格を押し上げる要因となっている。
一方、国内市場では国産ADC12やアルミスクラップ価格は依然として高値圏にあるものの、上昇ペースは鈍化している。大手合金メーカーの原料買値もおおむね据え置きとなり、問屋・需要家とも積極的な在庫積み増しには慎重な姿勢を維持している。中国では内需低迷を背景にADCやゾルバ価格の軟調が続いており、海外価格との温度差も意識され始めている。
総じて当面の市場は、LME高値と円安がコストを押し上げる一方、実需の伸び悩みが価格上昇を抑制する綱引きが続く公算が大きい。自動車生産の回復動向、中国市場の需要改善の有無、中東情勢の推移に加え、円安基調が定着するかどうかが、アルミスクラップ・二次合金原料市場の次の方向性を左右する最大の焦点となりそうだ。

 

(IRUNIVERSE S. Aoyama)

 

青山 雫

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