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2026年5月 粗鉛(ブリオン)輸出統計分析 中国向け依存一段と鮮明 原料争奪で高値圏維持

2026/07/26 14:15
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2026年5月 粗鉛(ブリオン)輸出統計分析 中国向け依存一段と鮮明 原料争奪で高値圏維持

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(詳細分析)
(アンチモン含有粗鉛詳細分析)
■数量ベースでは、2026年5月のHS7801.91(アンチモン含有粗鉛)輸出量は2,243トンと、前月(3,346トン)比67%で大幅減少し、2カ月ぶりの減少となった。一方、2025年5月(2,133トン)比では105%と前年を小幅に上回った。1―5月累計は12,838トン(前年比114%)となり、引き続き前年超えを維持している。
仕向け地別では、中国向けが810トン(前月比54%)と大きく減少したものの、引き続き最大の仕向け地となった。韓国向けは792トン(同115%)と持ち直し、中国との差が縮小した。台湾向けは419トン(同80%)、インド向けも222トン(同34%)とともに減少し、特にインド向けの落ち込みが目立った。総じて5月は、中国向けの反落を韓国向けの回復が一部補ったものの、台湾・インド向けも減少したことで、輸出数量全体は前月から大きく調整した。(表1、グラフ1)。


 



■数量構成比では、2026年4月→5月で、中国向けは44%→36%へ低下したものの、引き続き最大の仕向け地を維持した。一方、韓国向けは21%→35%へ大きく上昇し、中国との差を縮めた。台湾向けも16%→19%へ上昇した一方、インド向けは19%→10%へ大幅に低下した。総じて5月は、中国向けへの集中がやや緩和され、韓国・台湾向けの比率が高まる一方、インド向けが後退し、輸出構造は中国・韓国を中心とするより均衡した構成へ変化した月といえる。(グラフ-2)。



 


■金額ベースでは、2026年5月単月は6億63百万円と、前月(9億97百万円)比67%で大幅減少したものの、前年同月(5億77百万円)比では115%と前年を上回った。1-5月累計は38億33百万円(前年比118%)となり、引き続き前年超えを維持している。
内訳では、中国向けが2億45百万円(前月比55%)と大幅減少した一方、韓国向けは2億32百万円(同114%)へ増加し、中国との差を大きく縮めた。台湾向けは1億21百万円(同81%)、インド向けは65百万円(同34%)とともに減少した。総じて5月は、中国向けの反落を韓国向けの回復が一部補ったものの、台湾・インド向けも減少したため、輸出金額全体は前月から大きく調整した。(表2)。
 


 

■FOB推移は、全体平均で4月294円/kg→5月296円/kgと小幅上昇した。主要向け先では、中国302円→303円/kgと高値を維持した一方、韓国295円→292円/kg、インド299円→294円/kgと軟化し、台湾も287円→289円/kgと小幅上昇にとどまった。

5月は円高方向への推移となり、本来は円建てFOBの下押し要因となる環境だった。一方で、中国向けを中心に高水準の単価が維持されたことで、全体平均は296円/kgへ小幅上昇し、価格は底堅く推移した。

外部環境では、LME鉛が1,922.65ドル→1,991.03ドル、ブリオン国際価格も1,824.33ドル→1,889.38ドルへともに上昇し、国際価格は一段と持ち直した。円高が輸出価格の上昇を一定程度抑制したものの、国際価格の上昇がこれを上回り、中国向けを中心とした高値維持がFOBを下支えした。総じて5月は、円高という逆風下でも国際鉛価格の上昇を背景に輸出単価が底堅さを維持し、高値圏で推移した月と位置付けられる。(グラフ3)。

ブリオン国際価格推移(USD/T)3カ月

 

主要税関別数量とFOB(円/Kg)実績(カッコ内は前月実績)

主要国通関別数量・FOB(JPY/Kg)( ):前月


■今後の展望
アンチモン含有粗鉛(HS7801.91)輸出は、中国・韓国向けを軸とした高水準推移が当面続く見通しだ。国内では鉛バッテリースクラップ価格が安値ベースでも120円台へ上昇し、巣鉛業者や製錬・精錬所による原料争奪が一段と激化していることから、海外向け原料需要も底堅いとみられる。LME鉛やブリオン国際価格は持ち直し基調にあり、6月以降は円安も進行していることから、円建て輸出FOBは300円/kg台を維持、あるいは一段高となる可能性が高い。 一方で、中国・韓国向けへの依存度は依然高く、両国の調達方針や輸入規制の変更に加え、国内原料価格の一段の高騰が輸出採算や需給に与える影響が今後の最大のリスク要因となろう。

 

(その他粗鉛7801.99分析)

■数量ベースでは、2026年5月単月は3,439トンと、前月(2,805トン)比123%で増加し、2カ月ぶりの増加となった。前年同月(1,558トン)比でも221%と大幅増となり、高水準の輸出が続いている。1―5月累計は15,957トン(前年比140%)と前年を大きく上回った。

仕向け地別では、中国向けが3,439トン(前月比150%、前年同月比321%)と大幅増加し、輸出の100%を占めた。4月にみられたタイ向け361トンやインド向け142トンはともにゼロとなり、輸出構造は再び完全な中国一極集中型へ回帰した。

総じて5月は、中国向け需要の急拡大を背景に数量が大幅回復し、高水準の輸出基調を維持した一方、対中依存が一段と強まった月といえる。



 

■数量構成比では、2026年4月→5月で中国向けが82%→100%へ急上昇し、輸出の全量を占める完全な中国一極集中型となった。4月に13%を占めたタイ向けや5%だったインド向けはともにゼロとなり、韓国・台湾向けも実績はなかった。

総じて5月は、4月にみられた一時的な分散化が解消され、輸出構造は再び中国依存を一段と強める形となった。中国向け需要が数量全体を支える構図が鮮明となり、市場動向は中国の調達姿勢に大きく左右される状況が続いている。(グラフー2)


 

■金額ベースでは、2026年5月単月は10億74百万円と、前月(9億37百万円)比115%で2カ月ぶりに増加し、前年同月(4億33百万円)比でも248%と大幅増となった。中国向けは10億73百万円(前月比150%、前年同月比363%)へ急増し、輸出金額のほぼ全額を占めた。一方、4月に急増したタイ向けは1百万円へ急減し、インド・韓国・台湾向けも実績はほぼゼロとなり、金額面でも完全な中国一極集中型へ回帰した。

1-5月累計では50億53百万円と前年同期比154%。中国向け45億82百万円(同281%)が引き続き全体を牽引しており、累計ベースでも中国依存が一段と鮮明となっている。


 

■FOB推移では、全体平均は4月の334円/kgから5月312円/kgへ低下した。主力の中国向けは311円→312円/kgと高水準を維持した一方、4月に高単価だったタイ向けやインド向けの実績がほぼ消失したことで、全体平均は押し下げられた。

外部環境では、LME鉛が4月1,922.65ドルから5月1,991.03ドル、ブリオン国際価格も1,824.33ドルから1,889.38ドルへ上昇した。一方、5月は円高方向へ推移したことから、円建て輸出価格には下押し圧力がかかった。国際価格の上昇にもかかわらずFOBが低下した背景には、円高に加え、輸出がほぼ中国向けに集中し、4月のタイ向け高単価案件が剥落した仕向け地構成の変化が影響したとみられる。総じて5月は、国際価格上昇を円高と輸出構成の変化が相殺し、輸出単価は高値圏を維持しながらも調整した月と位置付けられる。


主要税関別数量とFOB(円/Kg)実績(カッコ内は前月実績)

主要国通関別数量・FOB(JPY/Kg)( ):前月

 

■今後の展望
その他粗鉛(HS7801.99)輸出は、中国向けを中心とした高水準が当面続く見通しだ。5月は輸出数量・金額とも全量が中国向けとなり、中国一極依存が一段と鮮明になった。国内では鉛バッテリースクラップ価格が安値ベースでも120円台へ上昇し、巣鉛業者や製錬・精錬所による原料争奪が激化していることから、鉛系スクラップ全般への需要は引き続き強いとみられる。LME鉛やブリオン国際価格の持ち直しに加え、6月以降は円安も進行していることから、FOBは300円/kg台を維持し、高値圏で推移する可能性が高い。 一方、中国向けへの依存度は極めて高く、中国の調達方針や輸入規制の変更が数量・価格の双方を左右する最大のリスク要因となろう。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
 

青山 雫

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