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信越化学工業(4063)~半導体ウエハ需要が6月から急回復、塩ビ市況を慎重想定も営業10%増の見通し

2026/07/27 11:17
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信越化学工業(4063)~半導体ウエハ需要が6月から急回復、塩ビ市況を慎重想定も営業10%増の見通し

27/3期1Q決算は塩ビ樹脂の収益低迷も営業利益が前年比4.2%増益に。通期の見通しでは半導体シリコンウエハがフル生産に入るなど電子材料の収益拡大がけん引するも、塩ビ樹脂が北米の市況堅調もアジアで市場の市況軟化から慎重に見ざるを得ないこともあり、営業利益7,000億円、前年比10%増とする。半導体シリコンウエハは6月から需給が急回復、アジアの塩ビ市況の再値上げの動きと計画に対し上振れ期待が高まる状況にある。

27/3期1Qは塩ビ・ソーダ以外のセグメントが営業増益に

27/3期1Q決算は売上高6,624億円、前年同期比5.4%増、営業利益1,738億円、同4.2%増と中東情勢の緊迫化など厳しい環境のもと増収増益となった。米国の塩ビ・ソーダの製造子会社であるシンテック社が中心となる生活環境基盤材料部門の営業利益が348億円、前年同期比34%減益となったが、電子材料の営業利益が1,019億円、同23%増益、機能材料も288億円、同20%増益となったことなどでカバーした。電子材料はシリコンウエハ、レジスト、フォトマスクなど半導体材料を中心にAI関連の先端材料の収益が好調であり、光ファイバ向けプリフォームやHDD向けの磁性材料の需要好調なことも寄与している。機能材料ではシリコーン製品での香粧品、医薬品向けなど特殊・高機能製品に集中したことが寄与している。

 

27/4通期ガイダンスは塩ビ市況を慎重に見ているため営業10%増益とコンセンサスを下回ることに

会社は例年通り1Q決算後に今27/3通期の見通し公表となった。売上高は2兆7千億円、前年比4.9%増、営業利益7,000億円、同10.2%増とし、7月以降の為替前提を1ドル160円(感応度は1ドル1円で年37億円の営業増減益)とするも、7,550億円程度のアナリストコンセンサスを下回るものとなった。電子材料は半導体シリコンウエハがこれまでの想定より回復力が高まり、北米の塩ビ樹脂市況は需要堅調なうえ値上げが通るなど収益は安定している。半面、アジア市場での中東情勢の緊迫化後の原料高後の値上げ分が解消されたうえ、需要の反動減もあり厳しい収益環境となったことが足を引っ張り、シンテク社の4~6月の経常利益は前四半期比改善傾向も前年同期比では若干の減益と期初の想定に比べ収益の回復が遅れる格好にある。足元ではアジア市況も反転、値上げの動きにあるが、先行きを慎重に見ていることが連結収益の足枷となることが影響する。

株主還元ではコミットメント型自己株式取得(FCSR)により公約の残り約1,973億円の自己株式取得の実施したうえで、通期の配当を年10円増配の116円とする見通し。

 

半導体シリコンウエハが6月から急回復、ダミーウエハも不足状態となり値上げへ

電子材料の収益が半導体シリコンウエハにも波及してきており、今27/3期2Q以降の電子材料はフォトレジスト、マスクブランクス、ペリクルなどAI半導体向けの最先端品製品の貢献度の高まり、子会社の三益半導体の行う再生ウエハがテスト、ダミー用途での需給タイト化に伴う価格上昇の効果も寄与し利益成長性が一段と高まる可能性がある。

世界の半導体シリコンウエハの出荷数量は4~6月に前年同期比7%増となったとのことである。前四半期比では1~3月が300ミリウエハで5%減となっていたが、4~6月には8%増とプラスに転じた。増勢に転じたのは6月からであり、300ミリの大口径ウエハだけではなく200ミリ、150ミリ以下の中小口径ウエハの需要も回復している。これまで同社ではデバイスメーカーのウエハ在庫調整から需要の回復を慎重に見ていた側面もあったが、2Qからはタイトマーケットとの強気な見方に変わってきている。その背景としては、AI関連需要に対する信認の高まりに伴い、27年以降に稼働する新増設ラインに備えた需要が出始めていることがある。中東情勢の緊迫化での資材不足や価格上昇リスクと相まっての動きとみている。足元ではスポット市況も反転に転じ始めており、一部の半導体メーカーから長期契約の話が出始めているが、同社としては新設設備投資に対し建設コストだけではなく、あらゆるコストが上昇しており既に倍以上に上昇しているコストがどの程度になるか試算し、これまで以上に長期契約に伴う設備投資、価格設定を慎重に試算し対応していくとのことだ。

 

今期の会社計画からの上振れ余地はアジアの塩ビ樹脂市況の動向次第

今27/3期の業績は会社の想定通り北米以外の塩ビ樹脂市況が低迷したとしても会社計画からの上振れの公算が高いとの印象だ。電子材料、機能材料の収益が好調に推移する可能性が高いが、アジアを中心とする塩ビ樹脂市況の回復度合いが業績の上振れ度合いを決めることになろう。

北米の塩ビ樹脂需要は4~6月も堅調に推移しており、市況是正も進展しているためシンテック社の業績は堅調。北米とアジア市況に乖離が生じており、北米での値下げ依頼はあるが価格重視の姿勢は崩さない方針にある。日本では塩ビ樹脂の二次値上げが打ち出し価格を圧縮しての決着となっている。半面、インド、中国向けの市況が前倒し需要の反動減もあり、価格是正が一旦、棚上げになるなど不安定な状況が続いていた。ここにきて米国・イランの再交戦の動きに伴う原油・ナフサ市況の再上昇もあり、塩ビ樹脂の再値上げの動きもあるが不安定で先の読みにくい状況にある。

塩ビ樹脂は半導体製造装置用の部材として需要が高まっており、高機能材料でもシリコーンが冷却材や蓄電デバイスの材料が広義のAI半導体・データセンター関連需要として伸びが見込まれる。電子材料部門だけではなく塩ビ樹脂やシリコーン、信越ポリマーのウエハ搬送容器や三益半導体のエンジニアリング部門など既存の製品だけでも広義のAI関連の売上高は全体の15%を占めており、中期的にはAI関連需要の波及効果による利益成長性が期待できよう。

 

 

叶 一真

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