7月28日夕刻に熊本県を中心とした九州地方を襲った地震の影響は7月29日昼時点でまだ全容が分かっていない。当面は工場内が破損した日本製紙など一部を除き大きな被害を報告した例は限られるが、同県は言わずと知れた半導体産業の日本有数の集積地。短期的に工場を再開できたとしても、安全検査などが長引けば世界のサプライチェーン(供給網)に影響する恐れがある。(見出しは気象庁ホームページから)
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■台湾TSMC自体は影響軽微か
熊本地震にいち早く反応した海外メディアは、台湾積体電路製造(TSMC)が菊陽町に工場を構える台湾メディアだった。現地メディアのINSIDEは7月29日、TSMCについて「熊本工場の生産量はTSMCの総生産能力の約2.6%にすぎず、地震の影響が同社の財務全体に与える影響は軽微だろう」との現地アナリストの分析を伝えた。TSMCの熊本工場は7月29日時点で人的被害は確認されず、一時停止した設備も段階的に再稼働していると伝わる。
■フォトレジストの生産に懸念も
ただ、TSMCそのものが無傷でも、周辺の関連企業に影響がないとは、現時点では言えない。TSMCの熊本工場は2022年の合弁設立、2024年の操業開始だ。同社の進出に伴い、多くの関連企業が同県に集まり、日本有数の半導体集積地になっている。これは2016年の熊本地震の時とは違っている点だ。
例えば、TSMCが熊本工場で採用する設備には、ソニーのCMOSイメージセンサー(CIS)ロジック層向け半導体ソリューションや、デンソーの自動車用チップが採用され、顔認証などで稼働している。1つでも不備が生じればシステム全体に影響が出る。ソニーも熊本に工場を構えているが、こちらに安全検査を含めて地震の影響が出ていれば、修理もおぼつかなくなる。
半導体生産の前工程で使われる化学薬品フォトレジストを扱う東京応化工業も、熊本に工場を構える。フォトレジストは日本製のシェアが世界でも高く、生産に影響が出れば日本国内だけでなく、世界の半導体生産のサプライチェーンに影響しかねない。