予想レンジ
項目 | 11月予想レンジ | 見方 |
|---|---|---|
LME現物 | 13,700~15,000ドル/t | 10月平均比で小幅安を予想 |
国内銅建値 | 2,200~2,480円/kg | 月平均は10月比で小幅低下 |
ドル円 | 155~161円 | 月平均は10月比で横ばい |
■国際概況
10月のLME銅は、現物セツルメント月平均14,532.48ドル/トン。12日に14,822ドルまで上昇した後、月末30日は14,449ドルとなり、9月末14,487ドルをわずかに下回った。3か月物の公式価格は月末14,250ドル。LME在庫は9月末24万9,400トンから27万4,000トンへ増加し、期近の需給と金融市場の動きが交錯した。
11月のLME銅は、10月平均をやや下回る水準での推移を予想する。LME在庫の増加と建設関連需要の弱さが上値を抑える一方、自動車・電子材料向け需要と供給不安が下値を支えるとみる。国内電気銅建値も10月平均2,383.5円/kgから小幅に低下する見通し。高値圏での変動は続くが、月間の方向は弱含みを基本に置く。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート 10月の月中平均TTMは157.98円、月末は157.54円。三菱UFJ銀行公表のTTSとTTBの中間値で算出した。11月は155~161円を想定し、米金融政策と日銀の政策姿勢による円換算価格の変化を注視する。

【国内指標】
【自動車生産】
2026年9月の国内生産は、乗用車メーカー8社合計73万4,353台、前年同月比+1.4%(各社速報合算)。8月48万7,195台から回復した。トヨタ31万9,195台、日産5万4,708台、ホンダ6万2,356台、スズキ8万9,516台、マツダ5万9,110台、SUBARU4万5,157台、三菱3万9,634台、ダイハツ6万4,677台。メーカー間の強弱があり、回復の持続性を見極める。
月 | 7月 | 8月 | 9月 速報 |
|---|---|---|---|
8社生産 | 761,142台 | 487,195台 | 734,353台 |
前年比 | +7.9% | ▲5.9% | +1.4% |

【自動車販売】
2026年10月の国内新車販売は、登録車24万9,180台(前年比+0.5%)、軽自動車13万2,576台(▲10.0%)で、合計38万1,756台(▲3.4%)。全体では7か月ぶりの前年割れとなった。生産回復と販売減速が並行しており、材料需要は販売台数だけで判断せず、部品メーカーの稼働と受注を併せて見る。
月 | 8月 | 9月 実績 | 10月 速報 |
|---|---|---|---|
新車販売 | 307,374台 | 433,683台 | 381,756台 |
前年比 | +2.0% | +1.3% | ▲3.4% |

【住宅着工戸数】
9月の新設住宅着工は6万1,826戸、前年同月比▲2.7%で6か月ぶりに減少した。持家1万7,648戸(▲3.4%)、貸家2万8,046戸(▲1.6%)、分譲1万5,688戸(▲4.5%)。季節調整済年率は71.4万戸、前月比▲5.2%で3か月連続減。建設向け需要は、前年反動だけでは説明しにくい弱さが残る。
【伸銅品生産】
9月の伸銅品生産速報は5万9,230トン、前年同月比+4.1%。自動車やAIサーバー・データセンター関連のエレクトロニクス需要が支えとなった。8月4万7,120トンから回復している。ただし電線出荷とは方向が異なり、銅需要全体の一様な回復と受け取るべきではない。
月 | 7月 | 8月 | 9月 速報 |
|---|---|---|---|
伸銅品生産 | 59,739t | 47,120t | 59,230t |
前月比 | ▲2.6% | ▲21.1% | +25.7% |

【日本電線工業会 出荷速報】
9月の銅電線出荷は4万9,000トン、前年同月比▲4.7%(速報)。電気機械向けは1万100トン(+1.9%)だったが、建設・電販向け2万1,900トン(▲7.4%)が重石となった。8月確報は4万684トン(▲0.1%)、7月確報は5万3,536トン(+4.6%)。建設・電販の回復が、電線向け銅需要の持ち直しの鍵となる。
月 | 7月 確報 | 8月 確報 | 9月 速報 |
|---|---|---|---|
銅電線出荷 | 53,536t | 40,684t | 49,000t |
前年比 | +4.6% | ▲0.1% | ▲4.7% |

◆貿易関連指標 2026年6~9月実績
財務省貿易統計の統計品別表を集計。輸出は9月まで確報、輸入は8月まで確報・9月は9桁速報。電気銅は輸出HS740311・輸入HS740311030、銅スクラップはHS7404。数量はkgからtへ換算して四捨五入。2026年のグラフは1~9月を連続して掲載。
品目 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
|---|---|---|---|---|
電気銅輸出 | 47,923t | 47,790t | 48,790t | 35,321t |
銅スクラップ輸出 | 39,737t | 35,443t | 30,179t | 32,766t |
電気銅輸入 | 3,702t | 1,637t | 1,692t | 1,615t |
銅スクラップ輸入 | 33,620t | 30,732t | 27,424t | 30,190t |


■国内概況まとめ
10月の国内銅相場は、LMEの高値維持と円換算価格を背景に、建値月平均が2,383.5円/kgとなった。一方、LME在庫は月末27万4,000トンへ増加。高値を支える供給懸念がある一方、在庫増と需要家の買い控えが上値を抑えやすい環境である。
実需は、9月の8社国内自動車生産73万4,353台、伸銅品生産5万9,230トンへ回復した一方、銅電線出荷は4万9,000トンで前年割れ。住宅着工も6万1,826戸へ減少し、10月新車販売は38万1,756台となった。自動車・電子材料向けの底堅さと、建設関連の弱さを分けて見る必要がある。
9月の電気銅輸出は3万5,321トンで8月4万8,790トンから減少。銅スクラップ輸出は3万2,766トン、輸入は3万190トンとなった。10~12月期の長期契約では1号銅線の発生薄と黄銅削粉の買い気の弱さが報じられており、原料需給は高品位銅と黄銅系で差が広がっている。
【11月見通し】 実需は前年同月比、在庫は10月末比の予想。
【自動車生産】 11月は前年同月並みを予想する。9月の8社国内生産は前年比1.4%増まで回復したが、10月新車販売の減少を受け、増産の勢いは鈍るとみる。自動車向け素材需要は横ばい圏にとどまる見通し。
【自動車販売】 11月は前年同月比で小幅減を予想する。10月に軽自動車が二桁減となった流れが残り、登録車の底堅さだけでは全体の減少を補い切れないとみる。
【住宅着工】 11月は前年同月比減少を予想する。9月の季節調整済年率も前月から低下しており、建設向け銅・アルミ需要の回復は遅れる見通し。
【伸銅品生産】 11月は前年同月比で小幅増を予想する。自動車端子やAI・データセンター関連の銅条需要が生産を支え、建設関連の弱さを補うとみる。黄銅棒など内需型品種の回復は鈍く、増加幅は限られる見通し。
【電線出荷】 11月は前年同月比減少を予想する。電気機械向けは増加を見込むが、主力の建設・電販向けの落ち込みが残り、銅電線全体では前年割れが続くとみる。
【スクラップ景況感】 11月のメーカー原料需要は全体で横ばいを予想する。伸銅向け高品位材の需要は底堅い一方、電線・黄銅系は弱く、品種間で強弱が分かれる。1号銅線など高品位材は市中発生が需要に届かず、メーカーの原料在庫、市中問屋の在庫とも10月末比で小幅減となり、需給の引き締まりが続くとみる。黄銅削粉・低品位材はメーカーの購入意欲が弱く、市中在庫は横ばいから小幅増を予想する。
【LME・為替予想】 LME現物は13,700~15,000ドル/トン、ドル円は155~161円、国内銅建値は2,200~2,480円/kgを想定する。LMEと国内建値の月平均は10月比で小幅安、ドル円の月平均はおおむね横ばいを予想する。
11月の銅スクラップ市場は、相場の弱含みと高品位材の不足が並行する見通しである。高品位材はメーカーの必要量を満たしにくく、市中在庫も減少するため、建値が下がっても買値の下落幅は限られるとみる。一方、黄銅系は需要回復が遅れ、荷動きは低調に推移する公算が大きい。