テセック(6337)の 27/3Q1は、AI関連需要が活況でMAPハンドラ受注・売上が同期比3倍となり、売上高19.12億円(78.8%増)、営業利益4.13億円(黒転)に。これを受け、27/3期予想を大幅修正し、売上高70億円(25.7%増)、営業利益11億円(3.7倍)予想も再増額期待。
6337 テセック 27/3期Q1決算メモ 材料を織り込み新規ニュートラル
27/3Q1はAI電源向けMAPハンドラ急増で78.8%増収・営業黒字転換、通期を大幅増額修正
株価3190円(7/31終値) 時価総額175億円 発行済株5,578千株
PER(27/3期DO予14.6X) PBR(1.12X) 配当(27/3期DO予)110円 配当利回り3.4 %
要約

27/3Q1はMAPハンドラが2.9倍、売上8割増・営業利益率21.6%と9四半期ぶり高水準
半導体後工程のテストハンドラとパワーデバイス用テスタを手掛ける。27/3期Q1決算が7/28に開示され、同時に通期業績予想の増額修正が発表された。
27/3Q1は売上高19.12億円(同期比78.8%増)、営業利益4.13億円(前年同期は0.11億円の営業損失)、経常利益5.17億円(同0.19億円)、四半期純利益4.76億円(同0.14億円)と急回復した。売上高、営業利益率21.6%はともに9四半期ぶりの高水準となる。

製品別ではハンドラが13.17億円(同2.9倍)と急伸、構成比は前年同期の42%から69%へ上昇した。AI関連需要を背景に主力のMAPハンドラが好調で、受注12.32億円(同2.9倍)、受注残16.77億円(同73.6%増)と先行指標も強い。地域別ではマレーシアと中国で約9割を占める。

テスタは2.89億円(同31.9%減)と低調。同社テスタが対象とするパワー半導体市場では需要底打ちの動きがみられるものの、EV向けが力強さを欠き顧客の設備投資姿勢が慎重なため。ただし受注は2.92億円(同6.7%増)と増加に転じ、受注残6.62億円は前年同期比51.5%減ながら12四半期ぶりに下げ止まった。BB比率は1.01倍と1倍を回復、底入れの兆しと捉えられる。

パーツ等(ハンドラのチェンジキット・測子等の消耗品、テスタ用リレー等、オーバーホール、ISO9001準拠のテスタ校正)は3.05億円(同59.5%増)、受注4.87億円(同2.1倍)、受注残3.15億円(同64.7%増)。既納入ハンドラの稼働率上昇に伴う保守・消耗品需要の取り込みが進んでいる。

利益面では売上総利益率が47.3%と9四半期ぶりの高水準(前年同期38.0%、前期4Q36.6%)。増収による固定費吸収に加え、①好採算のハンドラ構成比上昇、②好採算案件の売上計上、③1Q平均159円の円安(前年同期145円)が寄与した。販管費は4.90億円(同17.2%増)にとどまり、うち研究開発費1.15億円(同93.5%増)の増加を増収効果が吸収した。
営業外では為替差益0.33億円(前年同期は差損0.22億円)、受取利息0.34億円・受取配当金0.25億円と潤沢な金融資産からの収益が積み上がり、経常利益は営業利益を1.04億円上回った。さらに特別利益に投資有価証券売却益1.81億円を計上し、四半期純利益は4.76億円(EPS91.87円)となった。
27/3期を売上70億円、営利11億円に大幅増額も、2Q以降想定は保守的で更に上振れ余地
27/3期予想を5/12公表の期初計画(売上63億円、営利4.5億円)から、売上高70億円(期初比7億円増額、11.1%増、前期比25.7%増)、営業利益11億円(同6.5億円増額、2.4倍、前期比3.7倍)、経常利益13億円(同7.1億円増額、前期比2.3倍)、純利益10.40億円(同5億円増額、前期比2.2倍)、EPS203.13円へ大幅増額された。内訳はハンドラを期初34.5億円から43.5億円へ9億円増額(前期比70.8%増)、テスタを17億円から15億円へ2億円減額(同24.0%減)、パーツ等は11.5億円(同9.9%増)で据え置きとした。
注目すべきはQ2~Q4の想定が保守的な点。通期予想から1Q実績を差し引くと、Q2~Q4累計は売上50.88億円(四半期平均16.96億円、1Q比11%減)、営業利益6.87億円(同2.29億円、1Q比45%減)、営業利益率13.5%(1Q比8.1ポイント低下)となる。会社側は①通期研究開発費を過去最大の6.20億円(1Q実績1.15億円に対し2~4Qは四半期平均1.68億円と1Q比0.5億円増)、②労務人件費の増加、③個別受注生産のため案件ミックスの反落を織り込んでいる。
しかし1Q末の受注残26.55億円は2~4Q売上想定の約5割をすでにカバー、1Q受注20.12億円(12四半期ぶりの20億円超)のペースが大きく崩れない限り、売上は1Q並みの水準を維持する公算が大きい。仮に2~4Qの売上を1Q比やや低い18億円台としても研究開発費の増加を織り込んで、営業利益は1~2割上回る計算になる。
現状、27/3期は売上高73.5億円(32.0%増)、営業利益12.3億円(4.1倍)、経常利益14.5億円(2.6倍)、純利益11.2億円(2.4倍)、EPS約220円と再増額予想とする。実施中の自社株買いにより期中平均株式数が一段と減少するため、EPSの押し上げ効果も加わる。
為替は2Q以降160円が前提(1円の円安で年間0.20億円の営業増益)。1Q平均159円に対しほぼ実勢並みで、為替面でのプラスは織り込み済み。
AIデータセンタの800V給電化がパワー半導体の数量を押し上げ、後工程投資を誘発
MAPハンドラは、リードフレームや基板上に多数のチップを格子状に並べて一括で樹脂封止するMAP(Molded Array Package)方式で製造されたデバイスを、個片化後に高速で搬送・接触・測定・仕分けする後工程装置である。QFN/DFN/SOTといった小型・低コストパッケージが主対象で、1個あたり単価が低く生産数量が膨大なパワー半導体やアナログICで威力を発揮する。前工程装置が「微細化」に連動するのに対し、ハンドラは「数量」に連動する装置であり、需要ドライバーが根本的に異なる点が重要。今1Qに投入した新製品のリードフレームストリップハンドラは、個片化前のストリップ(短冊)状態のまま搬送・テストする方式で、スループットとハンドリング歩留まりをさらに高めるもの。

ところで、AI関連需要がMAPハンドラに波及するのかという点。鍵となるのはAIデータセンタの制約が演算性能から電力へ移ったことにある。最新世代のAIラックの消費電力は100kWを大きく超える水準に達し、従来の12V給電では電流が過大となって配電損失と銅配線量が発散してしまう。このため業界は800V級の高電圧直流(HVDC)給電への移行を進めている。給電電圧が上がると、①系統からのAC/DC整流、②800Vから50V級への降圧、③中間バスからボードへの降圧、④GPU直下のPOL(Point of Load)/垂直給電と、電力変換段が多段化・高密度化する。各段でGaN(650V級以下、高速スイッチング)、SiC(高耐圧)、Si系パワーMOSFETやDrMOSが大量に消費される。GPU1個あたりに必要なパワーデバイスは数百個規模に及ぶとみられ、AIサーバの出荷増加はそのままパワー系ディスクリート・アナログICの「数量」の爆発を意味する。
この数量増を受け止めるのが後工程のテスト・ハンドリング工程である。しかもパワーデバイスの検査は高電圧・大電流の印加を伴い、コンタクトの接触抵抗、発熱管理、タクトタイム制御がロジックICより格段に難しい。テセックはパワーデバイス用テスタとハンドラの双方を自社で持つ数少ないプレーヤーであり、この領域での競争力は高い。
1Qのハンドラ売上はマレーシアと中国で約9割を占めた。マレーシアは欧州系IDMや現地OSATが集積するパワー/アナログ後工程の世界的拠点であり、中国も大手OSATに加え内製化を進める現地パワー半導体メーカーが集中する。同社のハンドラ需要は「AIデータセンタの電源系需要」×「マレーシア・中国のパワー半導体後工程投資」の掛け算で決まる構図にある。今回の急増はAIサーバ向け電源系の立ち上がりが後工程の能力増強を誘発した初期段階と言える。今後、AIサーバの設置ペースが加速する27~28年にかけて需要が一段と拡大する可能性が高い。
なお同社は納期短縮の要請に応えるため主要部材の先行手配と計画生産を進めており、受注から売上までの回転が速まっている。このため受注残の絶対水準(26.55億円、前期末比3.9%増)はハンドラ受注の伸び(同2.9倍)ほどに積み上がっていないが、これは供給リードタイム短縮の成果とみるべきであり、今後の需要増に対応できる体制が整っていると前向きに捉えたい。
テスタは受注残が12四半期ぶりに下げ止まり、28/3期に向けた第2エンジンに
同社のもう一つの柱はテスタで、パワーデバイス(ディスクリート)用を主力とする。足元の低迷は、EV向けSiC/IGBT需要の伸び悩みと、中国勢の供給拡大に伴う価格下落を受けたパワー半導体メーカーの投資抑制が主因で、1Q売上は2.89億円と3割減にとどまった。
ただし受注環境は明確に改善している。1Q受注は2.92億円と前年同期比6.7%増と増加に転じ、受注残6.62億円は前四半期末6.59億円から12四半期ぶりに下げ止まった。会社側も「足元で回復の兆しがみられる」としつつ、「回復時期が想定より遅れる」との理由で通期を2億円減額、下期の回復を予想に織り込んでいない。このためテスタは27/3期の下振れ要因というより、28/3期に向けた上振れ余地と位置づけられる。
同社収益の回復のインパクトとしては、①AI電源向けGaN/SiCの本格量産に伴う新規テスタ需要、②EV需要の底打ちと車載パワー投資の再開、③市場回復局面を見据えて子会社と連携して開発中の新製品、が挙げられる。テスタは装置単価が高く、校正・オーバーホールといったサービスも付随するため、回復局面での利益寄与は大きい。パーツ等の1Q受注が2.1倍に伸びている点は、既納入機の稼働率が実際に上向いていることの証左であり、テスタ側の底入れシナリオが示されたと判断する。
株価は収益低迷を反映、他のテスタメーカーとの乖離が大きかった。しかし今回の大幅増額修正で急騰、乖離の穴を埋める動きとなっている。現在、27/3期修正会社予想EPS203.13円に対しPER15.7倍は東証スタンダード機械平均PER18.7倍に対し、新高値更新ながら割高感はない。しかし他のテスタ大手は先端半導体向けのイメージであるのに対し、同社はパワー半導体、LEDテストのイメージがあり、その点で、株価は自社株買いや再増額修正をある程度織り込んだと判断、割高感はないとして、新規にニュートラルとしたい。




*図表については決算補足説明資料、決算短信から添付。チャートはヤフーから添付。