Iruniverseは2日都内で、第3回CMSS(クリティカルマテリアルサミット)「リン編〜経済安全保障から、半導体・電池・資源循環まで 〜」を開催した。農薬、半導体、電池、難燃剤など幅広い分野で欠かせない資源でありながら、リンはわが国が輸入に依存し、その供給確保が課題となっている資源の一つだ。いかにリン含有製品をリサイクルループに取り込んでいくのか、それは経済安全保障にも深くかかわるテーマになりつつある。専門家の知見を求めて、当日の会場には約30人を超える聴衆が詰めかけ、講演に熱心に聞き入っていた。
最初の登壇者は東北大学大学院環境科学研究科教授の松八重一代氏。「リン資源に関する環境・社会的影響」をテーマに、講演した。
松八重氏
廃棄物・副産物からリンを回収して循環利用する「リン資源循環」の研究に長く携わってきており、リンの最新動向やその地政学リスク、いまの利用実態を踏まえた同教授の鋭い分析視点に、会場のあちこちでメモを取る姿がみられた。
2番目の登壇者はリン循環産業振興機構理事長の大竹久夫氏で、「経済安全保障(特定重要物資)とリン」をテーマに講演した。
大竹氏
メインに据えられたのは黄リン。工業用途向けの高純度リン酸や各種リン化合物では黄リンが出発原料になるが、その供給はベトナム1国依存の危ういサプライチェーンに支えられている構図が明らかにされた。その上で、根本対策としての黄リンの国内生産の必要性と、その取り組み事例が紹介された。危うさの認識を共有するかのように、盛んにうなずく聴衆の姿もあった。
3番手は「ハイテク産業としての日本のリン」をテーマに講演した原田幸明氏。
原田氏
半導体、リチウムイオン電池、太陽電池、難燃剤、電子材料など、脱炭素社会の実現に欠かせないハイテク産業の視点から、リン活用のいまにスポットが当てられた。ハイテク分野の高度化のテンポに合わせて、AIやデータセンターの基盤を支えるインジウムの日・中・米の品質管理の事例にまで話が及んだ。
4番手は富山高等専門学校教授の袋布昌幹氏で、「未利用リン資源獲得に関する基礎研究から技術開発」をテーマに、事例報告があった。新田ゼラチンの製品である牛骨由来のゼラチン製造で発生する第2リン酸カルシウム(DCP)の用途拡大の取り組みが語られた。袋布氏はその共同研究を担っている。
袋布氏
講演の後の懇親会・交流会では、登壇者を囲んで、疑問、質問を直接ぶつけながら、談笑する輪が会場のあちこちに広がっていた。