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ハイブリッド型製錬所の先駆け 小名浜製錬所

2019.10.12 19:25

 今日では国内の銅製錬所でリサイクルも行うハイブリッド型銅製錬所は珍しくないが、小名浜製錬株式会社の小名浜製錬所はその先駆けといって過言でないだろう。国内唯一である反射炉の設備的特徴を活かし、昭和40年代末のオイルショック以降は廃タイヤの燃料化を開始し、その後重油から石炭へと主燃料の転換も行った。平成5年には非鉄製錬所で最も早くASR(自動車由来のシュレッダーダスト)などシュレッダーダストの処理に着手した。この小名浜製錬所にさる10月4日、触媒資源化協会(新橋・安田豊会長)の一行が訪れ見学会を行った。

 

 小名浜製錬所は福島県いわき市小名浜の臨海地区に国内初の共同製錬所として誕生した。操業を開始したのは、それまでの地域経済、いや日本経済をも支えていた常磐炭鉱の歴史が閉じられる頃だった。

 小名浜製錬所の沿革は以下の通り。現在、小名浜製錬所の株主構成は、三菱マテリアル55.714%、DOWAメタルマイン31.621%、古河メタルリソース12.665%。小名浜製錬所は委託製錬所という役割であり、出来た地金などをそれぞれの会社に返す、という仕組み。

 

昭和38年12月  ・・・・・・・・・         小名浜製錬株式会社創立

昭和40年 4月   ・・・・・・・・・         試験操業開始

昭和40年10月  ・・・・・・・・・         本操業開始

昭和41年 4月   ・・・・・・・・・         電気銅月産6,000トン体制(#1電解工場)

昭和44年 3月   ・・・・・・・・・         電気銅月産10,000トン体制(#2電解工場完成)

昭和48年 1月   ・電気銅月産20,000トン体制(#2反射炉、反射炉排煙脱硫工場、#3電解工場完成)

昭和55年 6月   ・・・・・・・・・         チップタイヤ処理開始

昭和55年 8月   ・・・・・・・・・         反射炉燃料石炭へ転換

昭和55年11月  ・・・・・・・・・         廃油処理開始

平成 3年 1月    ・・・・・・・・・         酸素プラント稼働

平成 5年11月   ・・・・・・・・・         鉱石乾燥設備完成

平成 5年12月   ・・・・・・・・・         シュレッダーダスト処理

平成10年 5月   ・・・・・・・・・         中和石膏生産開始

平成12年11月  ・・・・・・・・・         新酸素プラント稼働

平成14年 4月   ・・シュレッダーダスト10,000トン処理体制確立

平成15年10月  ・・・リデュース・リユース・リサイクル(3R)経済産業大臣賞受賞

平成16年 6月・・・      ISO 9001取得(形銅の設計及び製造)

平成17年 4月   ・・シュレッダーダスト12,000トン処理体制確立

平成19年12月  ・・・・・・・・・         S炉稼働

平成25年10月  ・・・・・・・・・         リサイクル品増処理設備稼働(E-Scrap処理)

 

 小名浜製錬所には現在社員、関連会社含めて1,000名の方々が勤務している。前述したように小名浜製錬所の最大の特徴は反射炉を活用したリサイクル処理である。反射炉の燃料はかつては石炭だったが、いまや8割がシュレッダーダスト(以下、SD)。月間12,000トンのSDを受け入れている。

 

 年間80万トンの銅鉱石を世界から輸入(チリ、カナダからがメイン)し、20万トンの電気銅、30~50万トンの硫酸、10万トンの石膏を生産している。銅スラグは50万~60万トン。硫酸ニッケルも生産。

 小名浜製錬は無酸素銅のトップメーカーとして約40年にわたる実績と、世界最高水準の品質を維持している。また、その供給量は親会社の三菱マテリアルと併せて世界シェア30%に及び、品質と共にトップレベルにある。小名浜製錬所内で製造された高品位カソードのみを銅原料とし、高度な雰囲気制御技術を用いた完全連続熔解・鋳造法により量産製造されている。

 

 小名浜での銅鉱石処理増とリサイクル処理増におおいに貢献したのが平成19年に導入したS炉である。

 S炉の特徴は高濃度の酸素(ランス空気)を吹き込みながら、炉内温度を1250度に保ち、反応速度を早めることで、後の反射炉溶解工程含め、結果的に鉱石処理能力を上げ、燃料使用量の低減にもつながっている。また、多種多様の鉱石処理が可能かつ最近特に問題になっている鉱石中不純物上昇への許容度も向上。つまりS炉は鉱石処理の自由度が高いのである。

 小名浜においてはS炉導入前までは、鉱石処理とSDの処理を反射炉で同時に行っていたが、S炉で鉱石処理を行い、反射炉での排ガス許容量が出来たことで相対的に反射炉でのSD、あるいは廃棄物の処理量を増やすことができたのである。

 

 小名浜で処理しているSDは年間11万~12万トンだがこのうち75,000トン(2018年実績)がASR。このASRは今年処理費を上げているのだが、処理ニーズは高く、断るケースもしばしばあるとのこと。ちなみに日本全体でのASR発生量は55万7,000トン。小名浜製錬所での受託率は13.4%で非鉄製錬所のなかでは間違いなくトップ。 

 電解工程で得られる金銀スライム(鉛、白金族も含む)、は三菱マテリアルの直島製錬所やDOWAの小坂製錬所(エコシステム小坂)など他製錬所に送られ、現地で精製し製品化されている。スライム中の鉛は三菱マテリアルグループの細倉金属鉱業でやはり地金に製品化。硫酸銅、粗硫酸ニッケルはめっき用の原料に用いられている。

 

 銅製錬所は実はスラグ(水砕カラミ)の大量生産所でもあり、ここ小名浜でも年間50万t発生する。うち40万トンは海外輸出。多くはセメント工場で鉄源に利用されるか、防波堤に使用されるケーソンの中詰め材として利用されている。小名浜の港にもこのケーソンが多くみられる。このケーソンは津波耐性が高いという。

 

 また2013年から始めているE-Scrap処理は年間で3万トン程度。親会社の三菱マテリアルから依頼されて処理を行っている。SDの処理はなにかとトラブル多く、現在の11~12万トンからは増やす考えはないようだった。

 

反射炉でのSD処理はトラブルの連続だった!

 

 今日では反射炉の特性を利点に変え、リサイクルの小名浜としての評価も高いのだが、その昔は奥行き33m、幅11mという大型の反射炉は他製錬所の溶解炉と比較し熱効率の面で不利といわれてきた。

そのため小名浜は昭和40年代末のオイルショックを契機にエネルギー原単位を下げるべく創意工夫を凝らしてきた。その第一歩が前述した廃タイヤの燃料化(昭和55年)であり、次に重油から石炭への転換、さらに現在では天然ガスも用いている。そして平成5年からはASR含むSDの処理に着手し、エネルギー(熱から発電)と資源の回収も行い、かつてお荷物だった反射炉が現在の環境リサイクル、省エネ時代にはベストの設備ともいえる。

 

 月間1万~1万2千tのSDを受け入れている小名浜のSD処理フローを少し探ってみたい。小名浜が処理しているSDは60%以上がASR、その他家電などのSDも含まれている。

 現在は一日500~600tのSDを反射炉で処理している。SDに含まれる有価金属を回収する一方、ゴム、ウレタン、樹脂などは反射炉の補助熱源として利用。排熱ボイラーからの蒸気は自家発電機(8500kwh×2基のタービン発電機)で電気エネルギー化(サーマルリサイクル)し、石炭、天然ガスなど他燃料節減に効果をあげている。

 ちなみに小名浜での総電力使用量のうち1/3は自家発電で賄われている。反射炉ボイラーで得られる蒸気は高温(380度)高圧(38kg/c㎡G)の過熱蒸気といわれるもので、発電用にはこの高圧蒸気を使っている。転炉で得られる蒸気は250度前後の低温で飽和蒸気といわれ、この蒸気は電解工程の保温用などに使われている。

 

 重ね重ねだが、小名浜製錬は1993年にSDの受け入れを開始。その後処理量の増大もあり、2000年にSDの受け入れ、搬送、投入設備の増強、オンサイト酸素設備の設置工事を行った。これで処理量は月間6500トンまで拡大。2001年には反射炉ボイラーの除塵装置の改良を行い処理能力を増強し1万トン台へ。2004年には電気集塵機の改修工事などを行った。2006年には月1万2000トンのSD処理体制が確立した。

 しかしこの間に小名浜はSD処理でいくつか想定外のトラブルに見舞われている。大別すると

1、ダストトラブル

2、ボイラー蒸気管の減耗

3、反射炉レンガの消耗

 の3つである。今日では設備の改修、改造、ボイラー管の更新などを行ったことで操業は安定しているが、やはり廃棄物の処理には想定外のトラブルはつきもの。しかし環境リサイクル事業を大きな柱としている小名浜製錬は廃棄物処理には積極的に取り組んでおり、2007年からは焼却飛灰など一般廃棄物の処理も行っている。

 

(IRUNIVERSE YT)

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