メタル・カテゴリー閉じる

新着情報  - News -

2019/11/13   メキシコの亜鉛プロ...
2019/11/13   ペットボトルで紡ぐ...
2019/11/13   中国 鉄鉱石輸入価...
2019/11/13   三菱伸銅 キッツと...
2019/11/13   Zinc&Lead...
2019/11/13   東鉄 3か月ぶりに...
2019/11/13   アルミUBC自治体...
2019/11/13   米コンポジット価格...
2019/11/13   19年9月タングス...
2019/11/13   複眼市場分析シリー...
2019/11/13   MARKET TA...
2019/11/13   欧州からの風#11...
2019/11/13   JFE決算発表を受...
2019/11/13   12日の中国鋼材ス...
2019/11/13   DOWAホールディ...
2019/11/13   三井金属決算説明会...
2019/11/13   三菱マテリアル、I...
2019/11/12   Battery T...
2019/11/12   トライシクルの「エ...
2019/11/12   Fe Scrap ...

企業動向シリーズ#216 高機能カーボン専業の東洋炭素 新たな成長期

2019.10.21 08:22

 高機能カーボンの専業メーカーである東洋炭素(5310)の技術説明会メモ。半導体ウエハ、化合物半導体基板製造装置向けに強みがあり、先端産業向けで再度、成長ステージに復帰する。等方性黒鉛偏重の脱却、非エレクトロにクス、脱アジアグローバルがキーワード。

 

 

要 約

 ・高機能カーボンの専業メーカーとして成長

 ・300mmウエハ設備投資増等で18/12期に売上高411.32億円、経常利益70.57億円に拡大

 ・19/12上期は13.2%減収24.4%営業利益減ながら前期の中国向け特需除けば横這い確保

 ・19/12期は半導体伸び悩みで期初比売上30億円減額も営利はコスト削減で8億円増額予想

 ・中計では過大な等方性黒鉛依存の脱却、非エレクトロにクス、脱アジアグローバルを指向

 

 

高機能カーボンの専業メーカーとして成長

 同社の研究開発戦略説明会が開催され、同社の歴史とともに中計に沿った研究開発戦略についての説明がなされた。

 

 同社は1941年に近藤照夫氏が「近藤カーボン工業所」を大阪市西淀川区に設立、カーボンブラシの製造を開始したことに始まる。1949年に息子の近藤照久氏が社長に就任し、社名を現在の「東洋炭素株式会社」に変更、以来、高機能カーボンの専業メーカーとして成長してきた。

 

 

図

 

 

 同社は基本理念として「どこにもないモノを作る」を 掲げ、レジンバインダー製品の開発(カーボンと合成樹脂を混ぜ合わせた製品)、レジンバインダーのモールド品(金型成型によるカーボン製品)、省電力の直流式黒鉛化炉の工業化に成功しカーボン製品の一貫生産を確立するなどの成果が相次いだ。

 

 とりわけ技術創出の中でも同社の成長の軸となったのが1974年に世界に先駆けて「大型等方性黒鉛」の量産化に成功したこと。同製品は微粒子構造で、静水圧成形法により製造される等方的な構造と特性を持った黒鉛材料。従来の黒鉛は異方性があり、使用上様々な制限があるが、等方性黒鉛は切り出し方向による特性差が無く設計が容易で、微粒子構造で高強度かつばらつきも小さく高信頼性の材料。

 

 また2000℃超の超高温下でも、熱膨張が小さく熱伝導率が大きいため耐熱衝撃性と均熱性に優れ、熱変形が少ない。さらに電気 伝導性が高く高温用ヒーター等の用途に最適で、化学的に安定し一般の金属が腐食する環境でも使用できるなどの多くの特色を持つ。このため当時、成長著しいシリコン単結晶引き上げ炉(CZ炉)のカーボンるつぼ、ヒーターなど半導体製造に採用され、シリコン ウエハーの大口径化とともに飛躍的な売上の伸びを獲得した。このほか表面改質技術を利用した炭化ケイ素セラミックス(SiC)との複合材を開発、エピタキシャル工程(基板上に薄膜を形成する工程)での不純物混入低減が可能となり、化合物半導体でのMOCVD(有機金属気相成長法)用やシリコン半導体の大口径化、半導体の高集積化での表面純度を上げるのにも多用され、同社の規模拡大を牽引した。

 

 

図

 

 

300mmウエハ設備投資増等で18/12期に売上高411.32億円、経常利益70.57億円に拡大

 同社収益は08/5期に経常利益77.95億円の最高益を付けたのち、リーマンショック後の半導体ウエハ設備投資低迷や中国向け太陽電池バブルの崩壊などを受けて売上が低迷、過大投資による設備投資負担、研究開発投資負担増などで利益も低迷した。16/12期には構造改善を断行、その後300mmウエハ設備投資の復活なども追い風となり、18/12期には売上高411.32億円、経常利益70.57億円まで回復した。18/12期の製品別売上構成は特殊黒鉛製品49%、一般カーボン製品21%、複合材その他25%、商品5%となっている。また地域別売上構成は日本37%、アジア47%、米国7%、 欧州9%、営業利益構成は日本67%、アジア29%、米国8%、欧州-4%となっている。

 

 

グラフ

 

 

グラフ

 

 

19/12上期は13.2%減収24.4%営業利益減ながら前期の中国向け特需除けば横這い確保

 19/12上期業績は、売上高191.41億円(13.2%減)、営業利益31.58億円(24.4%減)、経常利益30.66億円(25.1%減)、税引利益23.03億円(24.6%減)と、前Q1に計上した中国高温ガス炉(HTR-PM)向けの売上の剥落から、アジア向けの収益が低迷し、2ケタの減収減益を余儀なくされた。但し期初計画に対して売上高は3.59億円未達成だったものの、利益面では、為替想定より円安に推移、人件費が想定を下回り、一部製品値上げも寄与し、営業利益で7.58億円、経常利益も6.66億円上振れて着地した。なお中国高温ガス炉向け26.51億円、為替影響2.3億円を除くと売上では実質売上横這いとなる。

 

 製品別では主力の特殊黒鉛製品が売上高85.28億円(27.5%減)と、中国HTR-PM向け剥落から減少も、エレクトロニクス向けは単結晶シリコン向けが堅調で太陽電池向け大幅減を補い29.81億円(5.9%減)、一般産業向けは堅調を維持し45.83億円(1.0%増)に。一般カーボン製品は42.28億円(2.9%減)と、機械用がコンプレッサ向けやパンタグラフ向けなどが堅調で19.58億円(10.8%増)、一方で電気用はモーター向けがブラシレス化で低迷し22.69億円(12.3%減)となった。複合材は51.88億円(5.8%増)と、主要3製品の中でSiCコーティング黒鉛製品がパワーデバイス向けなどに好調、コンポジット製品も太陽電池向け減を半導体、工業炉向けでカバーし横這いに。

 

 地域別では日本がHTR-PMの剥落24.01億円で売上高103.55億円(14.4%減収、これを除くと6.8%増収)、営利24.01億円(6.9%減)、アジは太陽電池用カーボンの低迷に加えHTR-PMの剥落5.53億円から売上高53.00億円(22.7%減、HTR-PM除いても15.9%減)、営利5.02億円(63.6%減)、一方、米国はエレクトロニクス向け好調で、売上高17.22億円(25.8%増)、営利3.97億円(52.3%増)に。また顧客地域別では日本が12.5%増、アジアが37.3%減(中国が44.9%減)となっている。

 

 

19/12期は半導体伸び悩みで期初比売上30億円減額も営利はコスト削減で8億円増額予想

 19/12期会社計画は売上高370億円(10.0%減)、営業利益58億円(17.3%減)、経常利益58億円(17.8%減)、税引利益40億円(18.5%減)を見込む。期初計画に対し、売上では30億円減額となるものの、営業利益、経常利益は逆に8億円の増額修正予想とした。足元で米中摩擦激化や日韓輸出管理問題などがあり、下期の売上を期初計画比26.5億円減額している。しかし利益面では上期が増額となったことを引き継いでおり、加えてコスト削減も期待できることから、期初計画並みの利益予想としている。

 

 製品別では特殊黒鉛製品が168.86億円(期初比20.71億円減額、16.6%減)予想と、特にエレクトロニクス向けが半導体向け、太陽電池向けの不振で2ケタ増予想が61.93億円(13.32億円減額、0.1%減)と横ばい予想としたことが大きい。カーボン製品も81.77億円(期初比12.29億円減額、5.4%減)と、機械用、電気用とも設備投資減退の影響を見込む。複合材他も下期LED向けが低迷するとして売上高101.13億円(8.17億円減額、0.4%増)、一方、商品は11.20億円増額の18.24億円(15.4%減)とした。

 

 地域別ではアジアが米中摩擦などを受けて127.90億円(24.22億円減額、32.9%減)、日本も景気減速を受け159.83億円(4.99億円減額、5.2%増)予想とした。

 

 全体を通じて12月決算ということもあり、半導体や自動車、工作機械など何れも年内は厳しい状況ということで、会社予想並みの収益に止まろう。

 

 

中計では過大な等方性黒鉛依存の脱却、非エレクトロにクス、脱アジアグローバルを指向

 同社は2月に中期経営計画の目標数値として売上高500億円、営業利益80億円、ROE8%以上を目指すことを掲げた。また“技術の東洋炭素”であり続けるために、研究開発戦略としてタイムリーな商品開発と最新技術を用いた基盤技術の蓄積を行うことで、エネルギー、エレクトロニクス、環境、モビリティ分野を開発ターゲットに掲げた。そして中期経営計画では特殊黒鉛に依存した事業構造、エレクトロニクス市況に左右される収益構造、アジア中心の展開という現状の事業構造からの脱却を目指している。

 

 

グラフと図

 

 

 そのような中で、例えば5G通信に対してはパワー半導体製造プロセスでの大口径化に対応し、各種治具の大型化、高純度化、量産対応を進めるとともに、5Gで問題となっている放熱対策として放熱部材として黒鉛シートの加工、貼り合わせ技術開発を行っている。また環境分野においても排ガス規制に対応し高耐熱黒鉛シート、また燃料電池については多孔質炭素新素材(CNovel® (クノーベル®)で触媒担体やアンモニア合成用触媒担体などの開発を進めている。

 

 いずれにしても、半導体では先端分野、パワーデバイスでの設備が拡大しており、また5Gの設備投資の活発化、自動車分野も次世代自動車への投資も加速しつつある。同社は開発戦略に沿い、18/2期~22/2期にかけて300億円規模の設備投資を計画、具体的にはSiCコーティング黒鉛製品の生産能力を1.5倍(31億円投資予定)、また高純度化処理能力増投資(日本20億円、中国8.5億円投資予定)、自動化投資(38億円予定)などが進行中である。現状、足元の売上が米中摩擦などの影響で減額され、22/12期中計達成には一段の努力が必要とみられるが、これらの能力増強効果も加わり、新たな成長期を迎えたことは確かと言える。

 

 

表とグラフ

 

 

(H.Mirai)

 

 

関連記事