欧州鉄鋼業界ダイジェスト#17
スペイン:
スペインの労働組合UGT Union によると、8月6日、日本の日産とストライキを行なっていた同社バルセロナの工場の労働者が合意に達し、2021年12月までの事業活動の存続が確定した。
労働者と日産は、日産側が発表した工場の即時閉鎖をめぐり話し合いを行なっていた。この合意により、3ヶ月に及んだ労働ストライキに終止符が打たれ、8月の終わりには3箇所にわたる工場で生産が再開される。
バルセロナの工場は年間20万台の生産能力を持つが、今年に入ってから生産数は2019年の総生産数の4分の1に留まっている。
新型コロナショックで、スペイン国内の自動車生産数はほぼゼロ近くまで落ち込み、日産は5月28日、グローバル規模のリストラ計画の一環として工場の閉鎖を発表していた。日産と労働者側は今後も「長期的解決」を模索し話し合いを続けていく予定。
Source:
・https://eurometal.net/spanish-union-welcomes-strike-ending-deal-at-nissan-vehicles-plant/
EU/トルコ:
トルコ鉄鋼輸出協会(CIB)の会長によると、ECの新輸入枠規制により、トルコのEU地域への輸出は、前年度から58 %の落ち込みとなる見込み。また、2020年上半期におけるトルコミル業者のスチール輸出は、パンデミックと貿易規制の影響で10%減少、970万メタリックトンとなった。一方、中国政府が発表した救済措置により中国市場におけるスチール消費が上昇、中国による輸出市場からの部分的な撤退がトルコのミル業者へ有利に働く可能性もある。トルコ鉄鋼輸出協会の会長は、国内需要の上昇によるスチールセクターの回復に期待していると言う。
Source:
・https://eurometal.net/quotas-to-restrict-turkish-steel-exports-to-eu/
EU:
欧州鉄鋼協会(EUROFER)によると、2020年のEUのスチール消費は前年度から13.6%減少、「前例のない数字」となると見られている。2021年における回復は9.7%の予想。
新型コロナによるロックダウン措置の解除後も、経済成長および世界貿易は、2021年まで引き続き軟調に推移することが予想されており、EU投資の妨げとなっている。
Q1のEUにおけるスチール消費セクターは、新型コロナの影響で前年度から生産が7.2%減少している。ただし、チェコとポーランドのみ生産は増加している。
Source:
・https://eurometal.net/eu-consumption-decline-unprecedented-says-eurofer/
(Y. SCHANZ)
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SCHANZ, Yukari
オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。
趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。
*ヨーロッパに御用がある際はぜひご連絡ください→info@iruniverse.co.jp(窓口:川合)
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