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IRRSG/ZOOM Webinar1125 廃炉ビジネス&中国鉄スクラップ輸入の備忘録 外川健一 熊本大学

2020.11.26 15:34

 新型コロナウィルス Covid-19の第3波の影響で、札幌と大阪がGo to トラベルキャンペーンから一時外されるという、依然として不安が残る中、5月から棚町さんの思い付き(失礼。「定期的に」ですね!)で開催されるIRRSGzoom講演会。今回の講師はいずれも2回目の登場ということで、落ち着いた感じでお話が聞けたと思う。

 

→(関連記事)IRRSG online 11/25 廃炉解体ビジネス(ベステラ)&中国鉄スクラップ需要動

 

 

【第1講演】廃炉ビジネスと風力発電解体市場の広がり ベステラ株式会社 代表取締役会長 吉野 佳秀氏

 

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「つくったひとには壊せない」

 初めてこの言葉を聞いたとき、ドキッとした。90年から自動車を中心に日本の個別リサイクル法を検討してきた外川にとって、「拡大生産者責任」要するに、きちんと処理・リサイクルできるのは、その製品を作った製造業者であるはずだ、という一種の固定概念があったからだ。しかし現実は、とくに大型プラントの解体となると、話は全く違うようだ。前回の講演会で「リンゴ皮むき工法」に感動した外川ですが、その後Miru. Com .サイト上で、吉野会長はご自身の哲学に基づいた興味深いお話をされているようで、今回の講演は楽しみでした。

 

→(関連記事)IRRSG例会 令和時代のリサイクラーたち? 司会者雑感 熊本大学 外川健一

 

 まず、SDGsにのっとって、ベステラが「2030年のサステナビリティの目標に対してどのように社会貢献されているのか」についてのご説明。「革新的な解体技術の提供により地球環境に貢献します。」という考えは、SDCsが掲げた2段目、3段目の目標に書かれた内容に対応し、「働きがいのある職場環境を整備します。」は1段目の途上国と先進国の間の格差、やジェンダー格差の解消と、10.の働き甲斐のある職場の創造とつながっている。

 

 さて、今回の主テーマの「廃炉」ではあるが、今回はクリーンエネルギーの風力発電機の解体、そして3.11以降、注目を浴びている原子力発電所の廃炉が対象だった。

 

 まず同社の基幹技術が紹介された。ポイントは、中核となる技術は特許申請を積極的にして、すでに10件ほどの特許が申請されているという。現段階で紹介できるものとして、まずは「3D解体」を中心とする技術特許システムがある。「複雑で図面のないプラントの現況を短時間でデータ化する『3D計測』の導入により、今まで『経験や勘』に頼ってきた解体とは異なる、先進の解体手法」を同社が主導して確立しているという。まさに「壊すプロフェッショナル」の基幹技術と感じた。このほか、前回のライブで紹介された「りんご皮むき工法」を実際に行うロボット=「りんご☆スター」の新アタッチメントの開発。これによって、様々な用途に拡大することができたという。環境関連工法としては、火を使用しない「無火気工法」。この工法で、すでに数々の工事実績を重ねている。

 

 

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 この類の工法は、PCBやアスベストなどの有害物含有建築物解体に大いに活用できる。

 

 さて、パリ協定の目標もそうだが、日本が戦略的に気候変動の問題に対応するためには化石燃料からの脱却が重要で、やはり再生可能エネルギーへのシフトが肝要である。なかでも風力発電は欧州に遅れは取ったものの、日本でも導入されてからかなり時間がたった設備も出てきている。とくに最近は秋田県から長崎県沖の洋上風力発電の建設が進んでいるが、耐用年数は15~20年程で初期に設置された陸上の発電用風車は使用限界がきている。

 

 

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 ところで、発電用風車は、通常支柱の外側に足場を組んでの解体が主だが、さすがベステラ。足場を必要としない「風車解体工法」を考案し、作業員の安全性が飛躍的に向上し、工期も短縮できる工法を確立したという。解体完了時には「マトリョーシカ式タワー解体工法」と名付けられた一連の工法で、上手に自然界の重力を利用した、吉野会長曰くまさに「コロンブスの卵」的な手法が開発された。

 

 続いて原発の廃炉問題について。

 

 

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 現在日本にある60基の原発施設のうち、24基の廃炉が決定している。また北電の泊原発など新基準に適合できないことから、廃炉止む無しの炉も増加し、安全に改訂を行う廃炉ビジネスチャンスが到来するだろう。ベステラでは、日立プラントコンサルテーションとチームを結成し、第一カッター株式会社、リヴァー等と提携を行いながら「プラント解体技術のプラットフォーム」を創り、このビジネスへの参加を表明している。

 

 なお、やや古い動画情報だが、以下のウェブサイトの吉野会長のお話も非常に面白いので、皆さんぜひ視聴してください。

 

http://www.cowtv.jp/channel/boss/468yoshino/

 

 

【第2講演】「中国の鉄スクラップ輸入解禁に向けた動き」柴田産業株式会社 代表取締役 斉 浩氏

 

「中国の鉄スクラップ輸入解禁に向けた動き」

 

 

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 6月22日のIRRSG 主催のzoom講演会から約半年。再登壇を快く引き受けてくださった芝田産業の斉社長。今回も「あくまでも個人の見解」と力説しつつも、データと最新情報をしっかり頭に入れてのご発言に、外川は感銘を受けました!

 

 中国への非鉄(銅やアルミニウム、真鍮)の輸出が、いよいよ本格的にこの11月12月に動き出す。そして鉄スクラップ輸出も2021年早々再開されるだろう。ターゲットは高品位のHS、新断、そしてシュレッダーの3つだろう。しかし、スクラップ市況はグローバルにみても、決して悪くない状態である。(ここで棚町さんがMIRU.comで紹介されている様々な鉄クラップ市況の推移を画面上で披露。東京製鉄田原の11月24日3.2万円が印象に残る。)

 

 

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東鉄田原H2相場とベトナム輸入鉄スクラップ相場の推移 3か月

グラフ

 

 

 そこで、斉さんとしては、4万トン程度なら日本国内に一時保管しておいて、様子見の作戦をとろうという方針だそうだ。

また日本国内でも鉄スクラップはやや過熱気味でHSではトン3.5万円まで上がっている。こうした高値のものを中国がすんなり買うかといえばちょっと難しいのではないかという。一方、日本国内でもこれまで順調に鉄スクラップ価格は上昇してきたが、鋼材価格は伸び悩んでいるところ。。

 

 たしかに現在の比較的売り手には好条件の鉄スクラップ相場ならば、わざわざ中国にもっていく必要もない。とくにHS、新断くずは日本で国内販売の方向にあると思う。問題はシュレッダーくずだ。

 

 中国当局はより品質のこだわっており、とくに「かさ比重」のより高いシュレッダーくずでないと受け入れてもらえないかもしれない。そのためにシュレッダーの2度がけが推奨されているというが、2度がけによってさらにダストが発生するわけで、果たしてこの手法が妥当なのかどうか、各社でじっくり検討すべきとも考えられる。

 

 なお、中国当局から中国への輸入解禁のドラフトが公になっているそうで、これまでサイズにうるさかった中国が欧米のスタンダードである1.5メートルまでという、欧米の標準に合わせた形でのスクラップの受け入れを開始する予定が書かれており、欧米のスクラップリサイクラーは、安堵しているようだ。しかし、中国ではこの1,2か月で、スクラップの値下げモードに入るものと思われる。Covi-d-19は国内ではある程度抑制されているが、手解体を担当する労賃が安く済む外国人単純労働者の確保が難しいのも一因である。

 

 

【フィナーレ】全体討論

 今回のzoom講演会の陰の立役者、オフィス西田の西田社長から、今後「IRRSGのゼミなーでどのようなテーマを取り上げてほしいか?」を第1講演と第2講演の間に行った。結果としてはAIのリサイクル技術への応用が第1位だった。ベステラの吉野会長は、ロボットの開発に国立大学と提携してやった経験があるが、結局断念した経験を持ち、「餅は餅屋」でロボットの専門家といかに連携するかがポイントだとお話しされた。たしかにAIは重要だが、「コロンブスの卵」を探すことが重要で、既存の常識を見直すことを力説された。

 

 斉社長も同様の見識をお持ちで、AIもよいが、日本は小さなスクラップ屋が会社ごと設備投資をしないで、例えば九州全体で組合とまではいかなくとも一緒に資金を出し合って、大型の選別機をうまく導入し、「選別機」のシェアリングなどができないかというご提案もいただいた。連携すべき点は連携しないと、より高品位のスクラップは市場に流通しなくなるだろうから。

 

 このほか外川の無謀な指名?もあって、イボキンの松原さん、東京製鐵の片山さん、Global Metal Industrial Coop. の志賀さんから、有益なコメントをいただいた。やはりここしばらくは、鉄・非鉄スクラップともに、中国とインドの需要がけん引するものと思われる。外川が「インドはCovid-19でかなりダメージを受けているそうだが?」と聞いてみたが、志賀さんはそれでも地域によって、感染が深刻でないところでは(コロナ対策をどの程度やっているかは不明であるが、)大きなスクラップの需要があるとお答えくださった。

 

 このほか第1部と第2部の間に行ったアンケートにて、「今後取り上げていただきたいテーマ」として「訪日外国人リサイクラーあるいは解体業者との関係と優良業者との共存」というテーマに今日の参加者は関心をとくにお持ちのようだった。我が国の最近の建設解体には、ムスリムの家族経営業者が、入札のかからないレベルでの小規模解体をどんどん手掛けている話も耳にしている。また、急遽参加していただいた富山高専の岡本先生からは、富山周辺の中古車輸出、自動車リサイクルパーツ輸出に携わる外国人経営者の話題提供をいただいた。機会があれば最近の状況も含めて、岡本先生からも、お話をうかがいたい。

 

 最後にいつも拙い司会と愚問を発す外川に、丁寧に説明してくださる講演者の吉野会長、斉社長、ご意見をいただいた皆さんに心からお礼を申し上げます。

 

 

(外川健一 編集IRUNIVERSE)

 

 

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